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小説「2023年日本転移」29話

2020年12月30日 | 小説

             29話 日本社会再び

2025年12月1日。 
漁士、海洋大型動物を狩る者達を称え大勢がそう呼んだ。
漁士が使う道具は35ミリ対空対地機関砲、自己誘導迫撃銛(80度で打ち出され
高度600m直上から獲物に突き刺さる物理衝撃弾であり役目は大きな釣り針)
120ミリ短距離低速榴弾砲(有効距離700m)

キャッチャーボート。
船首に35ミリ機関砲、自己誘導迫撃銛2、舷側に120ミリ短距離低速榴弾砲6門、
舷側に捕獲砲8門、迫撃銛衝撃緩和装置、ハンティングブリッジに怪物ソナー、
航跡自画装置(等距離表示)、レーダー、通信、位置など航海用機器。
偵察用ドローン12機、救命ボート8。
全長80m全幅10m、推進は高圧蒸気レシプロエンジン46ノット。総員54名。

北方海域。
北方海域猟士隊本部、要員300名。
第1猟士隊、隊長安岡、支援含む100名。
第2猟士隊、隊長木村、同上
第3猟士隊、隊長宮下、同上
第4猟士隊、隊長根本、同上

南方海域。
南方海域猟士隊本部、要員300名。
第1猟士隊、隊長岡本、支援含む100名。 
第2猟士隊、隊長大木、同上
第3猟士隊、隊長山本、同上
第4猟士隊、隊長黒田、同上

猟1号。安岡は艦橋の艦長席に体をベルトで固定し前に在る3段6列のモニター
を注視しつつ前方の海原を厳しい表情で睨みつけている。
年寄の痩せた体躯と顔の筋肉質は高い緊張感を周囲に与えた。
モニター上段6枚はドローン映像であり通常40キロ最大80キロを映す。
中段は航海用でありレーダーや通信、位置、緯度経度航路表示。
下段は狩猟用で海中カメラ、狩猟ソナー、ハンティングブリッジカメラ、
狩猟航路表示、弾薬量、燃料量、狩猟獲得物等の表示。
航海は航海士席、狩猟はハンティングブリッジ、狩猟装備等は狩猟長、
船舶管理は主計長が行うので通常は艦長の指示や介入は不要。

目を閉じて振り返る・・・
死を覚悟した陸地偵察、個体生物確認の驚愕、理解を超えた天変地異。
同胞75%が死亡という悲しみと絶望・・・まだ2年ほど、よくぞここまで。
回収し修理した多種の船で狩猟してきたが、この艦は新造船。
「艦長!30分後目標位置!」副長の声にゆっくりと目を開けた
「良し!速度巡航、ドローン偵察高密度!」
「はい、巡航、偵察高!」
「報告、高度200光学探査」
「報告、30・270・距離38000生物音響多数」
「ふむ、大群か・・・」

高度400mの映像に映るのは・・・
クジラの様な80mの体躯に15mの首を持つ狩猟対象の獲物。
今までは攻撃力不足と船の小ささで狩れなかったが、今回からは!
20mの亀?40mの魚?長さ300mの芋虫?形態や大きさ、色も多種多様・・・
海面下にさらなる大物も・・・
狙いは、首クジラと乗員が呼ぶ1種類。80mの大物だ!
「命令!目標は80m首クジラ3頭!」
「砲撃室より、目標選択1番から6番!」
「艦橋受領!」
「目標1番、全速前進!」
「ドローン1番に展開」
「迫撃用意!」
「1番2番用意完了!」
「進路、目標左舷800m!」
「左舷800!」
「目標、距離1600」
「レーザーロック!熱マーカー発射!」
「着弾!」
「ドローン、熱マーカー確認!」
「艦長だ!距離900で砲撃!」
「砲撃室、受領!」

ポンという音だけで迫撃銛がわずかな蒸気を出しながら80度で急上昇。
8秒で600mに到達、見てると遅く感じる速度だがワイヤを引いてるので低速は
設計による物。落下は自己誘導で熱マーカーをめざし無音で一直線。
強固な体表を貫いて深く食い込みはずれはしない。
暴れる獲物に舷側を向け120ミリ榴弾で打撃を加え抵抗を奪う。
「120ミリ砲撃!」
「受領、砲撃開始!」
3門の榴弾砲が火を噴いたが音響は低い、低音燃焼火薬採用の効果だ。
6発入り弾倉により連続砲撃が出来る。18発の着弾に獲物が動きを止めた。
ワイヤにブイを付け、次の獲物に向かう。

3番に逃げられ4番でようやく3体を狩れた。
回収し曳航で帰還航路を進む・・・
小型の獲物を舷側捕獲砲で狙い撃ち!戦車装備の応用で航行砲撃で命中率90%。
艦長以下、全員の想い。わずかでも食料を持ち帰る!

調査隊の全員が猟士隊に参加し凶暴残虐な個体怪物の生息する陸に近づく
危険を犯し海洋大型動物を狩猟し被災国民の食料を獲得した。
日本の漁労は海洋大型動物の狩猟により復活していくと大勢が希望を持った。

 


北海道、2025年12月8日。
ユウマ達は北見に安住の地を得ていた。
ユウマ家に家地10000平方m(3300坪)領地10万平方m(33000坪)
タダシ家の家地10000平方m(3300坪)領地10万平方m(33000坪)
ユウマと妻ミチ。タダシと妻ナツであり熱烈な命を賭した大恋愛で結ばれた。
仲間はユウマ家とタダシ家に参加し活動を同じくした。
ユウマ家は領地の農作と車両整備と射撃場。
タダシ家は農作と銃器弾薬製造であり35ミリ機関砲も製造している。
両家とも不足人員は送られてくるのだが老人が60%に顔をしかめた・・・
燃料は当初、回収油を補給されたが最近は大型動物を処理して得られる動物油
を工業的に変質させて燃料にしてる、これを領地で営んでるのが桜木家。
車両を優先的に配分され輸送を営むのが田川家。
フクハラ家・・・
18ぐらいが6人と女が9人。領地に射撃場と広い練兵場?多数の銃で武装してる。
北見連絡会議で顔を合わせては居るのだが・・・フクハラの噂は警戒を要す。
略奪と強姦で生き延びた集団であり、言えば強盗団、暴力支配だ。
ユウマ達の想いは一致
(あいつらには近づきたくない!)

第二人事総局にとって北見の家方式も試金石のひとつ。
総局の鈴木は寝たきり老人に思いを馳せた、せめて家の外を見せたい・・・
見舞えば老人達が石を家族を見るようにいつも見つめてる、孤独老人には
悲しいが確かに石も家族と想えるのだろう。
猫や犬が妙に老人を恐れながら、部屋に居るのも不思議だが?
前は喜んで老人に触れていたのに・・・まるで避けるか遠慮するようだ。
石は相変わらず変化無し。
老人達はいくらか元気に成ったとおばさんたちが噂してたが・・・
もう少し、あと少し生きて欲しい!
大災害から立ち上がる日本を見てから天国へ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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