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Mo.の事件簿 A diary of Mo’s trips

事件簿などという大層なタイトルだが、実は単なる旅行記です。

12.東大寺二月堂・三月堂。

2015-01-21 | 奈良/Nara:2014
浄瑠璃寺から戻って12時。さてどこへ行こう。
初日に行けなかった東大寺か。

バス乗り放題のチケットがあるので、近鉄奈良駅から東大寺南大門までバス。
歩ける距離だと思っていたが、実際に乗ったところ、1キロくらいはあるようだった。
こういう距離が積もり積もると結構コタエるんですよ。バスに乗って良かった。






バスから降りると鹿のニオイがプンと来る。もっとはっきり言うと鹿のフンのニオイが。
南大門の前は激混み。鹿も人もいっぱいいる。












大仏殿を目の前にしながらそれへ行かずに、まずわたしは右へ折れて二月堂・三月堂に向かう。
「お水取り」の儀式を行うのが二月堂。大仏殿からはだいぶ離れている。










ぎりぎりもみじ。








こんな幟がある。この並びだと、鹿せんぺいも当然メニューのうちですよね?



比較的緩やかな階段を登り切ると、左に二月堂、右に三月堂の建物が表れる。















ここの眺望の開け方が好きだな。
二月堂は、日本には珍しいような空間構成である気がしている。手前の空間と高低差の使い方がね。雄大。
ここでお水取りの儀式がある。お水取りの儀式のためにこういう設計になったのかな。
それとも建物を作ってから、その建物の劇的効果を利用して儀式がああいう形に定着したのかな。
後者だと思うんだけどね。

だが高低差に恐れをなして、中には入りませんでした(^_^;)。



三月堂はこじんまりした建物。浄瑠璃寺でも思ったけど、ラインがきれいですよねえ。
三月堂の方には、仏像が多数収蔵されている。入って見ましょう。

だが、入場料を払って仏像の前に立った途端、衝撃の出来事が!

























……修学旅行生が入って来たんです(泣)。

さすがにねえ。100人も200人もいそうな学生の襲来には耐えられない。
そもそもその人数、建物内にホントに入るの?という感じの狭さだし。
ほとんど仏像を見ないで、早々に退散しました。
せめてあと5分早めに姿を表してくれたら、時間をずらすとか何とか対応出来たのに……。

あとから思うと、ここの近くの茶屋で茶がゆを食べておけば良かった。
茶がゆもご当地もんだろうと思って、食べたかったのだが。
その後、三月堂への再入場をお願いしてみても良かったかもしれない。ちっ、抜かったぜ。


しかしその時はもうしょうがないので大仏殿に向かいました。







大仏殿を横から。






石畳に散り敷く紅葉。







11.浄瑠璃寺。

2015-01-18 | 奈良/Nara:2014
今回初めて行って、そして堪能したのは浄瑠璃寺。

ここは前から行きたかった。九体阿弥陀仏のインパクトもさることながら、本堂と池のたたずまいが素敵。
テレビでも写真でも、常に見るたびに行きたいなー、行きたいなーと垂涎。
しかしまあ、奈良自体に20年近く行ってないのですから……今回ようやく行けて嬉しい。

ただ、浄瑠璃寺の残念なところは、……残念なところと言うのもなんだが、
なにしろ交通が不便なので、車じゃなければ1時間に1本あるかないかのバスしかないわけですよ。
で、浄瑠璃寺に車以外で行く人はみんなそのバスに乗って行く。
――終点の浄瑠璃寺で降りてぞろぞろと。まるで団体旅行のように。
せっかく冬の奈良に来て個人旅行をしている意味がない。

まあ公平なところを言うと、団体旅行というほど見物人は多くなかったですけどね。
10人弱といったところか。他の人が先に本堂に向かうなか、わたしは先に庭を廻って時間をずらした。







アプローチも鄙びていて良いなぁ。この日は雨が降っていました。


雨の滴がとてもきれいで撮りまくり。


















白梅のようだと思いませんか。























ああ、いいなあ。鄙びてて。
創建が1047年というから……なるほど、前九年の役の4年前か。平氏が都で全盛を誇る20年前。

でも、建物のフォルムが唐招提寺本堂に似ている気がする。
ゆえに建てられた時代はもっと前のように感じる。
見れば見るほど簡素で美しい。必要にして十分。
計算され過ぎていない美しさ。


本堂の中には九体阿弥陀仏がいる。


――わたしは仏像を見るのが好きだけれども、それは美術作品として見る。
あまり「ほとけさま」「キリストさま」という意識で見ないようにしている。
そういう風に思うと、造型的な良さ悪さを云々しにくいじゃありませんか。

だが、この阿弥陀仏はわたしにとって美術作品というよりも「ほとけさま」だった。
中央仏の正面に座って見上げると、予想外にふっくらとしてのんびりした感じの仏さま。
ラインがどうこう、全体的なバランスがどうこう、と思うよりも先に、
「しかたのない奴じゃのう」と呟く阿弥陀仏の声が聞こえた気がして、ほっと肩の荷が下りる。
嬉しい気持ち。

ただそののんびりした眼差しをうっすらと覚えているだけで、どんな仏像だったのかはうろ覚えだが、
ふっくらとした柔らかなほとけさま。あごの下のぷっくりが可愛い。
家から行けるところにこういうお寺があったら嬉しいんだけどなあ。

