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◇企業システム◇SAPジャパン、住生コン、ブレアコンサルの3社がCRMソフトの新機能で協業

2008-07-30 15:28:36 | CRM

 【CRM】SAPジャパン、住生コンピューターサービス、ブレアコンサルティングの3社は、SAP CRMをベースに従来の「商談フェーズ管理(ビジネスプロセス進捗度)」だけでなく、“理(=自社、自分をどれだけ認めてもらっているか)”と“情(=どれだけ親密な関係か”の進化を示す「ASKの進捗度(顧客ニーズや顧客状況の把握)」という指標を追加し、評価、管理することで、商談フェーズの進捗管理を、より日本のビジネスに即したソリューションを開発し、販売を開始した。これにより導入企業は、営業スキルの共有や課題の把握、さらには新入社員などの短期育成や商談成立後のフォローアップなど、人間的部分に依存する情報を形式知化させることが可能となり、結果として企業全体の営業力を高めることができるようになる。 (08年7月28日発表)

 【コメント】CRMソフトはコールセンターなどでは欠かせないツールとして市場に定着している。これらのCRMソフトは売り上げ見込みや請求時期、過去の取引などの商談フェーズを業務的に管理する機能を有しており、これらのデータを基にコールセンターでオペレーターが顧客との対応に当たり、売上げ向上を実現させている。今回3社から発表されたCRMソフトは、これらに加えセールスマンが自社製品を販売するのに当たり、顧客とどれほど親密になっているか、顧客からの認知度がどのくらいかなど、これまで数値化されてこなかった点を数値化しようとする試みがなされている。

 既に似たような試みは行われている。バランススコアカードやナレッジマネジメントなどでは、これまで数値化が不可能な領域までも踏み込んで数値化し始めている。今回のCRMソフトは、SAPのCRMソフトをベースに、ブレアコンサルティングが長年にわたって蓄積した営業力向上ノウハウを盛り込んで、企業ユーザーに販売しようとするもの。このようなソリューションが提供され始めたの背景には、現在CRMソフト自体に差別化が求められていることを意味する。SaaS型のCRMソフトとしてセールスフォース・ドットコムやネットスイートなどに企業ユーザーの関心が集まっているが、これらのSaaS型CRMソフトはWeb機能について、パッケージ型CRMソフトの一歩先を行っている。このような状況下、パッケージ型CRMソフトとしては新たな付加価値機能をアピールする必要が出てきている。今後、CRMソフトの機能競争が激化しそうだ。(ESN)