映画と音楽そして旅

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(映画音楽)「今甦る!魅惑のミラー・サウンド」②

2006-08-05 00:26:28 | 映画音楽
  グレン・ミラーの思い出…昨日の続きです。
 第二次大戦が激しくなり彼は軍隊に召集されます。自由のためにヨーロッパ戦線で戦う連合軍将兵たちを激励するために、イギリスで演奏活動を開始します。
 行進する兵士達がひどく疲れて足取りが重いのに気がついた彼は、突然走り寄ると指揮者を押し退けると、自分でタクトを振り始めました。そこで流れて来た曲はあの「セントルイス・ブルース・マーチ」でした。
 
 セントルイスと言えばまだ記憶に残っていますが、昨年のハリケーンで壊滅的被害を受けた地域です。南部諸州の中でも黒人が多い地域で、彼らの独特のリズム感覚から自然発生的に、ディキシー・スタイル・ジャズが誕生しました。
 どちらか云えばムード派で本場のジャズは少し敬遠気味の私ですら、「セントルイス・ブルース」と云えば好き嫌いを超越した特別な存在でした。
 ジャズの原点とも云えるこの曲をマーチにアレンジしたミラーの大胆な発想は、兵隊たち…特に黒人兵に大きな喜びの表情が甦り、足取りも軽くなりますが明日の命さえわからない最前線では、やはりふるさとの歌が兵隊達の心を打ったのではないでしょうか。
 
 第二次大戦中にドイツがロンドンを狙って撃ち込んだ、電波誘導による新兵器の「V2号ロケット弾」は、現在のミサイルに匹敵するぐらいの新兵器として、私たちも戦争末期にその存在は知っていました。実際の破壊力は大きくなくてそのうちにロンドンに到達するまでに、撃ち落とされるようになって戦局を変えるほどの効果はなかったようです。
 しかし当初はロンドン市民に大きい恐怖感を与えたようで、この映画の中でもミラーが演奏中にこのロケット弾が飛来して市民が逃げ惑う中で、彼の指揮する楽団が何事もなかったように平然と、演奏を続けている有様が描かれていました。
 決して戦争を賛美する訳ではありませんが、どこから何が飛んでくるやら判らない物騒な時代…どんな場合でも慌てず泰然として、タクトを振り続けた彼のスタイルに学ばねばなりませんね。

 「愛情物語」の先輩格に当たる映画ですがこの作品には、外にも「イン・ザ・ムード」「チャタヌガ・チュウチュウ」などの音楽と共に、ヘレン夫人との夫婦愛が描かれていますが、ヘレンを演じたジューン・アリスンが他界したのは、まだつい先日のこと…彼が創造した不滅の名曲の数々は彼女への鎮魂曲のように私には思えます。
 今風の表現で云えば当時の「癒し系」女優No1としての彼女の冥福を改めて祈りたいと思います。

 

 
 
 
 
 


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