【システム開発】日立情報システムズとパワード プロセス コンサルティング( PPC)は、PPCが国内に提供しているBPM製品「jCOM1」(ジェイコムワン)を活用したBPMサービス事業において、戦略的パートナーシップ契約を締結した。日立情報では、同契約に先立ち「jCOM1」を自社で導入し、その経験とノウハウを活かして同製品を活用したBPMコンサルティングサービス(BPMサービス)を開始する。日立情報ではこれまでの取り組みを通じて、BPMサービスのさらなる拡大を図るにはコンサルティングの効率性向上が重要であると考え、そのためには、簡単なモデリングで業務プロセスを実行環境に即時変換できるBPM製品が有効であり、これを実現する製品として「jCOM1」を選択したもの。(日立情報システムズ:10年3月31日発表)
【コメント】これからの企業は自社システムを構築しようと思えば、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)は必須の要件となろう。BPMとは、ビジネスプロセスのマネジメントサイクルに対し、継続的な業務改善を遂行しようとする経営・業務改善のコンセプトのことを指す。要するに業務改善を図る際に、一案件づつの対応でなく、企業システム全体としての整合性を持った最適解のシステムを構築しようとする継続的な取り組みのことを言う。
これまで各企業の情報システム部門は、個々のエンドユーザー部門と話し合い、一システムづつ構築してきたわけであるが、グローバル化や企業統合が当たり前のように行われる現在においては、このような手法では、企業全体から見ると統一の欠いた、整合性のないシステムを構築してしまう。日立情報システムズでは、これまでQuickWin手法で実現するBPMコンサルティングサービスを提供してきた。BPMコンサルティングサービスフェーズ1では、インタビューによる”現状業務プロセス”の可視化を10日間で実施し、レポートとして提出、経営方針/経営目標とのフィットアンドギャップから改善すべき課題を提示する。また、フェーズ2では、 フェーズ1の改善課題を受け、”新業務プロセス”の可視化を20日間で実施し、実現可能なあるべき姿を提示し、ユーザーの業務改革やシステムの導入への足がかりを提供する。
今回、日立情報システムズは、BPM事業で新たにPPCと提携した。PPCは、独jCOM1(ジェイコムワ
ン)社の国内総販売代理店として、09年2月より同製品を国内に提供している。「jCOM1」は、業務ユーザ間のコミュニケーションフローを中心に据えた、人や組織を基点にプロセスを描く手法である「サブジェクト指向」のBPM(S-BPM:Subject-oriented BPM)製品。業務ユーザ自らがプロセスモデル作成と最適化を行うことが可能であり、モデリングからビジネスプロセスの実行まで、技術部門やIT部門とシームレスに統合することが可能。これは、作成したプロセスモデルと実業務との乖離や、高額な外部コンサルティング料金がしばしば課題となる従来型BPMと一線を画すアプローチといえるもの。
さらに、jCOM1は、企業のIFRS(国際会計基準)対応を支援することが注目される。IFRSが導入されると、業務が変わり、経営が変わる。これに伴い、企業は会計を取り巻く急速で大幅な環境の変化に追随できる体制を作らなければない。そのためには、会計システムやレポーティング機能の改修だけでは不十分となる。jCOM1は、IFRSで求められる経理や営業などの業務プロセスの変更に迅速に対応し、継続的に改善管理するBPM製品として、必要な機能を提供する。このように今後のBPMはIFRS対応が絡んでくる製品であることから、企業ユーザーは、クラウドの動向と同じくらいに、今後BPM製品のウオッチが欠かせない。(ESN)