他の人が庭の方に回った後は、係の人とわたし以外は本堂におらず。
暗くて静か……と言いたいところなのだが、実はこの日は庭の池の手入れか何かで、
池の水をポンプでくみ出しており、そのポンプの音が相当うるさい。
まあ、ここで静寂に包まれると、シチュエーション的にツキすぎのような気がするから、
こんなんでもいいか、とちょっと笑える。



1時間ほどいて浄瑠璃寺を後にする。バスの時間がこれしかない。

ちなみに、この辺りは当尾の里といい、岩船寺と浄瑠璃寺を結ぶ山道は石仏などがあるハイキングコースだそうだ。
予定ではJR加茂駅からバスに乗って岩船寺へ行き、そこから歩いて浄瑠璃寺へ行こうと思っていたのだが、
この日は雨。寒さも寒いこととて浄瑠璃寺だけにしておいた。

だが、浄瑠璃寺まで着くと、そこから岩船寺までは徒歩しかないと思っていた交通手段が、
バスも1、2時間に1本あるようで、しばらくの間スケジュールの組み換えに悩んだ。
だが、やはりバスで行っても接続が悪いことこの上なく、そういうことを気にして拝観というのも
気ぜわしいだろうと思い、当初の予定通り、浄瑠璃寺だけを心穏やかに見た。
岩船寺と石仏はまた今度。


ちなみにその日ホテルで買った、奈良交通で出している「奈良公園・西の京 世界遺産 1Day Pass」は
バスのみ利用可だけれども1日500円乗り放題。
浄瑠璃寺まで片道のバス代が通常570円なのに、なんと浄瑠璃寺まで行けるんですよ。
気付いて良かった。お得。





10.ならまち……は結局あまり見てない。

2015-01-15 | 奈良/Nara:2014
長谷寺に行った後、大三輪神社→箸墓古墳に行ければ行きたいと思っていたが、
しかし時間的、あるいは体力的に無理だろうなというのは最初から見えており、実際その通り。
長谷寺で体力の限界を感じて、電車で奈良へ戻りました。

16:00に京終駅で降りた。そこから北上すればならまちを通って帰れるので、どんなもんかと思って。
でも疲れてたし、あまりちゃんと歩けず、そんなにならまちの魅力は感じられなかった。
元興寺くらいは入ろうかと思って入口まで行ったのだが、……入口が朱印状の人で混んでおり、
入館券がなかなか買えなかったので厭になって帰って来た。
実は奈良は4回目くらいだと思うのだが、元興寺にはまだ行ったことがありません。

御霊神社は一応寄ってみた。ちっちゃい神社だった。


ホテルもならまち極近だったのに、結局あまり見てないんだよね。
縁がないということはこういうことか。





そして夕方、少し早めの夕食。今日はラーメン。








「元喜神ラーメン」という店。ひがしむき商店街にある。

大仏ラーメンというネーミングに惹かれて入ったのだが、実際食べたのは鶏白湯味玉ラーメン。
大仏ラーメンは海老天に餅も入った超ボリュームのあるラーメンで、そこまでがっつり食べられないと思った。
そもそも、スープに入った餅は好きではない。
鶏白湯味玉ラーメンは、肉団子?つみれ?が入っていたのが新機軸。

けっこう美味しくてね。店員さんも感じよく、内装も良かったので、実は最終日にもう一度行きました。
その時は前にいた感じの良かった店員さんがいなくて残念だった。(注:女性)
……しかし今も時々食べたくなるので、やっぱり美味しいラーメンだったのかもなあ。
コッテリに見えてあっさり?コッテリに見えて、見たまんまコッテリ?
ああ、今思い出しても食べたいなあ。












奈良サイダー。

ラベルはとてもいい感じだと思うのだが、味は……大層微妙でした。
茶でサイダーで甘い。(茶はあまり感じないが)
飲み終えるのに苦労した。

隣のお菓子はたしか「わかくさ」というお菓子。詳細は忘れたが美味しかった。









わたしの大嫌いな「せんとくん」。ほんと、これを初めて見た時は他県人ながら、こんなんに税金を使って……と
情けなくなったわ。奈良だからって角生やせばいいと思っているのか。
「まんとくん」の方がなんぼかカワイイ。……まあ冷静に言って、デザインが適当すぎるとは思いますけどね。
キャラクターと言う意味では、奈良市観光協会マスコットの「しかまろくん」が一番カワイイ。







正統派に可愛い。癒されるこの笑顔。





9.長谷寺。

2015-01-12 | 奈良/Nara:2014
次の目的地は長谷寺。

相変わらず腰はぐきぐきしております。
安倍文殊院から桜井駅まで30分歩くのがきつかった。普段歩いてないからねえ。
でも談山神社の上り下りをして、裏山もちょっと登って、聖林寺から安倍文殊院まで歩いた後だから、
無理ないと思う。と、自分をフォローしておく。

近鉄桜井駅から近鉄長谷駅までは電車でほんの数分。腰を癒す暇もない。
そして……長谷駅から外に出たところで茫然とする。


嘘でしょ?なに、この下がって上がる地形!!


