Mo.の事件簿 A diary of Mo’s trips

事件簿などという大層なタイトルだが、実は単なる旅行記です。

12.オペラ鑑賞。

2009-10-28 | チェコ・9月2日
ホテルで2時間ほど休息。疲れた。足イタイ。


しかし気合を入れ直して。
オペラを見に行くのだ。19時開演。チケットはさっきホテルへ帰る前に買った。
オペラの前に腹ごしらえをしておきたかったので、17時半にホテルを出る。
目当ての店がある。カフェ・スラーヴィア

今回のチェコ、特にプラハでは行ってみたい飲食店がたくさんあって困った。
全部数えると、どー考えてもプラハ滞在中に行ける数ではない。
そういう飲食店の何に惹かれるのかというと、内装なんですよ。
100年前のアールヌーボー様式の内装を残す店がたくさんあり、
そういう店紹介を読むと「うわー、行きてー……」となる。

カフェ・スラーヴィアはその中でも筆頭。
というのは、ここは内装ばかりではなく存在的にも由緒あるカフェだから。
1800年代から、チェコの文学者・芸術家・政治家・活動家が溜まり場にしたところだそうだ。
まあ当時とは経営者が変わったそうで、改装もしているらしいから
直接“その場所”ではないにせよ、当時の熱がまだわずかに残っているかもしれない。

都合よく、オペラの会場である国民劇場の真ん前にあるんです、カフェ・スラーヴィアは。


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Cafe Slavia.


ちょっと写真が失敗している……。写真で見るより、内装はもう少しいい感じです。



ここはねー。好きだった。
椅子なんかのデザインも良かったし。ヌーボーというよりデコっぽいかな?
そうそう、この時代の雰囲気が好きなんだよねー、と思いながら、幸せに座っていた。
ウェイターの感じも良かったんだな。こちらの想像力がそう思わせただけかもしれないけど、
愛想がいいわけじゃないのに、しっかりサービスされている安心感があった。







Salty pancake with chicken,turkey,mushrooms and edam cheese.


食べたのは「塩味のパンケーキ チキンとターキーとマッシュルームとエダムチーズ」。

お腹が空いてなかったので、おおパンケーキ、丁度いいやと思い、何の疑問もなく注文したのだが、
出てきたものを見て、う。と思う。けっこうな山盛り。
この量を見ただけでもう十分かも……と思いつつ一口。

あれ?美味しい。

見た感じ、とってもこってりがっつりなんだけど、食べると見てくれより軽め。
油が違うのかなー。グラーシュに引き続き、今まで外国では感じたことのない安心感のある味。
ぱくぱくぱく。でもさすがに全部は無理。時間も押してたし。
飲み物とチップ含めて200コルナ≒1060円。
ただ、パンケーキ自体は厚めのクレープという感じで、美味しいというほどではない。



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オペラはドヴォルザークの「ルサルカ」。簡単に言えば、人魚姫と同じ話。
主人公は人魚じゃなくて水の精、というのが違いと言えば違いだけれど。


実はこのチケットを買うのにも少々苦労はした。
普通、チケットって建物に入ってすぐにチケットオフィスがあり、
そこで買うようになっている。今回もそういうもんだと思って、プラハ城の後、
ホテルに帰る前に、痛む足を引きずりながら国民劇場へ買いに行った。

でも開いてないんですよ、国民劇場。営業時間の筈なのになー。
どこか脇の方にチケットオフィス用の入口があるのかな?
……結局建物を一周しました。でかい建物の外周一周は、けっこうキツイ。
なんで無いのか、と思ってガイドブックを開いたら、
「チケットオフィスは劇場に向かって左側の建物の1階」と書いてある。
別棟かい!そりゃ一周してもないはずだわ。

でもこの左奥の建物ってのもよくわからない。
だいたい、“劇場に向かって”ってどこから劇場に向かってなのか、わからないじゃないのさ!



国民劇場は、どこが正面なのか、一見しただけではよくわからない作りをしている。







Tne National Theatre.

この日は撮り忘れたので、翌日に撮った外観。



正面入口は左側の出っ張った部分らしいのだが、これ、正面っぽいつくりだと思います?
むしろこの向こう側に、もっと開かれた感じの正面入り口があってもいいような気がしない?
そういう状態で“劇場に向かって”って言われても!

