この「ステン・ヨハンソン作品集」は、ユーモア、ファンタジー、シリアル、エロチック、サスペンスと様々である。
今日はその中からエロチックSFとでもいえる一編「Meti limon 境界線を引く」を紹介する。18才以下の人はこの先を読まないように。
サミラはいい友達だけど、それ以上ではない。彼女には何人も愛人がいたけど全く長続きはしなかった。彼女の性的な好みは、そう・・・ちょっと特別だった。
ある日、彼女はまたまたあのばかげた話を持ち出した。タヒチでは、愛の行為のために男を飼っているというのだ。男なんて、精液をとるために研究所の中にわずかに残っているだけだなんて誰でも知っていることなのに。そりゃあ昔は沢山いて、戦争やスポーツ、自動車レース、原子爆弾といった悲劇を引き起こしたというけど。どうしてそんなことを去勢もせずにさせておいたのか私にはわからない。機械が発明される前は男の力が必要だったかもしれないけど、それだって雄牛の方がうんと役に立つと思う。自然史の勉強で、昔は動物のように男と交わって人間を再生産したという忌まわしい事実も知ってはいるけど。
だけどそんなことを大人になっても言っているのはどうかしている。でもサミラは男をどうやって使うのか話し始めた。私にはわからないことだらけ。たとえば、男がそんなに大きくて力が強いのならどうやって一緒になれるのか。大きすぎる雄牛は雌牛の背骨を折ってしまうことがある。
―聞いたところでは、馬みたいにして乗るんだって
―馬みたいに?
―馬とは逆に仰向けに寝せて、それに乗るのよ
―それがそんなに強いのならどうしてそのままにしているのかしら?
―さあ、たぶん、つないであるのか、薬を飲ませてあるのか・・・
ばかばかしいとは思ったが、私はサミラのほら話を止められなかった。
数年が過ぎた。私はフェルナンダと結婚したが、サミラはまだ独身だった。彼女は女優としての仕事をしながら世界中を飛び回っている。
数ヶ月前、久しぶりにサミラと偶然に会った。私たちは喫茶店で話した。私は私が産んだ2才の子供がいること、まもなく今度はフェルナンダが2人目を産むことなどを話した。
サミラは世界中に行った話をした。そして、彼女はなぞめいたほほえみを浮かべながら話し始めた。
―私、タヒチにも行ったのよ。なぜだかわかるでしょう?
―じゃあ、現実に戻ったでしょう?
―そうだけど、あなたの考えているようなことではないわよ。
―男たちを見たというの?
―「タヒチの野生の男」よ。私、触りさえしたわ。
―触った?! どうやってそれに出会ったの?
―売春宿なのよ。
―じゃあ、そのために飼っているの? 男の売春婦として? お金を払ったの?
―そうよ。ふつうの売春婦よりも高くついたわ。
―つながれていたの?
―ちがうわ。残念だけど野生でもなかったし、噂ほど大きくもなかったわ。見たところはほとんど人間と変わらないのよ。「g^i それ」なのか「s^i 彼女」なのか、どう言えばいいのかしらね。昔は男のための代名詞もあったということだけど。
―それで、あなた、それと愛し合おうとしたの?
―小さな部屋へ行ったの。それは服を脱いで横になったわ。
―それって張り型に似ていた?
―形はね。色はよくなかったけど。つかんでみたら・・・
―つかんだの?!
―もちろん。血が脈打っているのを感じたわ。張り型の振動とは明らかに違う感じだったわね。だけど、そこまででやめにしたわ。匂いがちょっとね。
―匂い?
―ええ、香水で誤魔化していたけど妙に動物臭いの。10年前だったら何でもやってみたかったけど、私も年取ったのね。どこかで境界線を引かなきゃ。そうでしょ?
写真はこれもムーのおみやげ。ミャオ族の刺繍製品。
今日はその中からエロチックSFとでもいえる一編「Meti limon 境界線を引く」を紹介する。18才以下の人はこの先を読まないように。
サミラはいい友達だけど、それ以上ではない。彼女には何人も愛人がいたけど全く長続きはしなかった。彼女の性的な好みは、そう・・・ちょっと特別だった。
ある日、彼女はまたまたあのばかげた話を持ち出した。タヒチでは、愛の行為のために男を飼っているというのだ。男なんて、精液をとるために研究所の中にわずかに残っているだけだなんて誰でも知っていることなのに。そりゃあ昔は沢山いて、戦争やスポーツ、自動車レース、原子爆弾といった悲劇を引き起こしたというけど。どうしてそんなことを去勢もせずにさせておいたのか私にはわからない。機械が発明される前は男の力が必要だったかもしれないけど、それだって雄牛の方がうんと役に立つと思う。自然史の勉強で、昔は動物のように男と交わって人間を再生産したという忌まわしい事実も知ってはいるけど。
だけどそんなことを大人になっても言っているのはどうかしている。でもサミラは男をどうやって使うのか話し始めた。私にはわからないことだらけ。たとえば、男がそんなに大きくて力が強いのならどうやって一緒になれるのか。大きすぎる雄牛は雌牛の背骨を折ってしまうことがある。
―聞いたところでは、馬みたいにして乗るんだって
―馬みたいに?
―馬とは逆に仰向けに寝せて、それに乗るのよ
―それがそんなに強いのならどうしてそのままにしているのかしら?
―さあ、たぶん、つないであるのか、薬を飲ませてあるのか・・・
ばかばかしいとは思ったが、私はサミラのほら話を止められなかった。
数年が過ぎた。私はフェルナンダと結婚したが、サミラはまだ独身だった。彼女は女優としての仕事をしながら世界中を飛び回っている。
数ヶ月前、久しぶりにサミラと偶然に会った。私たちは喫茶店で話した。私は私が産んだ2才の子供がいること、まもなく今度はフェルナンダが2人目を産むことなどを話した。
サミラは世界中に行った話をした。そして、彼女はなぞめいたほほえみを浮かべながら話し始めた。
―私、タヒチにも行ったのよ。なぜだかわかるでしょう?
―じゃあ、現実に戻ったでしょう?
―そうだけど、あなたの考えているようなことではないわよ。
―男たちを見たというの?
―「タヒチの野生の男」よ。私、触りさえしたわ。
―触った?! どうやってそれに出会ったの?
―売春宿なのよ。
―じゃあ、そのために飼っているの? 男の売春婦として? お金を払ったの?
―そうよ。ふつうの売春婦よりも高くついたわ。
―つながれていたの?
―ちがうわ。残念だけど野生でもなかったし、噂ほど大きくもなかったわ。見たところはほとんど人間と変わらないのよ。「g^i それ」なのか「s^i 彼女」なのか、どう言えばいいのかしらね。昔は男のための代名詞もあったということだけど。
―それで、あなた、それと愛し合おうとしたの?
―小さな部屋へ行ったの。それは服を脱いで横になったわ。
―それって張り型に似ていた?
―形はね。色はよくなかったけど。つかんでみたら・・・
―つかんだの?!
―もちろん。血が脈打っているのを感じたわ。張り型の振動とは明らかに違う感じだったわね。だけど、そこまででやめにしたわ。匂いがちょっとね。
―匂い?
―ええ、香水で誤魔化していたけど妙に動物臭いの。10年前だったら何でもやってみたかったけど、私も年取ったのね。どこかで境界線を引かなきゃ。そうでしょ?
写真はこれもムーのおみやげ。ミャオ族の刺繍製品。
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