今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

貧困層の現実

2008-09-26 08:01:38 | 医療ネタその他
UFMで働いていると、アナーバーの東南にあるイプシランティというエリアの患者さんがよく入院してきます

貧困層が多く住むエリアで、様々な問題を抱えた人が多いです

先日担当した、自分より年下の30歳ちょっとの黒人女性は

家族の話を聞くと、

「14歳、12歳、5歳の子供3人と、孫の5人で住んでいる」と言います

片親は普通のことで別段驚きは無いのですが、

14歳か12歳の娘が既に子供を産んでいるということになります

嘔吐、下痢で殆ど食事を受け付けない状態なので

日本でいうところの、全粥食のようなものを出したのですが、

「こんなもの食えるか」と、友達に勝手に中華を差し入れさせていました

アメリカ式の油の強い中華、チキンの揚げ物に、コテコテのチリスープです

そういうことも見越して、「油物はダメだよ」と本人にも話して

「ピザなどの油物はダメ」と電子カルテにも丁寧にテキスト入力したにもかかわらずです

案の定、食べられるはずも無く、ゲーゲー吐いていました

その他にも、様々なわがままを言ったり、要求が通らないと怒ったり

前回の入院時は、入院生活の制約に耐えられずか、勝手に退院してしまったようです

これもひとえに、社会環境、教育の問題から自己コーピングスキルが低いことが大きな要因だと思うのですが

相手が受け入れるはずも無い、些細な制約はハナから諦めて

長期的に見越して、本当に必要なことだけピンポイントで話しかけるしかありません

翻って思うのは、日本の病院における制約の多さ

しかもその制約の多くが、「本当に必要かどうか、あやしい」ものであること

それを甘んじて受け入れている日本の患者さん達

医療者側にも,改善すべきことがたくさんあるのです

最新の画像もっと見る