しょうがないので、隣の建物に入って行って、窓口の人に訊きました。
「国民劇場のチケットはどこで買えばいいの?」
実はこの人は、国民劇場とはまた別の(現代的な)劇場であるラテルナ・マギカの
窓口の人だったようなんだけど、わざわざ外まで行って、指をさして教えてくれる。
結局、国民劇場とラテルナ・マギカの間を入って行って、広場の向こうの建物に
チケットオフィスがあるらしいです。お兄さん、どうもありがとう。

オペラのチケット、900コルナ≒4770円。2階正面最前列のとても見やすい席。
オペラが5000円で見られるとは。ありがたい。日本だと2万ですよー。



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国民劇場内部。













外国の劇場は装飾が美しくて良い。





……だが、わたしはかなり疲れている。前日着いたばかりで、まだチェコ時間にも慣れてない。
寝るだろうな。寝るだろうな。





…………………………寝ました。


うーん。やっぱり知ってるオペラを見に行くべきだったかなー。
日程的には、別な劇場でモーツァルトの「フィガロの結婚」という選択肢もあった。
その方がきっと楽しめただろう。知ってる曲の方がノれるじゃないですか。
だが、ドヴォルザークはチェコの作曲家だし、国民劇場はチェコ国民にとって
大事な場所だという意識もあったし。まあいいんだ。作品そのものより、今回は由緒重視で。


歌い手は、主人公であるルサルカ(人魚姫にあたる)とそのお父さんが良かった。
お父さんはその体格も声も堂々としていて、プロの演奏を聴けている満足感があった。
魔女と王子さまはいまいち。

バレエの比重が高いオペラだったなあ。セットも含めて、モダンな感じの演出。
バレエ・ダンサー(男)が一人、真白い短パン(小学校の体操着みたいなの)をはいて、
頭を剃り上げてソロをとっていたけど、あれは何なんだ?
話の筋に関係なく、ほぼ舞台に出っぱなしだった気がするのだが。あの人の意味がどーもわからん。
カラダは見事だったが。

しかし、字幕付きでオペラというのは忙しいです。
字幕が舞台のてっぺんにあるので、字幕を見ていると舞台が視野に入らない。
不自由な英語で字幕を見て、舞台上で歌っている歌手を見て、その背後で踊っているバレエを見て、
舞台セットに目をやり、オーケストラの演奏に注意を注ぎ……ムズカシイ。


3幕目がほんと眠かった。まるで拷問だった。
ひと幕1時間くらい+休憩だから、終わって22:30。
トラムに乗って、ホテル帰着23:00。




とっとと寝ます。おやすみなさい。
……ちなみに今晩は中庭の饗宴は無し。ヨカッタ……


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11.そして黄金小路へ。

2009-10-25 | チェコ・9月2日
正午のサイレンが聞こえる。お城では衛兵交代が始まる。





Changing the guards ceremony.

写真だけ撮ってすぐ中庭へ移動。衛兵交代の類はそれほど興味がない。





さっきの聖ヴィート大聖堂のところまでまた戻って来る。
なんだか王宮の建物の前にテレビカメラが集まっている。VIPでも出てくる雰囲気。
物好きにもちょっと待ちました。










Who? He must be someone famous........but I don't know.

誰?


扱いからして、間違いなく有名人なんだろうが、知らないということはしようのないものです。




その後、プラハ城内見物を続けるのだが……

プラハ城内を見物するためには、入場チケットを購入しなければならない。
今後行く人には、わたしはショートツアー(250コルナ≒1330円)を薦めます。
わたしはロングツアー(350コルナ≒1860円)を買ったんだけど、
少なくとも実際に行った部分の展示はいまいちしょぼかったですから。


ロングとショートで入場出来る場所は当然違うが、ロングのみで入場可の場所――

プラハ城についての展示→よほどプラハ城そのものに興味がなければ特に見なくても……
国立美術館→前述通り。
王宮美術館→地味なテーマの展示っぽかったので入口で引き返した。
聖イジー修道院→(聖イジー教会とは別もの)
国立美術館の19世紀ボヘミア美術部門だそうなので、あまり興味がない。
ついでに、火薬塔は裏の方にある小さな建物だけど、軍服に興味がなければあえて行くまでではない。

広いは広いけど、あまり見ごたえがないなあ。と思いながらあちこちさまよっていた。
何しろ足がガタガタなので(すでに小指は靴ズレで流血)、出来ればあまり動きたくない。
そういう状態でがんばって見に行って、つまんない展示だとなんだかなーと思う。


プラハ城で見るべきは、

聖ヴィート大聖堂→これは入場料不要。
旧王宮→ヴラディスラフホールが建築的に有名。ただ実際に見ても別に感動はしなかった。
聖イジー教会→必見というほどではないが、内部の古い雰囲気はまあまあだと思う。







St.George church.



