今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

Baumol's disease

2008-02-06 16:55:21 | Faculty Development
いつもお邪魔している、岡田先生のブログ

毎日精いっぱい生きる事が一番の修行なのです


自分の中でとても「へえ~」なエントリーでしたので紹介です

Baumol's diseaseについての考察なのですが、詳しくは岡田先生のブログを直接見てください

またAAFPのサイトの元論文はこちら

Baumol's disease -- Health care in general may suffer from an incurable disease. (Are you surprised?)


この考えは何となく感じていました

Web2.0の世界、テクノロジーのすすんだ世界でどのように医師として生きていくか考えたときに

自分が行う医療は結局、人対人が基本だな~

アナログな世界は無くならず、医者として、家庭医として、指導医としての自分を磨いていけば、それが自分の商品価値になるという妙な安心感、でも何か違うかもしれないという不安感

医学はサイエンスかもしれませんが、医療はアートと表現されるように、効率や生産性を超えた商品価値が有るのは確かなのですが、それはあくまで相対的なものであり

国が基本価格をつくりあげて保証しているからこその、守られた商品価値であり

真に市場原理に任せてしまえば、価値の暴落もあるわけです

医師の専門分野ごとの価格でいえば、市場原理に近いアメリカでは専門医の価格が高く、ジェネラリストは安いです

相対的に、日本におけるプライマリケア分野は守られてきました

これからは削られていくでしょう

現に削られ始めていますし、ターゲットにされています

日本のプライマリケアは、余裕のあるときに質を追求することを怠ってきたように思います

基本価格を下げられていくこれからの中で、どうやってPayしにくい「質の向上」を意識し続けられるのか?

岡田先生は下記のように書かれています

以下引用~
「黙っていてはテクノロジーの恩恵を受けられる領域ではないからこそ、今までのやり方とは全くちがう医療提供の枠組みによって、innovationを起こ すことが必要なのではないか。キーワードとしてはChronic Care Model, group visit, virtual visitというあたりだろうか」

なるほど

Rochester大学の、Idealized Medical & Micro-team Practice
などはまさにその流れに対する、アメリカでの答えの一つなんでしょうね

基本診療価格が安すぎる日本には、なじまないものだと思いましたが

これから、ずっと意識しなければいけないテーマですね