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◇企業システム◇SAPジャパンが世界に先駆け「ビジネスプロセス・エキスパート認定制度」開始

2008-12-08 11:46:04 | システム開発

 【システム開発】SAPジャパンは、日本におけるユーザーおよびパートナーとのエコシステムを拡張させる施策として、SAPのコンサルタント、開発者、システム管理者向けのオンラインコミュニティサイトである「SAP Community Network(SCN)」の日本語化および日本人向けサービスを開始する。また、日本市場におけるSOA推進のため、グローバルに先行して、ビジネスプロセス・エキスパート認定制度を開始することになった。これはビジネスプロセス指向で全社規模のシステムの構造最適化を行う上級コンサルタントを育成するためのトレーニング3コースの提供を開始するもので、日本語の認定試験も同時に開始する。 (08年12月3日発表)

 【コメント】今回SAPジャパンが世界に先駆けビジネスプロセス・エキスパート認定制度を開始することになったのは、大げさに言えば「企業システムにもようやく希望の光が見え始めた」ということがいえる。これは何故かというと、これまで企業システム開発はIT技術と経営の2つのジャンルがうまくかみ合わないまま、ずるずると今日に至ってしまっている。この結果、費用対効果が明確にならない企業システムが世の中には数多く存在する。経営側からとってITは何か分からないが、ひょっとして経営の改善に役立つことをしてくれる、という淡い期待を常に持っている。これに対しIT技術者は、経営のことはからきし関心はなく、ただIT力を発揮できるのなら何でも開発してしまう。そこには経営とITとが融合されないまま別々に存在しており、この果、莫大な費用をかけシステムは構築したものの、果たして経営にどれほど貢献しているのが皆目分からない企業システムが横行することになる。

 今回SAPジャパンが開始する「ビジネスプロセス・エキスパート認定制度」は、経営とITとの深い溝を埋める役割を演じることができる可能性がある。最近流行のCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)は米国において企業システムの有効性を高めようと考え出された制度であるが、これをそのまま日本に適用してほんとに成果が得られるのであろうか。米国の経営はトップダウン方式であり、経営者がこと細かく従業員の仕事に対し指示を行い、それに基づき成果を評価する。これに対して、日本的経営は、トップはぼんやりとした最終の目標は掲げるが、こと細かな具体的な業務については口は出さないことが多い。このように日米の経営方式は大きく異なる。このような状況でCIO制度を声高に叫んでも、多分あまりいい結果は得られないのではなかろうか。

 企業システムで一番大切なのは、ビジネスプロセスがうまく機能しているかどうかである。いくらCIOを配置してもビジネスプロセスがうまく機能していなければ、何の価値もない。人間はどうしてもセクショナリズムに取り囲まれることになりがちだ。例えば、医者は内科と外科では別々の判断をして、患者個人を全体として見ることは少ない。役所も自分の担当でない業務には一切口出ししない。企業システムがうまく機能しないのは、自分の仕事の領分だけを考え、全体のビジネスプロセスを考える人がいないために起きることが多い。