あとは、最後に黄金小路。



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まあ、わかってはいるけど。実際にそんなにイイものではないことは。
が、やっぱり気合は入った。行くぞ、黄金小路!

だが、入場しようとしたところでチケットが見当たらず真っ青。
カバンを漁っても「ない!」。火薬塔へ入る時に見せたし、捨てるわけないんだし。
やだよう、この後に及んで黄金小路のためだけに250コルナするチケットを買い直すの~?

昨日の1500円事件と相俟って、情けない思いがこみ上げたところで、
……カバンの内ポケットにすっぽりと入ったチケットを発見。
あーよかったあーよかったあーよかった。でもなんでこんな所に……。
いずれにせよ、カミサマありがとう。胸をなで下ろしつつ、改めて黄金小路。






The Golden Lane.

写真にもいいのがないが、場所自体も特筆すべきものではなく。
可愛い小さなおうち、というだけ。ま、こんなもんですよね。








The house of No.22.Franz Kafka rent this house as a study.

22番の小さな家は、フランツ・カフカが仕事場として借りていたことのある場所。
(このwikiは労作だな……。ここまでされるとコワイよ。)
現在はカフカ主体のお土産屋さん。わたしはここでリルケの「若き詩人への手紙」を買いました。

いや、行きの飛行機の中で、持ってきた本を読み終わってしまったので。
短編集とはいえ、500ページ強のわりと厚みのあるミステリで、
この人の本はけっこう読みにくいイメージがあったから旅行中もつかと思ったのだが。
マズった。さくさく読みやすい本だった……。
わたしは軽度の活字中毒なので、手元に本がないと落ち着かない。

ここで買うなら記念になるし、と思って買ったが――なぜカフカの家でリルケなのか。
カフカさん、ごめんなさい。
でもリルケが一番薄くて安くて(50コルナ≒270円)簡単そうだったんだもん。
さすがにこめんどくさそーなカフカの作品を、英語で読む気にはなれません。






ちっちゃい時計が可愛い。
わたしが求めて来た「黄金小路」は、かろうじてこの時計が応えてくれたな。






よし。これでプラハ城に思い残すことはないぞ。

……と、出ようとしたが、その前に謎のこの写真。





I took this photo in Prague Castle.
Whose washing? Whose underwear?

これを撮ったのはプラハ城内の出口近くなんですが、どう見てもステテコとか干してるよね?
どういう類の洗濯物なんだろう。すごく謎。











プラハ城は高台にあるので、眺めがいい。


さて。暑いし疲れたし、一旦ホテルに帰ります。


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10.国立美術館か……

2009-10-22 | チェコ・9月2日
まだ10時過ぎだっていうのに、足がそろそろへたばって来ている。情けないのう。


とりあえず動けなくなる前に美術館を見ておこうと思う。
美術館って、けっこう内部での移動距離があるから、余力がある時じゃないとつらい。

プラハ城の西側正門の外側に、シュテルンベルク宮殿という建物がある。
そこが国立美術館の古典からバロック時代のヨーロッパ絵画部門らしい。
プラハにも博物館、美術館と呼ばれるところは多々あるのだが、
今回わたしが予定しているのは、こことミュシャ美術館だけ。

今から思えば国立博物館あたりは行っておくべきだったのか?
でも化石とか鉱物の見物に乏しい時間を割く気にもならないしなあ……。




ところで、仮にも国立美術館と呼ばれる建物の入口がこれってどうよ?






The entrance of National Gallary.
It looks like prison.....


監獄じゃないんだからさー。
OPENと書かれた赤い表示がなかったら、絶対引き返したくなる雰囲気。
この向こうに係の人はいたので、ここなんだ、とは一応わかるんだけどね。
別に正面玄関があるのかな。でもお城から来ようとしたらここが一番近い入口なのに。






Coloured terra-cotta by Robbia studio from Florence.