うちの地元の方だとね。電車ってのは平地を走るもんだっていう無意識のイメージがあるわけですよ。
たしかに山を越えて行く電車もあるにはあるけど、北東南への電車はひたすら平地を行くわけで……
まさか尾根の上に駅があり、目的地との間に谷があるとは全くイメージになかった。

……えーと、あのはるか遠くに道路が見えるから、とにかくあそこまでは下るってことだよね?
で、あの道路をつっきって、さらに向こうの山へ向かって登るわけだよね?
――下の道路で相当下ですよ。相当というより、相~~~~~~~~~~当~~~~~~~~~下ですよ?
勘弁してください。……そして、考えたくないけど、帰りはここ登るの?
登れるのか?わたしは。

そこから長谷寺まで1.4キロ。……ええっ!それしかありませんか!?もっとあったでしょう。
2キロくらいには感じたよ。平地に行っても足腰が痛くて、休み休み。
実はお昼ご飯をこの辺でと狙っていたんだけど、案に相違して門前町という部分になかなか辿り着かない。
長い歴史がある長谷寺だし、駅からもう門前町かと思っていたくらいなのだが……
もう足がつらいよう。泣く。


長谷寺のすぐそばまで来て、ようやく門前町な雰囲気。
その中で、結局一番長谷寺に近い「酢屋長」というお店でお昼を食べる。
三輪山がちかいせいか、にゅうめんのメニューがあり、普段そばうどんは食べないわたしもご当地ものに挑戦。

美味しかったです。しかし相当がっついたせいか、写真を撮るのを忘れた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇








長谷寺。


……そしてさらに続く階段。お昼ご飯でけっこうゆっくりしたとはいえ、まだまだ足腰のダメージは大きい。
そんなわたしに、まだこう来ますか。






さらに階段。


……そうでした。以前に写真で見たことがあったが、長谷寺はこの登り回廊が有名でした。
季節ならこの横には牡丹が咲き乱れており、「あー、きれいねー」などと牡丹を眺める(ふり)をしながら、
ごまかしごまかしゆっくり上って行くことも可能であろうのに……
今は一花もなし。ひたすら上るしかない。ひいい。







そんな中でもツッコミどころがあって、一瞬辛さを忘れさせてくれる。

これ、世が世ならお手打ちもんですよ。これを書いた人は豊臣家の歴史的な大チョンボに
思いを馳せなかったのだろうか。





そうやって登って来た甲斐のある本堂舞台からの眺め。
舞台造りになっていて見晴らしがいい。なんかの撮影をやっていた。カメラマンとスタッフ、モデルさんがいた。
彼らは、和気あいあいといえば聞こえはいいが、テンションを上げようとあまりにも気を使いあってて、
……痛々しい感じもした。






本堂は実に立派な建物で、国宝だそうなのだが、その良さを伝える写真は撮れなかった。






このアングルはむしろ裏側。







長谷寺というと玉蔓が改めて見出された場所ですよね。古くから都からの参拝人も多かったらしいが……
彼らもこの五色の幔幕を見ただろうか。華やかな色が黒い建築に映える。










敷地がとても広く、高低差があるので建築的には映える。
まあ当然そこを見て回るのは大変なのですが。夏に行った熊野那智大社を思い出した。
あそこもけっこうな高低差を歩き回りましたねえ。


1時間ちょっと長谷寺にいて帰る。……あの階段を駅まで登る勇気がない。
寺の入口に待合所がある。タクシーの電話番号が書いてある。
案内係らしいお坊さんに「近鉄長谷まで幾らくらいですか?」と訊いた。
「多分ワンメーターくらいですよ」――!!!呼ぶ!呼びます!

タクシーで近鉄長谷まで戻れました。660円。ちっ、こんなことなら行きもタクシー呼べば良かった。
足腰に自信の無い人はタクシーがお薦めです。ほんと、車で登っても駅までの傾斜は半端ない……。
この時のタクシーの運転手さんが、穏やかな語り口の素敵なオジサマだった。
ちゃんと次の電車の時刻も調べてあり「ちょうどの時間に着きますよ」と言ってくれて、大変気分が良かったです。



8.安倍文殊院。

2015-01-09 | 奈良/Nara:2014
バスは待っても来ない時間帯なので、安倍文殊院まで最初から歩くつもりでいた。
Yahoo地図によると2キロくらい。
安倍文殊院も有名な寺だし、そっちの方向へ歩いて行けばそんなに苦労なく着くはず。




ところで今、yahoo地図で見たんだけど、聖林寺の近くに上之宮という字名があるね。
聖徳太子の別名は上宮太子。あー、その気になれば上之宮遺跡に寄れたか?ち。

談山神社へのバス通りのそばには崇峻天皇陵もある。その辺りの字名も倉橋なので、
おそらく崇峻天皇もこの辺りに宮を営んでいたと思われる。
けっこう山だよなあ。用明天皇近辺の人たちは飛鳥どまんなかよりも桜井の方が勢力範囲だったのかもしれないが、
普通に宮を作るならもう少し平地だよなあ。やはり崇峻天皇は虐げられたというか、弑された天皇ということか。
その辺のバス停の名前にさえも歴史の由緒がある。それが奈良。




さて、聖林寺からぽてぽてと歩き始め。実はこの段階でけっこう足腰に来ていた。
やはり談山神社の登っておりて納得出来ない参道の作りが響いたかと思われる。
一番いかんのは荷物の重さですけどね。だが根本的には解決する方向にはいかないんだよなー。

あ、でもさすがに今度デジカメを買う時には、単3電池4本にはこだわらず、専用電池を使った
もっと軽いカメラを探そうと思う。
専用電池だと充電が切れた時にどうしようもないからと思って、単3電池仕様のタイプを選んだのだが、
このカメラ、7,8年使っているけど、いざという時乾電池が手に入って良かった
という羽目にはなかったことがない。つまり旅行先でちゃんと計画的に充電をしていればいいってこと。

