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◇企業システム◇日本IBMがプライベートクラウド製品の最新版を発売

2009-11-16 11:15:38 | クラウド・コンピューティング

 【クラウド】日本IBMは、エンタープライズ・プライベート・クラウドにおいて、設置から数日でクラウド環境が利用可能となる製品の最新版「IBM CloudBurst(クラウドバースト) V1.2」の提供を11月30日より開始する。「IBM CloudBurst」は、クラウド環境構築のためのサーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアをすべてあらかじめ組み合わせた製品に、その導入サービスをパッケージしたソリューション。新製品は、新たにメータリング機能と電力監視機能を追加したことが特長となっている。これらの機能により、従量課金のためのリソース使用量の情報収集や、IT資源や電力の監視および効率的な利用が可能になった。(日本IBM:09年11月5日発表)

 【コメント】新しいクラウドサービスが、大手IT企業から相次いで発表になっている。それもプライベートクラウドが中心になっているのが特徴である。これは、個人の利用なら、自分のデータが地球上のどのセンターで処理されようが、そう大した問題ではないが、企業ともなるとそうもいかないからだ。クラウドコンピューティングのクラウドとは文字通り雲のかなたを指すわけで、データが今どこにあるかはユーザーでは掌握できない。これでは困るというわけで大手IT企業は、一ユーザー企業内で完結するプライベートクラウドの構築を提案し、これなら安心できますよとセールスを始めたわけである。

 今回、日本IBMが発表したプライベートクラウドシステムの最新版「IBM CloudBurst(クラウドバースト) V1.2」も、この中の一つである。この「IBM CloudBurst」は、クラウド環境構築のためのサーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアをすべてあらかじめ組み合わせた製品に、その導入サービスをパッケージしたソリューションである。今回障害時のフェイル・オーバー機能を組み込んだことにより可用性を高め、実環境でも安心して利用できるようになったという。また、新たにメータリング機能と電力監視機能を追加したことが特長で、これらの機能により、従量課金のためのリソース使用量の情報収集や、IT資源や電力の監視および効率的な利用が可能になった。特に、従量課金のためのリソース使用量の情報収集機能は、今後のクラウドサービスのカギとなる技術の一つである。

 今回の日本IBMの発表の前に、日立製作所、富士通、NECの国産大手IT企業は、プライベートクラウド構想(製品)を発表しており、今後市場で、激しいセールス合戦が繰り広げられようとしている。

 日立製作所は、高信頼で高セキュリティなクラウドコンピューティング環境を実現するソリューション「Harmonious Cloud(ハーモニアスクラウド)」において、複数の仮想化技術に対応し、ユーザー企業内にクラウド環境を構築するプライベートクラウドソリューションをメニュー化し、提供を開始した。また、同時に、ビジネスPaaSソリューションを強化。特に、クラウド環境の構築で重要となるサーバ仮想化技術については、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のサーバ仮想化機構Virtag(バタージュ)に加え、VMware、Hyper-Vもサポートし、マルチプラットフォームでユーザの要件に応じたプライベートクラウド環境の構築を可能としている。

 富士通は、ユーザー先の基幹システムを企業内クラウドとして構築するための製品、サービスを順次提供を開始した。仮想化や自動化などのクラウド技術でシステム最適化を実現するための製品強化に加え、マルチベンダー、マルチプラットフォーム環境に対応した新規製品および支援サービスの提供を開始した。また、クラウドコンピューティングに関する商談対応のための体制を強化し、クラウド利用サービスに加えて、ユーザー先での企業内クラウドの構築まで対応できる一貫した営業支援を行っていくことになった。さらに、企業内クラウドを構築するためのクラウド技術を体系化、標準化し、支援サービスとしてユーザーに提供する「クラウドインフラセンター」を新設した。

 NECは、クラウド・コンピューティングを支える次世代IT基盤の実現に向け、ITプラットフォーム製品の開発指針および製品強化計画を策定し、「REAL IT PLATFORM Generation2(リアル・アイティ・プラットフォーム・ジェネレーション・ツー)」として発表した。同社は、06年7月にITプラットフォームビジョン「REAL IT PLATFORM」を発表し、同指針に沿って、「柔軟」、「安心」、かつ「快適」なIT基盤を実現する製品群を提供してきたが、このたび発表した「REAL IT PLATFORM Generation2」は、従来ビジョンをさらに進化させ、今後、クラウド・コンピューティングによって変化する企業のビジネスニーズに的確に対応することを目的として策定したもの。NECは、同ビジョンに基づいて策定した今後3年間の製品強化計画に沿って、新製品を順次、提供していく。主なターゲットとしては、クラウド・コンピューティング時代に向けて、データセンター構築を検討している企業や官公庁、データセンター事業者などを想定している。(ESN)