わたしの好きな彩色テラコッタがお出迎え♪

これはイタリアはフィレンツェのロッビア一族が作ったもの。彼らは相当勤勉に仕事をしたらしく、
作品数が多く、けっこうどこででも出会う。ニューヨークのトリニティ教会にまであったもの。







By El Greco.

エル・グレコ。大好きな画家というわけではないが、わりとあちこちで見かけるので
親しみは持っている。特徴的な絵だし。








Title:Interior of the old church in Delft.

Hendrik Cornelisz van Vlietというオランダの画家が描いた「デルフト旧教会内部」。
オランダの画家では何人か、建築物内部をこういう風にかっちり描く人がいるんだよなー。
他では見ない画題であり、画風だ。遠近法の練習か?と思うほど。
絵の主題としては地味だしねえ。
……しかし間取り好きのわたしとしては、妙に気になるのだ。















I've forgotten the title....maybe Italian.

これの情報は忘れた……。画家もタイトルも控えてない。
ただ、わたしの知っている画家ではなかった。イタリア絵画だと思う。
わたし好みのオトコなので撮ってみた。画題は、なんだろうなー。
おそらくは聖人で、何か書いてるから福音史家かなーと。
それぞれ鷲と牛が描きこまれているので、鷲の方は聖ヨハネで、牛の方は聖ルカかな。

まあ聖人というよりは、どう見ても職人っぽいんですけどね。



目ぼしいものは以上!



国立美術館という名がついてこのくらいの作品ではちょっと満足出来ないなあ。
少々裕福な一貴族がコレクションしたものを展示しているとか、
一都市国家の遺産とか言うのなら、このくらいでも、むしろその小粒さと素朴さに
好意も持つのだが。国立美術館であれば、もう少し頑張ってほしいところ。
加えて、展示と保存がどーもしょぼい。オカネないんだろうなあ。
でももう少し気の利いたところに飾らないと、絵の値打も下がるというものだよ。

まあ、それでも1時間くらいは見たのだ。
数はそれなりにある。初期ルネサンス、ネーデルラント派あたりの小品、中品がメインか。
しかし、あえて見なくても後悔しないレベルだと思う。
ほんと客がいない。すれ違ったのは10人程度ではないか。


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国立美術館の1階に安直な食堂があった。
足もイタイし、正午も近いし、ここでお昼を食べようかな。
美術館の食事処にしては実にワビしい感じだが、プラハ城まで戻ってからにすると
食事処は混んでいるだろうし、ここなら多分安い。食堂と売店の中間くらいのイメージ。
美術館ちゅーのは基本的に都市の顔なので、普通はそれなりのレベルの飲食店を入れるのだが。

「何か食べるものありますか?」と訊いてみる。食事が出来るかという意味で。
そうすると「グラーシュはどう?」という返事が返って来る。
おお。サンドイッチ程度じゃなくて、グラーシュもあるのか。願ってもない。
イエス、グラーシュ、プリーズ。

グラーシュというのはハンガリー料理と紹介されることが多いが、
チェコでもごく一般的な食べ物だそうだ。初めてのチェコめし。
……こういう売店もどきで最初の出会いを果たすのに不安はありますが。






goulash.nice!



ほほう。ビーフグラーシュとはこういうものか。……そんなに豪勢なものではないな。
スプーンですくって一口食べてみる。


……おや?……美味い。


突出した味ではないんですよ。基本ビーフシチューなので、ビーフシチューの味。
そのせいで慣れているのか、するっと体に入っていく安心感。
自分でも、おやおや?と思うほど、2杯目3杯目とさっさかスプーンが動く。

普通に美味しいなあ。外国の食事って、美味しいと思ってもどこかちょっと突きあたる成分を
感じたりするものだが、ちっともそういう部分がない。安心出来る味。
グラーシュと一緒に出てきたパンにソースとして付けて食べると、
……あ、これはいくらでも食べられるわ。
他のチェコめしが全滅でも、これがある限り餓えることはない。

ぺろぺろ食べてごちそうさま。グラーシュ+ミネラルウォーターで110コルナ。(≒580円)





A courtyard of the National Gallary.