あとは旅行ノートが、在庫の関係上、今の奴と次の奴は厚くて重いってこと。
それを使い終わったら薄くて軽い奴に変えられるから……それでも合計で500グラム前後ですか、減るのは。
ipadminiを持ち歩きはじめたら、重さはプラマイゼロだなあ。


途中、地元の酒造メーカーらしきところで「談山」というお酒を買った。
こないだ、奈良の紀行番組を見てたら、そこの主人が映っててなんか可笑しかった。
テレビと現実とはだいぶ印象が違う。
聖林寺と安倍文殊院の番組だったので、わたしが撮った写真と同じアングルがたくさん出てきた。








安倍文殊院。

近くに安倍寺跡という遺跡もあって、古くから安倍氏の本拠地だったことを思わせる。
……が、阿部仲麻呂を関連付けるのは仕方ないとして、安倍清明をフィーチャーするのはちょっと無理がある。
一族は一族なんだろうけど、一族なんて裾に向かって広がっていくもんだからね。
ある程度時間が経てばもう他人。
清明はどう考えても京都の人でしょ。まあ生誕地は大阪阿倍野、桜井市安倍、とする説があるようだが。
それもまあ、地元贔屓の結果だろうしなあ。

嗤ったのが、安倍晋三献灯の灯篭があったこと。







つい最近、岩手での握手会の時に、「私は奥六郡を治めていた安倍氏の子孫なんです!」と言っていたと
聞いたから余計。この安倍氏と奥州の安倍氏はほぼ他人ですよ。
名前さえ同じであればいいと思って勝手なことを言っている。




ともあれ、安倍文殊院。こちらの目玉はその名前の通り、文殊菩薩騎獅像。

本堂の内部は結構新しく、金をかけてるなあという感じ。そのせいで若干有難味は薄れるのだが、
この仏像はいい仏像。
快慶作ということで、……快慶という名前からはもっと力感溢れる彫刻をイメージするけど、かなり繊細。
仏像としては、わたしは平安初期くらいが一番好きで……と言おうとしたが、
「では平安初期の仏像を挙げよ」と言われたら全く思い浮かんでくるものがないな!

まあとにかく、鎌倉まで時代が下がると細工が細かくなって微妙。
でもこの像は「細かい」ではなく「繊細」だと思えるくらいのちょうど良さ。
さらに獅子のユーモラスなことといったらどうだ。どう考えても自分の目の前を通り過ぎる善財童子を
食おうとしているようにしか見えないところがいい。

ってか、この騎獅像、獅子が主役ですよね?どう見てもこの顔ぶれだと、「西遊記」ではないですか。
当然文殊菩薩は三蔵法師で。獅子が悟空で。優填王が沙悟浄。八戒がいずれどこぞで善行を積んだのだろう、
可愛い善財童子に生まれ変わっている。

維摩居士と須菩提はつけたし。どうせつけたしなら、わたしなら美男の若い菩薩か天部をキャスティングするよ。
これで「改・西遊記」は行けるんとちゃうかな。
まあ何が行けるのかサッパリわかりませんが、観仏にはこういう妄想の楽しさも含まれる。


でもここもやっぱり遠いんですよね、拝観席が。
近くから、周囲もぐるっと回れるように見せてくれるとありがたいのだが。


あ、そうそう、ここは入場料が800円とけっこうお高いのだが、自動的に抹茶と落雁が付きます。
この落雁が美味しくて、これから先も長いのに買ってしまった。小さい奴だけど。
術中にまんまとはまっているわたし。








美味い。




7.聖林寺。

2015-01-06 | 奈良/Nara:2014
談山神社からバスで降りてきて、聖林寺のバス停で下車。
行きも同じ道を通ったので、ああ、きっとあの寺が聖林寺なんだろうなーと見当はついていた。
里を見下ろす山裾の寺。


なんかこの、バスを降りたあたりの雰囲気が良かった。











川とねー。段々田んぼがねー。
生活感というのか……人間の暮らしがあるなあ、という感じ。
バスの本数の少なさを考えると、普通の勤め人として実際に住むのは不便に感じるだろうが、
こういう里に住みたいというキモチにもふと駆られる。もう少し鄙びててもいい。
宝くじが当たったら里に住もう。(まあ今もけっこうな里に住んでますが)







聖林寺。

下から見上げると、まさに要害的なその立地に、こりゃいい立て籠もり場所だわと思ったが、
実際に戦場になったこともあったと、たしかどこかに書いてあった。うろおぼえだけど。







寺からの眺望も開けている。

右手遠景の美しい稜線が三輪山らしい。
左手遠景のひょっこりひょうたん島は実は箸墓古墳らしい。









そのせいか、こういうのぼりが立っていて、キャラクターの名前が「ひみこちゃん」なんだけれども、
……現段階でこういうキャラクターを作ってしまうと、北九州方面から異議申し立てがありませんか?
それともそろそろ畿内説優勢勝ちな感じ?



