映画と音楽そして旅

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(CD雑記帳) 「フランシーヌの場合」 (新谷のり子)

2006-02-23 00:07:16 | 音楽
1960年代初期の歌でフオーク・ソングのジャンルに入らないと思いますが、新谷のり子の歌った『フランシーヌの場合」がよく記憶に残っています。
 この歌詞を初めて聴いたときは正直言って、なんのことやら意味がさっぱり判りませんでした。
 
<フランシーヌの場合は あまりにもおばかさん
  フランシーヌの場合は あまりにもさびしい
  3月30日の日曜日 パリの朝に 燃えたいのち一つ‥>

 「雨の朝巴里に死す』と云うエリザベス・テイラーの映画なら覚えているけど‥などと云っているうちに、80万枚と云う大ヒットを飛ばして、新人賞も獲得するなどで一流歌手の仲間入りをしました。
 ベトナム戦争に抗議して自ら若い命を絶ったパリジェンヌの出現に、私の脳裏にかすかに残っていたおしゃれで優雅な「マドモアゼル・ド・パリ」のイメージは、どこかへすっ飛んで行きました。
 戦後のアメリカ文化の波をモロにかぶりながら、遊ぶのに没頭していた私達の青春時代との意識の落差の大きさにも気付きました。
 マロニエの並木が連なるパリ街角で起きたこの衝撃的な事件は、当時の私の意識をある程度変えるきっかけになりました。
 若い世代が学生運動や安保闘争に鬱積した不満をぶつけていた頃、私たち中年世代は自らの家庭と家族と生活を防衛する方が大事でしたし、良き父親である前に良き『働き蜂』であることが求められた時代でした。
 新谷のり子は若くて新鮮なイメージと共に、平和を叫ぶ「反戦歌手」としての一面もあり、歌手としては険しい道を選びましたので、それからは大きなヒットには恵まれませんでしたが、今でも健在で世界の平和のために頑張っているようです。
 あの頃に「悲しみは駆け足でやってくる」と云う歌もありました。
   <あしたと云う字は明るい日とかくのね
    あなたとわたしの明日は 明るい日ね>
 アン・真理子が歌ってヒットした曲で、私はこの中の歌詞が好きでした。
   <若いと云う字は 苦しい字に似てるわ
    涙が出るのは 若いというしるしね‥>
 そうだ‥明日は明るい日なんだ‥まだ若いんだ!などと、ヤセ我慢を張りながら‥頑張りましたよ。
 こんな歌が流れていて‥何物かに追われているような忙しい感じで‥私の中年時代はこんな時代でした。