食堂がある中庭。人がほとんど通らなくて、実にさびしー感じです。

さて。お城へ戻るか。


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9.プラハ城へ。

2009-10-19 | チェコ・9月2日
またトラムに乗る。

ここからプラハ城までは歩いてもほんとにすぐなんだけど、時間が早いこともあり、
遠回りして裏側からのアプローチを試みる。プラハ城の前に少し寄り道。
例えていうなら、青葉城に行くのに大手門側からではなく八木山方面から行くようなもん?

プラハ城がある丘の西側に、ノヴィー・スヴェットという地区がある。
旅行前に読んだチェコ本の中に「雰囲気のいい場所」として挙げられていたので
ちょっと行ってみたかった。芸術家のアトリエなんかもちらほらあるそう。
ちなみにノヴィー・スヴェットとは「新世界」という意味らしい。








ちょうど左側の塀の中から人が出て来るところだった。
階段の途中ですれ違い、「ノヴィー・スヴェット?」と階段の下の方を指差し訊いてみると、
微笑しながら頷いてくれた。これから出勤する雰囲気。
この階段はけっこう急。ここに住んでいる人は毎日上り下りしてるんだなあ。



















寂しくて静か。プラハの文学的雰囲気をまだ留めているような場所。



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さすがにプラハ城まで来ると観光客がいる。







The entrance of Prague castle.

プラハ城西側正門。写真がいまいち……。







Schwarzenbersky palace.

プラハ城入口のそばにあるシュヴァルツェンベルク宮殿。
絵で立体的に見せるスグラフィート技法で装飾されていて美しい。
凸凹して見えるところも実は平面ですよ。念のため。







Road to castle.



この階段を登るのはちょっと辛そうだ。裏から来たので登らなくても良かったのは幸いなり。
たしか「のだめカンタービレ」のヨーロッパ特番で、この辺り映してましたね。





The gate is repaired.


正門は修復中。




プラハ城はとてもでかいお城で……でも威圧感はなく、明るい雰囲気。
やはり建物が石造りでないことが大きい。チェコの大統領府としても使われている。
敷地がギネスブック級に広いらしい。何しろ城内にあんな巨大な大聖堂があるくらいだから。
お城に付属して礼拝堂があるところは多いし、教会と呼べる大きさの建物があるところもあるが、
大聖堂というのは聞いたことがない。


そういうわけで、プラハ城内のメインは誰がなんと言おうと聖ヴィート大聖堂。




St.Vitus's Cathedral.

あまりに巨大なので、こういうアングルでしか正面が撮れない。


中に入ると。ゴシックの大聖堂の荘厳な雰囲気。









ああ、と思う。久しぶりの巨大空間。少し腹の底がじんとする。
朝9時半の堂内。朝の光がステンドグラスを透過する。












Beautiful light.Like a jewel casket.



ステンドグラスの透過光が壁画に当たり、本当に美しい。
そのせいで壁画自体の内容はおぼろげにしか見えないんだけど、
見えるがままの状態で充分だった。宝石箱のよう。美には常に神性がある。



反対側の壁には、アルフォンス・ミュシャがデザインしたステンドグラス。





The stained glass by Mucha.


部分。メインであるべきは、中央の、目を閉じて腕を広げた人物と、
その足元にひざまずく少年だと思うが、少年の位置が苦しすぎないか。もったいない。
もうちょっと枠から離れたところにデザインするべきだったのに。
2人の名前はどこかで読んだが忘れてしまった。聖ナントカと聖カントカ。
……ナントカとカントカでは説明になってないが、頭の光輪から見てもわかるように彼らも聖人。


そろそろ人が増えて来る時間。団体付きのガイドの説明の声がうるさくなってくる。
ぼちぼち退散しよう。


少し写真が多すぎかな?



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8.初めのプラハ。

2009-10-16 | チェコ・9月2日
ここで降りたのは、単にトラムを乗り換えるだけのためだったんだけど。
こんな風景に出会う。





The Vltava and Prague castle.