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇












下から見上げた時より、実際の敷地はだいぶ狭かった。
相当にこちゃこちゃした。不快なせせこましさではなく、大伽藍よりも身近に感じる寺。


本尊は子安延命地蔵菩薩。……ですが、まあこれはね。造型的にはね。
造型的観点と信仰的観点は違うからね。





聖林寺には何のために行くかというと、その十一面観音のため。
これはフェノロサが褒め、和辻哲郎が褒め、たしか白洲正子も相当に褒めている記憶のある、
大変な観音様。国宝ですよ。これは昔からずっと見てみたかった。
ヨカッタ、東京で開かれている国宝展に出張してなくて。

本堂横から伸びる、けっこう長い階段を登って行くと宝物庫があり、その中に十一面観音がある。
正直階段は渡り廊下なのでサムい。コンクリートなので足ツメタイ。
宝物庫はコンクリート作りなので、入口の鉄の扉ががっちりと締まりオッカナイ。


……まあ簡単に結論からいいますとね。


期待していたほどの出会いではなかった。
期待値が相当に高かったのは否めない。あまりに高い期待はいい出会いには結びつきにくい。
お見合い、合コン、全てにおいて。(←推定。)

いい仏さまだとは思うが、わたしにはそんなに語らなかった。
なんかボヤッとした感じ。そのボヤッが天平の大らかさと好意的に受けとるのか、弛緩と受け取るのか。
弛緩とまでは感じないが、あんまりピンとこなかった。



だがたった一人でこの仏像と向き合っている時間は非常に贅沢に感じた。
入口の扉の開け具合で仏像に当たる光の量も変わり、印象は変化する。
何度か開け方を変えて見た。が、扉をピッタリ閉めることは、コワくて出来なかった。
扉を閉めた途端、観音様がニタッと笑ったりしたらどうする。
















6.談山神社。

2015-01-03 | 奈良/Nara:2014
2日目は、今回のおそらくメインになるであろう一日。桜井市近辺の寺社を廻る。


談山神社は、前々から行きたいと思っていたところだが、山奥のどんづまりでけっこう遠く。
バスが一時間に一本くらいしかない、ということはつまり帰りのバスは1時間後にしかない。
その後も何ヶ所かの観光をしたい身としては、とりあえずここを攻略しとかないと安心できない。
桜井駅8:12発のバスに乗るのが神社の開館時間の点から最早だな。

でも桜井駅を8:12発のバスに乗るためには、JRを奈良駅を出来れば7時過ぎ頃出なきゃいけなくて。
ホテルではipadminiが繋がらなかったので、時刻表がよくわからない。
とりあえず7時にJR奈良駅に着けるよう、6:30にホテルを出る。早起き。
(ゆえに、早く起きなきゃというプレッシャーがありよく眠れない)





まだほとんど誰も歩いてない。まだ日の出前か?
















なんか歩いてて微妙に写真を撮りたいようなところが多くあるので、結果的に駅に着くまで、
予想の倍くらいかかった。7時頃JR奈良駅に着く。








旧奈良駅舎は味のある建物。擬洋風建築も色々ありますが、その中でもエキゾチックな色の濃いタイプ。
多分屋根の上の九輪が変わってるんだな。駅には普通、こういうのつけないし。
ここは今でも観光案内所。後で一瞬入ったけど、天井が高くていい場所でした。


現在稼働しているのは新奈良駅の方。






2010年完成だそうだから出来立てホヤホヤ。ゆえにとてもきれいな建物でした。





改札の電光掲示板を確認すると、桜井駅方面行は7時半。
え!30分も待つ?と一瞬焦ったが、みどりの窓口備え付けの時刻表で確認してみると8時頃桜井駅に着けるらしい。
そしたら談山神社行きのバスにも間に合うだろう。多分。

そうと決まれば朝ごはん。









生まれて初めてのライスバーガー。
まさかモスのメニューの写真を撮る日が来るとは思わなかったのう……と妙に感慨深い。
多分朝メニューで、たまごかけご飯?的な名前。
セットで豚汁がついて400円。これは嬉しい。寒い体に沁みとおる。

豚汁は大変美味しかったが、ライスバーガーは玉子焼き風にまとめたところに、甘めのしょうゆだれをかけたもので、
そんなに美味しいもんでもなかった。これはマックの月見バーガー程度の目玉焼き感を出した方が
いいんじゃないのかね、という感想を持った。でもライスバーガーそのものの存在が微妙だな。
ライスバーガーを食べるなら、多分おにぎりの方が美味しかろう。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



談山神社は予想通り山の中。山の中というより山の上。
バス停から神社はが見えなかったので、バスを降りる時に運転手さんに神社はどこか訊くと、
階段を降りる道と裏道があって、「そこの階段を降りる方が近い」と。
しかし階段まで行ってみると、


え。ここを降りるんですか。


せっかくバスで登って来た道を無にするような急降下の階段。それもけっこうな距離で。
いや、下る時はいいですよ。下る時は。――帰りはここを登らなきゃならないんでしょ?
でもまあしょうがないので階段を降りました。急勾配で、高齢者にはけっこうきついのではないか。
さらに腹立たしいことに、階段を降り切ると神社までの参道は上り坂。
わざわざ下ってわざわざ登るってどういうことやねん!バス停の位置、間違ってる!

