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◇企業システム◇シマンテックが、インターネット犯罪に対する県民性を調査

2010-03-01 09:15:56 | セキュリティ

 【セキュリティ】シマンテック コーポレーションが、日本全国の 4,700 名のインターネットユーザーに対して実施した「インターネット利用時の防犯意識と実態」調査結果から、インターネット利用において、防犯意識が高くインターネット犯罪の被害に最も遭いにくい県民を総合的に判断すると、「堅実」で「情報に敏感」な県民性を持つ奈良県民であることがわかった。また、反対にインターネット犯罪に遭う可能性が最も高い県民を今回の調査と県民性から判断すると、「好奇心が旺盛で流行りものに飛びつく」香川県民と、「衝動的な言動が多い」秋田県民であることが判明した。この調査は、現実社会とインターネット利用時における意識の相違や防犯意識などを 47 都道府県別に調べ、県民性から分析をしたもの。(シマンテック:10年2月23日発表)

 【コメント】セキュリティに対する認識の違いは、人それぞれであり、一概にどうだこうだとは、なかなか断言できないのが普通である。しかし、一方では「ある国では、セキュリティに対する認識が甘く、よくトラブルを起こしている」と言ったセキュリティについての国民性の相違について、聞くことも少なくはないのも事実である。日本国内の県民のセキュリティについての認識の相違について調査したのが、今回のシマンテックの調査なのである。ある意味で大胆な調査であり、ある意味では、これまで触れられなかった調査だけにその内容について興味がわく。

 <クレジットカード> 全国平均 59%①クレジットカード決済を最も好む 愛知県 (69%)、茨城県と新潟県 (ともに 68%)②クレジットカード決済を最も好まない 沖縄県 (47%) と青森県 (48%)  

 <インターネットバンキング>全国平均 7.6%①インターネットバンキング決済を最も好む 福島県 (12%)②インターネットバンキング決済を最も好まない 千葉県、山口県、大分県 (ともに 3%)

 <代金引換 (代引き)> 全国平均 13%①代金引換を最も好む 鳥取県 (21%)、山形県 (20%)、宮城県と鹿児島県 (ともに 19%)②代金引換を最も好まない 広島県 (6%) と埼玉県 (7%)

 <銀行、郵便局やコンビニエンスストアでの振り込み> 全国平均 18%①振り込みを最も好む 大阪府 (29%)、沖縄県 (28%)、熊本県 (27%)②振り込みを最も好まない 東京都 (9%)、福島県と茨城県 (ともに 10%)

 奈良県は、セキュリティソフトの使用率は 87%で、これは「安全」や「安心感」のための用心や確実に対策を施す高い堅実性をもつ「県民性」を反映していると言える。また、新しいことや情報には敏感で、インターネットの利用歴も比較的長い「7 年以上」との回答が 74%と全国 2 位であった (全国平均 66%)。なお、「初対面の人の話を信じるか」に対しては、「全然信じない」、「あまり信じない」と回答した合計が 54 名で 3 位であった。さらに、詐欺や他人に騙された人の話を聞いた時は、「自分も注意しなければと思う」が、86% (5 位) となっている。安易に人や物事を信じなかったり、自分事として注意したりするため、騙されにくく、総合的に見るとインターネット犯罪の被害者となりにくいと言えるであろう。

 ナンバーワン戦略研究所の所長で、県民性や地域性を活用したマーケティング戦略の執筆や講演を多数されている矢野 新一氏は、以下のように述べている。「奈良県民は、昔から県内に住んでいる『旧奈良県民』と、親が移り住んだ『新奈良県民』に大きく二分できる。『旧奈良県民』は『奈良の寝倒れ』という言葉があったように、太陽が出たら起きて仕事をはじめ、太陽が沈むと寝るという農業中心の地域性もあり、奈良県民の慎重で消極的な性格を表している。今でも万事に置いて熟慮型と言える。そのため、無難さや安心感を求める傾向が強く、納得すれば金銭を払うこともいとわない。また、『新奈良県民』は、親が大阪から移住してきて、奈良で生まれた、もしくは小さい頃に大阪から移住してきた人で、『大阪商人』の気質の影響を受けているので、『旧奈良県民』よりは金銭感覚に長けているので、大阪人と同様、騙されにくい傾向がある。また、ベッドタウン地域の人はおしなべて流行には敏感なため、インターネット犯罪などに関する新しい情報も入手している可能性が高いことから、インターネット犯罪による被害を回避できる可能性が高いと言える」。また、「奈良県民の堅実性と情報収集に長けた県民性は、インターネット犯罪から身を守るために重要な要素であると思われる」と矢野氏は見ている。

 このようなセキュリティに対しての認識は、県民性により微妙な相違を見せる。ただ、県民性より、その人の置かれた環境が同じだと県民性を越えて同一の結果になることが多いと思われ、県民性がどこまで影響を及ぼすのか、微妙な結論となるのではないか。血液型と同じく、県民性というものが果たしてどこまで科学的根拠があるのか、もう一度考えてみたい。そうしないと、社内で「あんたは○○県出身だからセキュリティ担当に向く、向かない」といった議論になりかねない。ただ、今回の調査は、興味ある調査であることだけは確かだ。(ESN)