今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

産後の入院期間

2008-11-15 22:50:40 | 家庭医療
満期産の経膣分娩、産後の入院期間は24時間

満期産の帝王切開は48時間

GBS陽性の経膣分娩は36時間(この時間はミシガン特有です)

その他、敗血症疑いの場合は血培開始から36時間

産後24時間という基準は、新生児スクリーニングを24時間いないに行うと感度が低いからという理由です

この新生児スクリーニングは州ごとにプロトコール化されており

ミシガン州で行われているのは以下です(カッコ内が開始年度)
  • Phenylketonuria (1965)
  • Congenital Hypothyroidism (1977)
  • Galactosemia (1984)
  • Maple Syrup Urine Disease (1987)
  • Biotinidase Deficiency (1987)
  • Hemoglobinopathies Sickle Cell Diseases (1987)
  • Congenital Adrenal Hyperplasia (1993)
  • Medium Chain Acyl-CoA Dehydrogenase Deficiency (2003)
  • Arginosuccinic Aciduria (2004)
  • Citrullinemia (2004)
  • Homocystinuria (2004)
  • Cystic Fibrosis (2007)

日本との大きな違いはSickle Cell DiseaseやCystic Fibrosisでしょうか?

Cystic Fibrosisのスクリーニングが最近はじまったというのは興味深いです

それぞれの項目で、コストとテストの感度、特異度、早期介入のメリットなど議論はつきないところですが

今回は入院期間に話を戻します


日本では経膣分娩でも当然のように1週間ほど入院していましたが

アメリカでは基本24時間

その24時間すら、「それより前に帰りたい」と言う経産婦さんもいます

また忙しい病棟ですので、看護士さんも明らかに「追い出し」にかかっており

時間も来ておらず、やるべきルーチンの検査も終わっていないのに

「事前に退院のオーダーを入力しておいて下さい」と催促のポケベルがよくなります

大抵の場合は、理由があって赤ちゃんをとどめおいているわけで

下手に退院オーダーを入れてしまうと、

ちょっとした手違いで、やるべき検査がなされていなかったり、検査の結果が出ていないのに

「まあ良いじゃん」と看護士さんが帰してしまう事例があるようです

ですから、そのような催促は断固拒否です

自分の目で、ルーチン項目が終わっていることを確認しないとオーダーも入れられません

それにしても、産後24時間もたっていないのに

我慢できずに「早く帰りたい」という人が多いのにはびっくりです

普通の入院期間の感覚、入院コストの基準が日米で異なるのは
分かりますが

それ以上の要素を感じます

例えば日本人のほうが、我慢強い

異なる環境でストレスがたまるのは、同じだと思うのですが

病室の環境や、患者さんの生活の制限など、

アメリカの病院のほうが明らかに快適であるにもかかわらず

「家のほうが良いから、早く帰してくれ」という人が多すぎます

ただ日本での自分の経験では

「家のほうが良いけど、家族に迷惑をかけるからもう少し病院で我慢しよう」という高齢者が多かったかもしれません

我慢強いというより、「和をもって尊しとなす」という国民性のせいかもしれません

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
突然申し訳ありません。 (医学生)
2008-11-17 01:51:19
いつも拝見させて頂いております。日本の医学生です。

場違いであったら申し訳ありません。
もし場違いならそのまま削除して下されば幸いです。

お尋ねしたいことがありまして、先生への連絡手段がこれしかないと考えたので、コメント用を使用させて頂きました。

ミシガン大学の家庭医療を見学させて頂きたく、約1ヶ月半前にPCFMネットワークに記載してありましたMike Fetters先生のアドレスに見学の申し込みをさせて頂いたのですが、御返事がいただけませんでした。
それゆえ、8日前に日本家庭健康プログラムに記載してありました医学生の連絡先へFAXを送信させて頂いたのですが、こちらも御返事が頂けませんでした。

そこでお尋ねしたいのですが、現在ミシガン大学家庭医療学科では、日本人の学生の受け入れを行っていないのでしょうか。それともMike Fetters先生や神保先生がご不在かご多忙で連絡がとれないのでしょうか。

