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小説「2023年日本転移」22話

2020年12月30日 | 小説

      22話 偵察機爆散

国防軍作戦部で第一作戦課(空)第二作戦課(海)第三作戦課(陸)
の課長会議が開かれた。議題は政府による周辺領域の詳細偵察命令の作戦検討。
各作戦課副官2名参加で人数9名。
「陸として今回の偵察は山脈と海で在るから発言は後にしたい」
「良いでしょう、海としても事情は陸と同じ、むろん協力はする」
「では空としての作戦提案を・・・概略ですが説明します。
判明している事の再確認です。地形と測定誤差は全員が認識と判断する。
海抜については内海面を海抜ゼロと臨時に用いたい。気圧が2.5倍に変化した。
外輪山の一部は偵察はほんの一部であり全体の偵察が必要と考えられる。
効率的偵察に有利な高度35000~40000mを採用したい。
偵察機は12、通信中継36、救難飛行艇6、先行無人偵察機12以上が作戦参加機
であり乗員要員はここでは省略。予想着水地点に海から救援艦配置を願いたい。
陸には樺太及び北海道、千島にて救援配置を願いたい」

「空が想定する着水点の数はいかほどか?」
「最低12、希望は24か所となります」
「うーむ・・・24は・・・何とか出来るでしょう」
「万一の場合の救助ですが、配置を歓迎します」
「陸は容易には配置できないな・・・樺太は補給面から海岸近くに数か所、
北海道は14か所で了解してほしい」
「陸は念のためなので配慮に感謝します」
「海は配置まで12日としたい」
「陸は・・・配置まで24日は欲しい」
「空も準備は不足してるので40日おいて2024年5月2日配置完了で合意したい」
「海は同意する」
「陸も同意だ」
「それでは第一作戦課が詳細をまとめて部長会議に提出いたします」
陸課長と海課長が同時に軽くうなずいた。

杉原総理や鈴木第二人事総局長が日々の忙しさに日々を過ごし・・・
2024年5月3日、外域偵察作戦発動、転移後日本の総力に近い大作戦だった。
総理と大臣、鈴木は状況の詳細が判明すると期待した。

5月4日、拡大閣議に鈴木が参加し偵察報告を待っていた。
鈴木は期待を表情に出さないようにコーヒーや茶を眺めて心を整えた。
10:00、国防軍司令部より連絡将校が入室し報告書を国防大臣に渡して退出。
笑顔の国防大臣が報告書を読み終えた。
どういう訳か笑顔が消え緊張と苦しさが表情に出ている
総理が察した「報告に問題が出たのか?」
「真に・・・真に言いづらいが・・・偵察に失敗した・・・全滅・・・」
副官が報告書を杉原の前に置いた。
「読んだ後、大臣に回し全員が読み終えた」

偵察は順調に進行していた、無人機による10000m偵察は問題なく外海を偵察。
次いで偵察機は上昇、高度34000mに到達し詳細偵察に入り山頂付近を抜けよう
とした時に爆散し墜落。樺太方面の1機がかろうじて救難予想地点に着水、
機長だけが生存、直ちに救助されるが1時間後死亡。機体に激しい電撃を確認。
偵察機12乗員96名が死亡し高高度偵察は失敗。

閣議は鎮痛と無言に包まれた。
「・・・ ・・・」
「・・・ ・・・」
「総理として尋ねるのだが・・・どうすべきか?」
「偵察は必要と合意してます・・・軍はどう考える?」
「軍は・・・任務を果たします!」
「それは・・・無人機は墜落しなかった・・・」
「軍も慎重に進めて・・・なのに・・・」
責任問題はまずい、杉原が鈴木を見つめた
「違いが在るとすれば、無人機は10000m偵察機は34000m・・・」
「高度の違いで大型偵察機が雷撃で爆散の例は無い」
「確かに無いでしょうが、この世界は・・・」
総理は椅子に身を落とした
「高度34000mに・・・何かが在るのか?偵察機を爆散させる程の・・・」
「在ると仮定し被害を避けるのが大切と・・・」
「では高度32000に飛行制限で良いとの考えか?」
「いえ、それだけでなく・・・詳細の偵察は肝要と」
「うむ・・・偵察方法はどう考える」
「損傷は電撃、偵察機を非金属とセラミックで作れば良いと考えます」
「飛行制限と新型偵察機開発・・・意見は?」
総理が大臣たちを見回した
「賛成・・・以外に無いな」

偵察失敗は公表されず研究所は新型偵察機開発優先を指示された。

 

 

 

 

 

 

 

 


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