豊かな水を湛えるヴルタヴァ川。
対岸に連なる建物はプラハ城、てっぺんの教会はプラハ城内の聖ヴィート大聖堂。

こんな風景を素通りするようでは何のためにここまで来たかわからないもの。
予定を変更し、ここから川沿いをカレル橋まで歩くことにする。
ヴルタヴァ川はプラハの母なる川。マザー・リバーは人々の思いによって常に美しい。


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思い出に残る川と言えば――
盛岡の雫石川。
金沢の犀川。
上高地の梓川の水の美しさといったら。ブルートパーズのよう。

名前を呟くだけで風が吹くのはフィレンツェのアルノ川。
お世辞にもきれいとは言えないけど、やはり思い入れの深いテムズ川。
いつかはその川岸に立ってみたい、ナイル。黄河。

川は好きだ。流れがずっと海まで心を運ぶ。


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The Charles Bridge.


カレル橋が見え始める。
カレル橋は有名な観光名所で、日中になればものすごい人出になるような場所なんだけど。
現在工事中で、なんだか無粋な佇まいになっている。
朝早いので、わたしのように勤勉な観光客がちらほらいるだけ。


来たなあ、プラハまで。
カレル橋の頑丈な石の欄干にもたれて、ぼーっとヴルタヴァ川の川面を見つめる。
川風が冷たくて気持ちいい。陽が射して来て、日光が当たる部分は暑いくらい。
その微妙なコントラストを皮膚感覚で楽しむ。

この川風が初めてのプラハ。




Beautiful wind.




カレル橋は全長520メートル、横幅10メートルの大きな橋。
左右の欄干にキリスト教の聖人像が30体並んでいる。
我々に唯一馴染みがある聖人といえば、フランシスコ・ザヴィエルくらいだろう。
歴史の授業で習ったでしょう?肖像画を見れば忘れてても思い出すはずだ。

わたしは、彼がこんなところに飾られるほど有名人であるのは意外だった。
イエズス会の主要メンバーであるとはいえ、極東のちっぽけな島国に布教をしただけの人だと
思っていたのだが、けっこうワールドワイドな人だったんだねえ。

……が、写真は撮ってない。わざわざ探すほどの親近感を彼には抱いていない。


撮ったのはヤン・ネポムツキー像。




John of Nepomuk.


ヤン・ネポムツキーとは……と説明出来るほどの知識がないので、wikiの該当ページへどうぞ。
いや、写真を撮ったからと言って、ネポムツキーに親近感を抱いているわけではなく、
台座部分の彼のレリーフに触れると幸運が訪れるという言い伝えがあることから、
機会があったら触っておこうと思っただけ。





If you touch the John of Nepomuk(the small cross shape of centre),
you can get good fortune.


いつも混んでると書いてあったから、混んでたら無理だなと思ったが、
早起きは三文の得というか、他に誰もいないので触り放題。
が、実はわたしが触ったのは手前の一番大きな人物で……
ホントのネポムツキーは、レリーフの真ん中で橋の上から投げ落とされている小さな部分。
そこには触っていない。……わたしにはどうやら幸運は訪れないようです。








左側のレリーフ。
犬の部分が光っているのは多分言い伝えは関係なく、単に可愛いからだと思う。








ちょっと面白いと思った佇まい。
橋を通る人と同じ視線の高さにある家で、家の2階か3階の外壁にキリストの画像が飾られている。
ヨーロッパの街角では、街路の突き当たりなどにマリア像やキリストの画像がある場合が多いが、
この構造はあまり見ない気がする。

この家に住む人は、橋を通る人にも気軽に祈れる場を提供してくれているのだろうが、
日本で言えば、神棚やお稲荷さんの祠を道路に向けて作っているという状態なわけで。
うーん。面白いが、微妙にナンジャコリャ?だなあ。わざわざ専用のドアもあるしね。








The end of the Charles Bridge(Castle side).

カレル橋を渡りきって、こちらはお城のある側のたもと。
絵描きさんがそろそろ商売道具を広げようとしている。この時で8時半くらい。
これから一日が始まるんだな。



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7.ホテル周辺。

2009-10-13 | チェコ・9月2日
Tomorrow is another day.今日は昨日とは別な一日。

予定通り早起き。……でも起きたのは隣の部屋で目覚ましが6時半に鳴ったせいでした。
まあいいんだけどさ。実は自分の目覚ましは、セットしたつもりだったがされていなかったし。



朝ごはん♪








Breakfast room.