8時半過ぎ。この季節、わざわざここまで来る観光客も少なく、バスを降りたのはわたしだけ。
完全に雰囲気は早朝で、枯葉を片付ける逆掃除機(風で吹き飛ばして枯葉をまとめる)の音が響く。





わりと地味。
バス停から階段下りて、上り坂登って、そしてこの階段というのは参道的に納得がいかない。








談山神社といえばこの十三重塔。十三重の塔は、これが日本で唯一……かどうかは知りませんが、
かなり珍しいもの。その辺に普通にある、三重塔や五重塔に比べてだいぶサイズは小さくなっております。








敷地もそこそこ広く、建物もいろいろありました。
本殿の建物が堂々として気に入ったので、けっこうシツコク何枚も撮った。





















談山神社は、中大兄王子と藤原鎌足が入鹿暗殺の密議を語らったところと言われているが、
……こんな山の中へ行くのが知られたら、むしろ怪しまれるんじゃないかね?と思った。
何か大きな理由がなければ明日香の都からこんなとこまで来ないもん。







鎌足さんとその2人の息子。
右側は長男でお坊さんの定慧(じょうえ)、左は不比等。



本当はここは紅葉の名所として有名なので、季節に来たら見事な紅葉が見られたであろう。
11月いっぱいはバスも増便してたらしい。















名残りのもみじ。




バスで着いてから帰りのバスまで1時間ちょっと、時間持て余すかなーと思ったが、けっこうぎりぎりでした。
本当は神社の背後の山にある鎌足廟所まで行きかけたんだけど、何しろ山で行くの大変。
奈良市内より標高が高いから寒いしね。
10分ほど登ってみたんだけど、それからも遠いようなので諦めました。






5.しもみかど商店街。

2014-12-31 | 奈良/Nara:2014
だが、もちいどの商店街からホテルに向かう間にある“しもみかど商店街”を覗いたところ、
そこには面白いものが!



――いい機会だから、ここで奈良の“まち”について語らせていただきましょう。
20年前に来た時には奈良は鄙びた地方都市、ひたすら寺と鹿が存在する場所としての面影しかなかったが、
今回奈良に行って何が一番興味深かったかといって――

“まち”ですよ!

近鉄奈良駅を降りると、そこは「ひがしむき商店街」の入り口。うわ、狭いなー。というのが第一印象。
天下の観光地、奈良の(おそらく)駅前メインの商店街の道幅がこんなんでいいんかいなと。
おそらく仙台市中心部の通りの半分以下だと思います。

でも何だか歩いているうちに、楽しくなってくるんだよね。
というのも、お店の種類に興味を惹かれるジャンルが多いから。
柿の葉寿司の店は観光客としてとりあえずチェックしたいし、
奈良漬けの店は、わたしは奈良漬け食べないけど、ちょっとラインナップを見てみたくなる。
古裂を使った小物やさんとか、実に間口が狭い古本屋とか、
絶対オーナーのみでやってるよね、って雑貨店も気になる。

仙台のように、チェーンのコーヒー屋とか100円ショップとか、ドラッグストアとか多くないもの。
コンビニも少な目だったなあ。大手が住み分けて1店舗ずつあった感じ。

わたしの興味の対象からいうと、正直ルイ・ヴィトンが出店してても、だから何なの?って感じだしね。
旅行に来てわざわざブランド物買わないやん。……つーかそもそもブランド物買わないやん。
仙台はアーケードは日本で有数の規模らしいけど、ラインナップにはほとんどそそられない。

奈良は観光客として、入ってみてもいいな、と感じる店が多かったよ。
もっと予算があればちょっとした小料理屋なんかも多かったので、行ってみたいところではあるが……


そして、ホテルへの道は東へ折れ、




何年前からこういう機運が盛り上がって来たのか知らないけど、
今、奈良は商店街が結構アツいです。




ひがしむき商店街は人が多くて、ガラガラをひっぱって歩くのは少しツライ感じ。
その次の「もちいどの商店街」はだいぶ人通りが減って、寂れてるのかなと思ったが、
こちらもけっこうそそられるラインナップ多し。
歩いてて楽しかったよ、どっちの商店街も。


そしてもちいどの商店街からさらに南に延びる「しもみかど商店街」は、
ここは、オシャレな飲食店もちらほらあるけど、前二者と比べると正直寂れた印象。
だが、そこには面白いものが!(と、初めに戻る)






















商店街を往復して、まあこんなもんかと思いつつ。
ふと見上げてこれらのポスターを見つけた時はテンションがあがりました。
なにこれー!おもしろーい!

いや、がんばってると思いますよ。商店街を寂れたままにはしないぞ!という気概が感じられる。
これは作るのにけっこうオカネがかかったでしょう。わりと手慣れた仕事をする広告代理店?大手かと思う。
そうなると発生する料金もけっこうなハズで……
がんばったね!やってるね!と励ましてあげたくなった。


そして真打3件。















最初に目に止まったポスターがこれ。何と結納品調製所だそうですよ。
何?この掛け合い川柳?ぱっと見、店のポスターには見えないから興味を持ってじっくり見る。
しかも写真もいいわねえ。奥さんの笑顔が素敵。













常川文具店。


これは文章的にはどう見ても72歳を撮った写真なのだが……
そして写真的にはどう見ても72歳を撮ったようには見えないのだが……
でも72歳なんですよね?























