チェ・ゲバラというのはキューバ本国でも英雄だが、長い独立と革命の歴史の中のたくさんの英雄の一人である。ホセ・マルティとか、もっと重要な役割を果たした人が何人もいる。しかしゲバラは世界ではもっともよく知られた革命家の一人であり、従って観光の目玉の1つでもある。私自身、キューバの歴史についてはあまり知識がなかったがゲバラの名前だけは知っていた。
カマグエイやサンタ・クララはゲバラが活動した地域なので、特にゲバラの像が目につく。
キューバの人民ペソ紙幣にはゲバラの肖像が使われている。
余談だが、キューバ旅行の終わり頃、テレビで話をするフィデル・カストロ首相を何度か見た。病気から回復して毎日のようにテレビに出ていたらしい。現在の実質的な指導者は弟のラウルだが、この弟の方が古くからの社会主義者である。
少し調べてみたが、フィデル・カストロというのは実におもしろい人物である。若い頃に独裁者バチスタと戦って警察に追い回されたりする一方、バチスタとも遠縁にあたる名門令嬢と結婚し、マイアミで高級車を乗り回して豪遊したこともある。結婚にはバチスタ自身からも多額の祝儀をもらったという。かとおもえば、1948年、メジャーリーグ選抜チームがキューバを転戦し、ハバナ大学と対戦したときのハバナ大学の主戦投手がフィデル・カストロだったという。カストロはメジャーリーグを3安打無得点に抑えてしまい、その年のストーブリーグではニューヨーク・ジャイアンツが彼を指名し年棒5千ドルを提示したという。
キューバ革命の初期段階のカストロはアメリカの支持を追求するなど社会主義を目指してはいなかった。しかしアメリカの方が自分の権益を守るために干渉を続け、そのことがカストロを社会主義に向かわせることになる。