患者死亡率50%という大きな危険をはらむ鳥ウイルスが作られた。
http://www.gizmodo.jp/2011/11/engineered-avian-flu-could-kill-half-the-worlds-humans.html 鳥ウイルスに気を付けようね!
【映画でもSF小説でもない、現実のはなし。オランダの科学者が世界数
十億人を骸の山に変える致死力を備えたスーパーウイルスをこしらえて
しまいました。まあ、深呼吸、深呼吸...あ、深呼吸はまずいか...この
ウイルス、鳥インフルのくせに空気感染するんです。生成したのはロッ
テルダムのエラスムス医療センターのウィルス学者ロン・フォウチャー
(Ron Fouchier)教授。アメリカ国立衛生研究所(NIH)から「H5N1鳥イ
ンフルエンザウイルスの伝染力が強くなってパンデミックを起こし得る
かどうか、いっちょ調べてくれないか」と頼まれ、かしこまりました、
とやってみたのです(警告フラッグ!)。試しにフェレット(イタチの
一種)の群れにウイルスを撒き散らしてみたところ、ウイルスが再生
(繁殖)を繰り返すにつれ、なんだか前より速く広まるではないですか
(警告フラッグ!!)。「フェレットのなんだから人間が心配することな
いよな」って一瞬思っちゃいますけど、過去の研究でフェレット間で感
染するインフルエンザ株は人間の間でも感染することがわかっているの
ですね(警告フラッグ)。で、伝染力が強まる方向で10世代感染を繰り
返したら、ななななんと世界全人類の半分を殺す超まずい空気感染ウイ
ルス株ができてしまった、というわけ(警告フラッグ)研究では、最初
にウイルスに三つの変異を起こさせ、フェレットに容易に感染する変異
株を作成した。(フェレットは人と類似の様式でウイルス感染を起こす)しかしながら出来たウイルスはフェレット間で感染を起こさないた
めウイルスをフェレットに、より適合させるため感染を繰り返させた。
そして10回の感染の後に(感染フェレット->健常フェレット:の繰り
返し)フェレット間で容易に感染する変異ウイルスが誕生した。変異ウ
イルスは別のケージ内のフェレットに感染して、全てを死亡させた。
―New Scientistの日本語訳(pdf)より実験を率いたFouchier教授自身
も「これはおそらくみなさんが作れる中で最も危険なウイルスのひとつ
ですね」と認めており、今年9月にマルタで開かれたインフルエンザ会議
で実験の成果を発表しました。フォウチャー教授は米科学誌「Science」
にも成果を発表し、バイオテロ(生物兵器テロ)対策担当責任者がワー
ストケース・シナリオに備えられるようにしたいと考えているのですが
同僚の間からは、オイオイまかり間違って悪者の手に落ちたら大変なこ
とになる、発表はやめろ、と止められており、そもそも最初っからこん
な研究やるべきじゃなかったんじゃという疑問の声まで出ているのです
H5N1型鳥インフルは普通は鳥に感染するのですが、約10年前から人間の
中からも感染例が出始め、アジアを皮切りに世界中に広まりました。ヒ
トが感染するのは稀で、これまでに感染したのは延べ約600名。ですが、
感染した人の約半数は死んでしまうという、恐ろしい致死力を備えてい
ます。鳥インフルエンザが今以上に広まらないのは何故かというと空気
感染しないから。変異前のバージョンでは何かウイルスに汚染されたも
のに触れない限り発病はしません。ところがところがFouchier教授が生
成した変異種は空中浮遊するので、ウイルスのそばにいて、それを吸い
込むだけでもう病気に罹ってしまうのです。「その感染力は人間の季節
性インフルエンザ並みだが、致死力はもっとある」(フォウチャー教授)そんなヤバいものの作り方を科学誌に掲載しようというのだから、
そりゃ反対しますよね!研究仲間のバイオテロ専門家の間からも、この
論文を掲載すれば読んだ人が誰でもフォウチャー教授の実験成果を再現
できるようになってしまうので良策とは思えない、という意見が出てい
ますよ。編集部から論文掲載の是非判断を委ねられた米国バイオセキュ
リティー科学顧問委員会(National Science Advisory Board for
Biosecurity、NSABB)のポール・ケイム(Paul Keim)会長(炭疽専門の
微生物遺伝学者)はScience Insiderにこう話しています。
これほど恐ろしい病原体は私も他に知らない。 これに比べたら炭疽なん
て怖くもなんともないよ。しかし、フォウチャー教授や類似の研究実績
のある科学者(例えばウィスコンシン大と東大の共同研究を率いる東
大・河岡義裕教授も同じようなウイルスの報告論文をScience誌に寄稿
している)は掲載することで科学界がH5N1パンデミックに備える助けに
なる、という立場です。掲載しないと、いざ広まった時に研究者もどう
対処していいか全く分からなくなってしまうではないか、というんです
ね。鶏と卵ですが、さあ、どっちを取るのか?
[Science Insider via Geekosystem and RT]関連:オランダ研究者によ
る変異型H5N1インフルエンザウイルス作成に関する報道集 - 鳥及び新型
インフルエンザ海外直近情報集(別掲)
KRISTEN PHILIPKOSKI(原文/satomi)】