映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
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(映画音楽)「サマータイム」(映画「ポギーとベス」)

2006-09-29 00:04:36 | 映画音楽
 「サマー・タイム」は若い頃から知っていたのですが、不思議なことにこの歌がアメリカ映画「ペギーとベス」の主題歌だった…と云うことは私のブログで、一度だけ軽く触れたことがありますが、詳しいことはよく知りませんでした。
 それはこの映画が製作された1959年は私のシネマ熱も、ピークを越えて下降傾向にあったことや、この映画自体モデルになった遺族のたちが不満だったために、契約分の映画とTVの公開が済むと、元フイルムがすべて焼却され以後は公開が禁じられたため、再公開の機会もないまま現在に至っていると云われているからでした。
 と云う訳で気になる映画…気になるスクリーン・バック・ミュージック…まだまだ続きそうです。
 懲りずに読んで下さいね。

 「サマータイム」はオペラ…と云って(ジャズ的要素が入っているので、フオーク・オペラと云うそうですが)悪ければミュージカルの「ポギーとベス」の挿入曲として1835年に初演されたため、舞台で歌われた曲が一人歩きして、広く知られるようになつたように思われます。
 これはブロードウェイの舞台が大当たりした、「南太平洋」の映画主題曲「魅惑の宵」とよく似たケースが思い出されます。
 この映画の特徴として主役のシドニー・ボワチエをはじめ、出演者全員が黒人であったことですが、ルイジアナ州に暮らす黒人社会の出来事を描いたジョージ・ガーシュイン原作のミュージカルを映画化したものです。
 映画は見ていませんので詳しいことは判りませんが、とにかく私好みのMGM映画風の甘いものではなく、どちらか云えば「屋根の上のヴァイオリン弾き」のような民族的、現実的な諸問題も含んだ作品のように想像されます。
 
 泥棒のクラウンの愛人ベスは夫が人を殺して逃亡したので、自分も捕まりそうになり足の不自由なポギー(シドニー・ボワチエ)の暮らす小屋に匿われます。
 やがて二人の間に愛情が芽生えるのですが、そこへ逃亡中のクラウンが現われ、ポギーは争ううちにクラウン誤って刺殺してしまいます……
 映画は舞台とは細部では多少違うようですが大筋は似たもののようです。

 ところで映画ではどの程度に挿入歌の「サマー・タイム」が使われたのか…資料が少ないので判りませんが、舞台ではこの歌が重要な役割を果たしたようです。

嵐がやってきて漁師のジェイクの船が転覆し、妻のクララは赤ん坊をベスに預けて外に飛び出します。結局、ジェイクもクララも帰ってきませんでした。
 ベスがクララの赤ん坊をあやしながら歌うのが「Summertime」です。
 歌詞は…
夏が来たよ。これで暮らしやすくなるね。
魚も跳ねるし、綿も伸びるよ。
お前の父ちゃんは金持ち、それに母ちゃんは美人だよ。
さぁ、だからベイビー、もう泣くのはおよし……

 貧しくつつましい暮らしを送る彼女達にとって、夏こそは躍動の季節…
こんな風にまるで自分に言い聞かせるように歌う切ない子守唄…
 最初のレコードは舞台のソプラノ歌手が歌ったそうですが、映画では出演の女優が歌っていたのか、この点は判りません。
 私の手元のにはダイナ・ショアのヴォーカル盤と、サム・ティラーのサックス演奏の二種類がありますが、どちらも甲乙つけられませんが…やはりダイナの歌の方がしっとりとしていいと思います。

 この映画に出ているシドニー・ボワチエは「夜の大捜査線」でも見ましたが、黒人俳優として優れた演技力は白人と対等以上の立場にあったようです。
 音楽界ではジャズが本来は南部の黒人社会から派生したものなので、ルイ・アームストロングやサラ・ヴォーンなど黒人のアーティスとは多数いましたが、映画の世界では黒人の大スターは少なかったようで、当時の彼の存在はとても大きく価値あるものだったと思われます。
  
 入手不能といわれていた映画「ポギーとベス」 (1959) DVD販売が珍しくも1件ありましたので記載しておきます。
  http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=21395
  PORGY AND BESS 上映時間 140分 アメリカ ジャンル ミュージカル
監督: オットー・プレミンジャー  製作: サミュエル・ゴールドウィン
作曲: ジョージ・ガーシュウィン  音楽監督: アンドレ・プレヴィン
音楽: デュボース・ヘイワード   ケン・ダービー

出演: シドニー・ポワチエ   ドロシー・ダンドリッジ
    ブロック・ピータース   サミー・デイヴィス・Jr
    ダイアン・キャロル   ニシェル・ニコルス



 


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