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◇企業システム◇“メインフレームの終焉”は果してほんとなのか?

2008-08-20 15:56:03 | 視点

 【視点】最近、ユーザーの仮想化ソフトへの関心が高まっている。これは大量に導入したサーバー類を統合化して、コストの削減とシステムの再構築を狙ったものだ。過去、企業のホスト機はメインフレームあるいはオフコンが担ってきた。その後、単体のパソコンを各企業が導入し始め、それらのパソコンはLANで相互にネットワーク化され始め、それらを束ねるためにサーバーが導入された。各企業ともホスト機と並行してクライアントサーバーシステムが稼働し始めていった。そしてこのクライアントサーバーシステムが年々機能を向上させ、遂にはホスト機をリプレースするところまできた。サーバーのOSにはUNIX、WindowsそしてLinuxとオープン系のOSが採用された。これと同時にWebシステムが企業システム取り入られる動きが始まり、現在ではクライアントサーバーシステムに取って代わっているケースが多い。

 Webシステムはサーバー側で集中管理する機能を持っており、ある意味では集中システムといえる。Webシステムに行き着くまでの間、企業の各部門に大量のオープン系サーバー類が導入されたわけである。ある意味では企業システムは無政府状態といった感じに陥ってしまった。そして現在、各企業ではこの企業システムの無政府状態から脱し、仮想化ソフトを導入することによって、統制の取れた企業システム構築へ向かおうとしているのである。ここでは当然サーバーの統合化が図られ、結果としてコスト削減が実現されることになるため、各企業は余計にに力を入れることになる。

 しかし、このサーバーの統合化の流れを追っていくと、最後にはメインフレームあるいはオフコンの再評価を迫られるかもしれない。もともと企業システムは集中処理が原則だ。企業の多くのデータは、最終的には一カ所で集中管理されるのが、もともと原則なのである。内部統制が企業に厳しく問われるようになってきたいま、集中管理が大きな課題になることは避けて通れない。一時期、“メインフレームの終焉”といったことがいわれ、現にメインフレームの出荷額は減少し続けている。しかし、今後、サーバーの統合や内部統制の強化などのニーズがさらに高まると、メインフレームが再評価されないとも限らない。IBMの利益の多くはまだメインフレームに依存しているともいわれるほどで、メインフレームに対する信頼は根強く存在しているのである。

 最近の発表でもメインフレームはちょくちょく登場する。ここでは、日立製作所CAの発表を紹介しておこう。日立製作所はこのほど、日立のストレージシステムとIBM製次世代メインフレームとの互換性および相互接続性検証をIBMと共同で行い、完了したことを発表した。これによってメインフレームユーザーがデータ・マイグレーションやレプリケーションなどのストレージサービスを受けることが可能になるという。一方CAは、IBMのメインフレーム用の管理ソフトウエア類の機能拡張を発表した。同社では「メインフレームは理想的なプラットフォームとして、大きな復活を遂げつつある」とコメントしている。(ESN)