年代物の福助も。



こういう雑誌仕立てのポスターは若干手垢がついているような気がするが、まあ面白かった。
店の佇まいも現在進行形。



ガンバレ、しもみかど商店街。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



奈良は「ならまち」とか言って、街歩きにずいぶん力入れてるようですよ。
数々の商店街もそうだけど、一番目立ってるのは元興寺周辺ってことなのかな。
……わたしはそのすぐそばのホテルに宿泊したのに、この辺をちょっと通ってみただけだったのだが(^_^;)
町屋改造の喫茶店や雑貨屋などは夕方なのでほとんど締まっており、
薄暗くなった街角を、観光客が「なんかいいことないかなー」とうろうろ歩き回っているという。

ホテルからまっすぐ西へ延びる道、なんていう商店街かわからないけど、ここも趣ある店が多かった。
ここは観光客向きと、昔からの地元の店がちょうどいい混合具合。
日本酒の店とか、レストランとか、ちょっと入って見たかったなあ。

この通りには2軒ほど道具屋(あるいは骨董屋)があって、片方に入ってみたけど、
いくつかちょっと食指が動くものがあった。現代物は値段が安く、今でも気になっているのが、
たしか3000円のコースター?(にしかならない大きさの木製小皿)。
木目がきれいに出ていた。目が惹きつけられた。これで3000円は安いと思ったが、使い道が……
同じく3000円くらいだった紅白の梅の意匠のお猪口も、欲しいと思ったが使わないから
我慢することにした。多分買ってしまえばそれで終わりだと思うが、買えなかったものはいつまでも記憶に残る。
近くにあったらたまにふらりと寄りたい店。


JR奈良駅からまっすぐ東へ延びる三条通りもけっこう印象が良かった。
三条通りはわりとスタンダードなラインナップ気味なんだけど、どこかこじんまり感があって好き。


はちみつの店ではちみつがかかったソフトクリームを食べた(^o^)。








美味しかった。





以上、大変好感を持った、奈良の商店街でした。




4.春日大社近辺。

2014-12-28 | 奈良/Nara:2014
しかし興福寺を出て16:15なわけですよ。
東大寺はさすがにもう行ける時間じゃない。すでに日もだいぶ落ちている。
そして2時間ウロウロ歩き回った足腰はすでにガタガタ。ホテルに戻ろうかどうしようか。
でもこのままホテルに戻るのももったいないかなあ……。
うーん。では浮御堂に行ってみようかなあ。よく知らないけどライトアップしているそうだし。

浮御堂といえば、「さみだれの 雨だればかり 浮御堂」という俳句がある。
小さい頃にやっていた「俳句いろはかるた」の中の“さ”の俳句はこれだった。
そうやって数十年経った後も覚えてるんだから、「俳句いろはかるた」というのは名作でしたよ。
俳句だから読み上げやすいし、絵札もきれいだったし。ものすごくリピートしていた。
いまだに50音、全部言えます。

い――いくたびも雪の深さを尋ねけり
ろ――六月や峰に雲おく嵐山
は――春の海ひねもすのたりのたりかな

小さい頃は句の意味がとれないものも多かった。それを言うなら今もとれてるとはいえないが。
でもその気になれば、読み札の裏側にその句の解説が書いてあるので、それを読んでもいいです。
読まなくてももちろん普通にかるたとして楽しめる。



絵のきれいさと句のわかりやすさでお気に入りの札ってあったな。



曼珠沙華 抱くほどとれど 母恋し

梅一輪 いちりんほどのあたたかさ

菫ほどな ちひさき人に生まれたし



「菫」は夏目漱石の句。あんな顔して、ずいぶんとカワイイ句を作る人じゃありませんか。
漱石には「あるほどの菊投げ入れよ棺の中」という、知り合いの女性に対する哀悼の句もあり、
実は浪漫的な人柄だったのだろうと感じさせる。

ちなみに「俳句いろはかるた」、復刻して限定的に販売しているようだ。
これはもう百人一首のような古典として末永く伝えていくべき名作ゲーム。




……話がずれたが、浮御堂です。南の方へ向かって歩く。
多分歩いた道は、東大寺南大門からまっすぐに伸びた道ではないかと思う。飛火野あたり。
そうするとそこには何だか素敵な建物が!






ナニコレ、ナニコレ!とテンション上がったが、ふと見たらすぐ横に説明板があった。







実は撮ったのは裏からで、表はこんな感じ。
(撮影はだいぶ時間が経ってから。ライトアップあり)







全然素敵に撮れてないけど、ほんと素敵な擬洋風……洋風ではないか。折衷建築。
あとで調べると中に入れるようだし、次に行った時にはぜひ内部も見てきたい。




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浮御堂に向かってとぼとぼと歩いていくと、春日大社の参道に光のラインが。





春日大社には行く予定なかったんだけど。なんだろうこれ、と興味を惹かれて行ってみることに。
写真よりも実際はもっと暗くて、暗い中に光のラインが伸びている。


しばらく歩くとこんなのもある。





敬虔であるべき春日大社の神域に、こういうデキソコナイのようなクリスマスイルミネーションって
どうなのかね?と思いながら更に歩く。
そうしたら、こういうイベントでした。







あら、本人はけっこう本気のイベントだったのね……。それは失礼。
万葉植物園での夜間イベント。客引きをしていて、たしか入場料1000円と言っていたような……

あのねえ。こういうものはただ光ってればいいってもんじゃないんだ。
さっきのディスプレイ?を見る限り、むしろ逆看板だよ。
もしかしてお金を払って入園すれば、すばらしい世界が広がるのかもしれないが、
その前段階があんなショボイもんでは、それは客が入らないだろう。
むしろあれを撤去した方が、なんぼか人が入ると思う。ああいうのこそ本気で作らないと!


