ぐるぐる自転車どこまでも

茨城県を自転車で散歩しながら,水戸藩の歴史について考え,たまにロングライドの大会に出場,旅する中年男の覚書

水戸歴史探訪サイクリング~妙雲寺~井伊直弼の謎

2012-10-28 17:59:21 | 自転車
見川の妙雲寺

千波大橋を過ぎて、右折し、千波湖の南側を西に走る。
すぐ近くには県立美術館があり、傾斜した芝生の上には動物の形に刈り込まれた樹木が見える。
右手には千波湖が見える。
湖を回るようにランニングコースが設けられていて、ジョギングや散歩を楽しむ人たちがそれぞれ楽しんでいる。
湖沿いに南側を走り、しばらくすると左側に壁に囲まれ、屋根だけが瓦の城門のような建物の一部がチラッと周りの壁の上に見える。
映画「桜田門外の変」のロケセットである。
桜田門外の変は、ご存じのとおり、水戸藩を脱藩した浪士たちが雪の日に登城する大老井伊直弼を襲撃した事件である。
襲撃されたのは幕府の要人であり、この事件を契機として幕府の威信が大きく揺らぐこととなった。
経緯は吉村昭の「桜田門外の変」(上下)が詳しい。映画を見ると事件がとてもよくわかるが本も読んでおきたい。
ロケセットを過ぎると、国道6号線に出る。
道の向こうは公園である。
横断歩道はないが、信号があるので道路を横断することにした。
公園内は自動車やオートバイは通行が禁止されているが、散歩用の舗装路があるので自転車は通行ができる。
芝生が広々として気持ちがいい。
水戸あたりだと高層の建物が少ないためか空が広い。
公園にはコスモスがたくさん植えられ、風に揺れていた。
ちょうど夕方近くだったので花びらを西日が透過し透明感のある鮮やかな色で、とてもきれいだった。

公園を横切り、道路に出て、右に、上り坂になっている。
二つ目の信号を左折し、次の信号を右折して、少しで妙雲寺に着く。
妙雲寺の創建は慶長元年(1596)法雲院日道聖人が開山したのが始まりと伝えられ、延宝6年(1678)に藩命により現在地に移った。
天保14年(1843)には、徳川斉昭公が大砲鋳造のため、各寺院に梵鐘の供出を命じた。
しかし、妙雲寺はこれに応じなかったため廃寺となった。
その境内は家老の武田耕雲斎に与えられ、後に敷地の一角に妙雲寺が再興したという。

実は、ここには不思議なものがある。
桜田門外の変で襲撃された大老井伊直弼の首級がしばらくここに置かれていたという話があるのだ。
事件後すぐに大老の首級は取り戻されたはずだ。
なのになぜここに?
まるでミステリーのような話だ。
実は、事件の際、首を取られたのは大老の他にももう1人いたらしい。
彦根藩士が取り戻したのはもう一人のほうで、大老の首級は行方不明になったということなのだ。
詳しいことは他のホームページで探しいただくとよいだろう。
首級は襲撃した水戸浪士の1人広木松之介が持ち帰ったという。
そして、井伊掃部守直弼の首を祀った井伊掃部守直弼台霊塔がこの妙雲寺にあるのだ。