もし宮崎先生がご存知であれば是非お教えして頂きたく、ずうずうしくも連絡させて頂きました。

それでは何卒宜しくお願い申し上げます。
re:突然申し訳ありません。 (医学生) (familymed758)
2008-11-17 03:51:31
医学生さん

そうですか、なかなか返事が無いということで、さぞ不安になったことでしょう

「医学生の受け入れをしていない」ということはないと思います。家庭医に興味がある日本の医学生の受け入れは現在も積極的に行っており、welcomeですよ。

マイク先生はとても忙しいので、返事が滞ることが時々あります。もしくは、メールソフトの関係でメールが気づかれずに埋れてしまったのかもしれなせん。ファックスは結構届いていないことがありますので、リマインダーとしてもう一度マイク先生にメールを送ってみるのはどうでしょうか?こちらからも、そのような問い合わせがあったことをメールで伝えておきます。

こちらのレジデンシーに入る時のやりとりで一般論として感じたことですが、こちらの偉い先生(役職付きの先生)は、毎日無数のメールを受け取っていますので、一度返事が無い場合は、しつこく食い下がったほうが良いです。3回ぐらいしつこくリマインダーを送っても返事が無ければ、無視されているかもしれませんが・・・(笑)
御返事ありがとうございます。 (医学生)
2008-11-17 15:19:11
こんなにもすぐに御返事頂きありがとうございます。

またお気遣い頂きありがとうございます。
日本人の学生の受け入れが行われているのを伺い嬉しい限りです。
先生のアドバイス通り、ご多忙であられるMike先生にもう一度メールにて食い下がってみたいと思います。

それでは今後も先生のブログを楽しみにさせて頂きます。失礼致します。
頑張れ! (Tag)
2008-11-18 05:09:39
医学生さん

 やってみたいと思ったことを、なんとしてでもやるんだという心意気、素晴らしいと思います。

 あとになって、「なぁんだ、こうすればよかったじゃん」なんてこともあるかもしれないけれど、できそうなこと、やれそうなことを片っ端からチャレンジしてみることが、きっと後になって肥やしになってくるに違いありません!

 こうして、さまざまな手段を使ってコンタクトを取って、自分を開拓していきたいという人には、おのずとサポートが集まってきます。

 ぜひ、頑張ってくださいね!
 
 横やりかもしれないけど、家庭医になる、というだけの目的なら、日本でも十分達成できます。それに加えるプラスアルファを求めて、familymed758さんも頑張っているはず。色々たくさん見た上で、しっかり将来を決めてくださいね!どんな道を選んだにせよ、ずーっと学び続けることには変わりありませんが。。
ありがとうございます。 (yk85)
2008-11-24 18:11:11
どちらに書き込みすればよいかわからなかったので,こちらに書かせて頂きました。

医学生として以前書き込みさせて頂いた者です。
浮いている気がしたので変えさせて頂きました。

あの後,yahooからとgmailからと2通メールを送信し,昨日マイク先生からご返信頂きました。
先生方のアドバイスとお助けのおかげです。
本当にありがとうございました。

宮崎先生,実際に訪れることになった場合には,何卒よろしく御願い致します。

Tag先生,先生が仰る通り,家庭医になるという目標であれば日本で達成できると確信しております。
その先の目標を自分の目で見て確かめたいと思います。学生なのに生意気で申し訳ありません。
今後とも機会があれば貴重なご意見よろしく御願い致します。

それでは失礼致します。
re:ありがとうございます。 (yk85) (familymed758)
2008-11-27 15:02:37
yk85さん
そうですか、うまく連絡がついてよかったです。見学にこられる時は是非連絡を下さい!私もTagさんが言っているように、日本でも施設を選べば充分な研修を受けられると思います(特にTagさんが研修を受けた施設など)。こちらに見学にこられる時は、その先のプラスαを自分なりに見つけにくるつもりで来ると良いと思います。

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