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◇企業システム◇三井物産がマイクロソフトの仮想化ソフトを導入し1000台のサーバーを統合・集約

2009-11-04 09:16:38 | ストレージ

 【ユーザー】三井物産は、マイクロソフトの最新サーバーオペレーティングシステム Windows Server 2008 R2および仮想化技術Hyper-Vを採用し、既存システムのプラットフォームの集中化を推進する。同仮想化基盤は09年6月より先行的に一部稼働を開始しており、10月末より本格稼働を順次開始となった。さらに、来年11月を目途に約定管理や物流を含めた全社基幹システム基盤をHyper-Vを最大限に活用しながら移行する予定となっている。(マイクロソフト:09年10月28日発表)

 【コメント】仮想化ソフトを導入することによって、機能は現状と変わらず、サーバーなどの数を削減できることで、コスト削減の効果が得られ、CO2削減対策にも貢献できる。さらに、システム管理が容易にできるため、人件費の向上にも貢献できることなどから、現在、導入を図る企業ユーザーが増えている。また、現在注目を集めているクラウドを実現するための必須の要件として、仮想化ソフトは欠かすことができない技術になっていることからも、今後の企業システムにとって重要なテーマである。

 仮想化ソフトのベンダーは、当初ヴイエムウェアが独走態勢にあったが、OSSの仮想化ソフトXenを買収したシトリックス・システムズやマイクロソフト、オラクルなど、ヴィエムウェアを追撃するベンダーが、現在、急速に体制強化を図りつつある。今回、三井物産がマイクロソフトの仮想化ソフト「Hyper-V」を導入したことは、ヴィエムウェアを追撃するマイクロソフトにとっては、まことにもって強力な後押しとなったはずである。もともとマイクロソフトも独自の仮想化ソフト製品をもっていたが、ハードの上に直接仮想化ソフトを載せるハイパーバイザー方式を採用した新製品が、07年から提供を開始した新しい独自仮想化ソフト「Hyper-V」であり、現在マイクロソフトが普及に最も力を入れているソフト製品の一つだ。

 三井物産は現在、グローバル・グループベースでの情報戦略の強化とITを活用した新ビジネスモデルの創出促進を図っている。この対応策の一つとして、最先端の仮想化技術を早期導入し、サーバー統合による運用管理コストの低減とビジネスの変化に柔軟に対応できるシステムの構築を検討してきた。これにより、ビジネスインフラ整備を通じた競争力の強化により、あらゆる顧客ニーズに応えられる「グローバル総合力企業」を目指すことにしている。

 これに基づき今回、仮想化技術を採用したシステム基盤の集中化により、三井物産が現状保有する約1,000台の物理サーバーを統合・集約していくことになったもの。これにより、運用管理コストおよび消費電力の削減を見込んでいる。同社の今回の導入は、企業の基幹システムにおけるHyper-Vを活用した仮想化基盤導入事例では、国内最大規模での導入となるという。

 今後、仮想化ソフト市場は、ヴイエムウェアを追撃する動きが激しくなり、どこが仮想化ソフトでイニシアチブを握るか、予断を許さない状況になってきた。(ESN)