あっちにもこっちにも、立ち並んでいる。
“岬十三里”などと呼ばれることもある、その長さ約50キロメートル強もある日本一細長い佐田岬半島。
宇和海と瀬戸内海を隔てる半島は、実は知られざる鳥たちの、日本有数の“渡り”の回廊。
昼間に渡る鳥たちもいるが、その多くは夜間に渡ることがあると聞く。誤った我々の常識に、「鳥目(とりめ)」というのがあって、例えば鶏(にわとり)などは夜間には目が利かない。
だが、それは家畜として飼い慣らされた結果の習性だといわれる。
つまり、多くの野生の鳥は夜間に目が利く。夜間飛行の方が、猛禽類などの襲撃を受けにくいので、彼らは夜間に飛ぶ、と教わったことがある。
その結果、この風車半島のことを渡り鳥たちの“ギロチンバリアー”だと言った人がいる。事実、鳥たちがそうした被害に遭っているという。
野生の鳥の習性として、白いものに反応するらしく、夜間に月明かりで照らされた白い風車に吸い寄せられて激突、死に至る。
例えば、宇和海・豊後水道にある洋上の水ノ子灯台には、そうした激突死した野鳥を剥製にした展示館が佐伯市側にある。それから、ナイター照明のある学校建築などでも、そうしたケースの事故がよくあるらしい。
自然条件の好立地として、クリーンエネルギーのイメージが先行する風車群だが(それは原発立地の地域性の中で)、とんだ落とし穴という次第。