せっかくここまで来たんだから、だんだん周りが暗くなってきてコワイけど、一応春日大社まで行く。






実際はもっと暗い。人もかろうじて数人。







鹿絵馬。鹿で馬ですよ。よくわからない。


すでにガタガタの足腰に春日大社までの往復2キロはけっこうきつかった……。
途中で韓国人の女の子にホテルへの道を訊かれた。
もうあまりに暗くて、差し出された地図が読めない(^_^;)。スマホの光を頼りに見る。
地図だから、池や緑地の形などでだいたいのところはわかりそうなもんだけど、
やっぱり日本語の地図で見直さないと不安ですね。
日本語が出来る人だったので、「あなたはこっちの道を行けばいいと思うよ」と伝えた。





その後、ライトアップした興福寺横を通り。






何枚も撮ったのに、まともにピントが合ったのはこの1枚だけ。
わたしのカメラはもう7、8年は前のもので、特に不満はなく使っているのだが、
液晶画面が最近のものと比べると大変小さくて、何が映っているのか、正直よくわからないんですよね。
従ってピントが合っているのかもよくわからない。帰宅してパソコン画面で見て、
「おお、ボケてる」という写真が多い。夜景はね。


その後、夕飯にはちょっと早いけど、もちいどのセンター街の「珈琲一族」というお店に入って夕食。
ちょっとレトロな喫茶店みたいな感じ。ローストチキン定食800円。


もう疲れて、浮御堂まで行くのは諦めた。ホテルへ帰る。





3.興福寺。

2014-12-25 | 奈良/Nara:2014
ホテルは14:00に着いたけれどもすぐに部屋に入らせてくれ、しかし10分後にはもう出かける。
この日は興福寺と東大寺に行くつもりでいた。


ホテルは興福寺直近で、最大のメリットはそこかと思って決めたロケーション。
興福寺まで300メートルくらいだろうか。ホテルの玄関を出れば興福寺の五重の塔が見える。


猿沢の池から一枚。







うんうん、五重の塔だねえ。興福寺だねえ。奈良だねえ。
奈良と言えばまず、この風景なのではないか。

興福寺は藤原氏の氏寺で、昔はそれはそれは広大な寺域を誇ったはずなのだが……
今はまあ、広いは広いけど普通の広さ。東大寺や春日大社のようなだだっぴろさはない。そこそここじんまり。
……そしてそこには修学旅行生の集団が。ううっ。

まあ昔はわたしも修学旅行生だし、そもそも修学旅行生をこんなところに連れてきて
神妙に観仏をしろといっても、どだい無理な話ですよ。
だが、邪魔くさいことは邪魔くさいので、うへーとは思う。早く通り過ぎて下さい……。







五重の塔。







南円堂。







北円堂。







東金堂。なんか少し胴長の建物ですよね。
若干高いところから撮ってるせいかな。プロポーションに多少難あり。

ここは入場料を払って中の仏像を拝観する。
堂内撮影禁止なので、Wikiから転載。

ひとかたまりに並んでいるが、これらの仏像は制作年代がそれぞれ違う寄せ集め。
複数の仏像がある場合はだいたいそんなもん。三尊像とは別にして。
出来た当時の配置のまま残っているのなんて少数派。
その少数派の中に平泉の中尊寺金色堂なんかはあるけれども。
しかしあれこそ、仏像の配置的にけっこうな寄せ集めに見えるんだよなあ……。

ここの白眉は三尊の左右の日光菩薩、月光菩薩。
これは時代は飛鳥で、山田寺のために造られたらしいと書いてあった。
飛鳥仏は素朴でいいんですよね。いかにも生硬なところが魅力。
が、この日光月光は優雅さを兼ね備え、生硬という感じはしない。光背は後世の補作だろうけれども。

中尊は薬師如来で、室町時代だそうだ。室町時代の仏像といってもあまりイメージはないが、
だいぶ時代は下がるので、普通はもっとこちゃこちゃしていると思う。
しかしこの仏像にはおおらかさを感じた。制作者が古様を意識したのだろう。



興福寺でもう一ヶ所入場料を取るのは国宝館。
今出来の建物で、つい最近出来たものだと思っていたら、国宝館としてはもう1959年から存在してるんだそうだ。
ということは、わたしが来た20年前にも多分あったんだな。
だがリニューアルしたのは2010年。やっぱりつい最近ですね。

ここは国宝館の名に恥じず、ブツ多数。

いろいろいろいろあるうち、一番有名なのは阿修羅像
だいぶ前に、ドキュメンタリーで誰かが「ずっと見てられる」と言っていたが、まさにしかり。
ずっと見ていられる天平彫刻。こういうのを独り占め出来るんだから贅沢な話だ。

一番長く見たのは五部浄像。
写真では正面から光を当てていて、眼もしっかり写っているが、国宝館の照明では、
眼が全く見えず、眼は黒い穴、虚空なんだよね。
そうなると見る者の印象はまるで違う。眼がない方がずっと良いです。
わたしはこの像の前で仁王立ちになり、彼が何を語っているのか知ろうとした。
――でもわからなかった。


ブツがいろいろいろいろいろいろいろあって、結局国宝館を出た時には16:15。
何しろ客が少ないので、仏像見放題なわけですよ。建物内にわたし一人しかいないんじゃないかと思った
時間帯もあった。なんと贅沢な時間であろう。
そう思うと貧乏性なゆえ、なかなか出られない。3往復くらいしてお気に入りの仏像の前をウロウロ。

良かったですねえ、山田寺の仏頭。完成されたライン。
良かったですねえ、運慶作、釈迦如来像頭部。腕白盛りの少年の風貌。
良かったですねえ、天燈鬼、龍燈鬼。ユーモラスでカワイくて。


どっぷりブツにはまって、ついでにミュージアムショップにもはまって、
お香を3種類と手ぬぐいを衝動買いする。うーむ。先が思いやられる。