安宿のわりにソーセージがついていたのがポイント高い。ゆで卵もあったし。
出来ればスクランブル・エッグか目玉焼きが好みだが、安宿にそこまでを求めてはいけない。


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泊まったホテルは中心部からは少し離れている。
しかしトラム(路面電車)通りまでは徒歩5分くらいで、交通の便はそれほど悪くない。
目の前はバス通りなんだけど、結局最後以外はずっとトラムを使っていたなあ。
でもホテルが谷底?にあり、トラム通りが稜線にあるせいで、坂道を登るのがけっこう大変。


こんな写真を撮った。





TV tower.Can you see something small on the tower?

写真左下の、道の突き当たりがトラム通り。ある程度坂道の感じがわかってもらえるだろうか。
そして、右側の塔はテレビ塔なんですが。よーく見て下さい。赤い屋根の上あたりに、
何かぶつぶつっとしたものが見えるでしょう?さて、これはなんでしょう。






These are modern art works by David Cerny.
Perhaps they crawl around in every midnight.......




拡大図がこれ。「ナニコレ?」という感じだが、「はいはいする赤ちゃん」をモチーフにした
現代アートだそうです。ダヴィッド・チェルニーという人の作品らしい。
(参照:英国ボソボソ暮らし ヘッジホッグさんのブログ  未開の森林 eliot-akiraさんのブログ)


なぜテレビ塔にコレなのか。
……もしかして夜中に動きまわるんじゃないかと思うと、夜も眠れません。

このテレビ塔は景観を壊すという理由で不評だ(あるいは過去形)そうだ。
地元で言えば、中山の観音様みたいなもんかねー。
ガイドブックにも載っている建造物なので、ちょっと行ってみたいと思ったが遠いので止めた。
わざわざ行くまでではねえ……







トラム通りまで登って来て、






Near hotel.

トラム通りの左と、








右。道の正面に遠く見えるのが、多分プラハ城内の聖ヴィート教会だと思う。こっちが中心部方向。



ほんのわずかな場末感が漂う。
この辺りはシジコフ地区と呼ばれており、昔はあまりお金持ちじゃない人の住宅地だったらしい。
今回の旅行にあたって色々なチェコ本を読んだが、その中の著者2人が昔この地区に住んでいたと
書いていた。2人のうち1人がヤロスラフ・サイフェルト。ノーベル賞作家。
わたしが泊まっているホテルも、この人から名前を取ったサイフェルトだし、
このトラム通りも、名前はサイフェルト通り。

ちなみに読んだのは「この世の美しきものすべて」

晩年になってからの回想記で、おじーちゃんが自然体で書いたのが伝わってくる温かみのある本。
ノーベル賞作家のくせに(?)かわいー感じなの。
が、何しろ698ページあるので(長生きした人の晩年の回想だから長いんだよ)、
もう一度読む気にはならない(^_^;)。
交友関係も色々出てくるし、チェコの作家や政治家に詳しければもっと面白いんだと思う。



トラムに乗る。朝の通勤ラッシュは過ぎたくらいなのかな。そんなに混んではいない。
チェコは朝の始業が基本的に早いらしい。8時頃からが多いと書いてあった気がする。
通勤らしき人の姿もあるが……驚くのは、犬を連れてトラムに乗る人の多いこと。
またその犬たちもお行儀が良く、トラムに乗ったら飼い主のそばに伏せてほとんど動かない。
彼らはこれからどこへ行くんだろう。飼い主と一緒にご出勤?

チェコの犬は総じて厳格にしつけられているようで、歩いていて何かにじゃれつくとか
気を取られるとかはほとんどないようだ。ひたすら前を見、飼い主について行く。
ちょっかいを出したいわたしとしてはちょっと寂しい。


トラムはいいですね。地下鉄とちがって景色を見ながら移動出来る。
トラムの5番は街の中心部をつっきるラインで、無料の観光バスに乗っている気分。
次々に現れる新しい風景が目を楽しませる。
街の中心部は意外に賑やか。店の看板のデザインが少々派手で軽薄。日本ほどじゃないけど。
立ち並ぶ建物は、外側が漆喰のせいか、石造りのヨーロッパの他の都市と比べて少しお安めの感じ。
逆に言えば装飾が自在に出来る分、優美で軽やかだ。


トラムには15分前後乗ったか。乗り換えの為、国民劇場前で降りる。



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