バスターミナルは意外に広く(そして古く)て、どこから乗ったらいいかわからない。
チケット売り場のおばさんが、乗り場の番号をメモしてくれた。
うんうん。34番乗り場で待てばいいのね。
昼食用に売店でクロワッサンと水を買い、乗り場へ行ってのんびり食べながらバスを待つ。
……が、なんだか様子がおかしい。誰もいないし。
メモをじーっと見直すと、「……もしかしてこれは4じゃなくて7なのか?」
慌てて37番に移動。ここには人が大勢いて、ちゃんとモラフスキー・クルムロフと書いてある。
アブナイ。こんなところに落とし穴があるとは思わなかった。
モラフスキー・クルムロフまでのバス代は39コルナ≒210円。
雨が降っている。雨の風景を眺めながらバスに揺られているのもなかなか乙なもんだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しかし、無事にモラフスキー・クルムロフのバスプールで降りたはいいが。
そこからミュシャ美術館の場所がわからない。
人に訊こうとしても、英語がネックなのか、みんなに逃げられてしまう。
しょーがないので、両替がてら銀行に入って訊きました。
銀行の人も英語は話せないようだったんだけど、筆記用具があればこっちのもの(?)。
ZAMEK、MUCHAと書けば、わたしがどこへ行きたいかは相手に伝わる。
ちなみにZAMEKはチェコ語で「城」。昔のお城を美術館として使っているんです。
ちなみに行き方は、
バスプールで降りたらその広場のはじっこにあるホテル「EPOPEJ」へ向かって行き、
そこを通りこして200メートルくらい歩くとZAMEKであるミュシャ美術館。
ちなみにEPOPEJはチェコ語で「叙事詩」の意(多分)。
そう言えば、バスの運転手さんも銀行の人もミュシャを「ムカ」と発音していた気がしたな。
ガイドブックには「ムハ」だと書いてあるのだが。この辺りの方言だろうか。

Mucha museum in Moravsky Krumlov.
ミュシャ美術館。
うーん、建物が古い。
いや、古いのは昔のお城なんだから当然。
古びている。つまり、なんか荒れた感じ。
手入れが――修復が行き届いていないな。うっすらと廃墟の侘しさのにおいがする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「スラヴ叙事詩」は。
城の中の大広間に置いてありました。
置いてある。と言いたくなるのは、「展示してある」というには、少々無理な配置だったので。
最大限に努力はしているんだろう、多分。しかしそれでも、これは絵として見るのは辛いよ。
何しろ「スラブ叙事詩」は20枚の連作なのだ。
そしてサイズは810×610が7枚、最小でも440×405という常識外れの巨大さ。
畳で言えば大きい方は30畳、最小でも10畳程度ある。
30畳の大きさの絵をちゃんと見ようとしたら、どのくらいの空間が必要か。
それが7枚。生半可な空間では飾れない。一部屋としてはここの大広間だって
もちろん通常よりはずっと広いけれども、それでも絵は足元から見上げるしかない。
しかし見上げることを想定した構図ではないので、非常に偏った見方を強いられることになる。
見るべき場所ではない位置で見ている苦痛。
これはなかなかに苛々しました。
ミュシャさんよ、そもそもなぜこの大きさで描いた?
この絵は注文によって描かれたものではないという。
画家本人が「祖国の誇りのために」、ライフワークとして取り組んだもの。
つまり何をどう描くかはミュシャの自由だった。
それでなんで、こんな傍迷惑な大きさにしなければならなかったのか!
だいたいこの大きさを必要とした構図とは思えませんよ!
……絵が全く描けないわたしが言っても信憑性はありませんが。
ちょうどいい位置から見ることが出来ない、というハンデを差し引いても、
ここまで大きく描くべき絵ではなかったと思う。
せいぜい半分、あるいは4分の1。その程度でも十分だったと思うのだが、どうか。
全部の画像は見つけられなかった。
テレビ東京「美の巨人たち」ミュシャの回
英語だが、「スラヴ叙事詩」の画像あり。
右側にある「next fotos」の部分を開くとわりあいに様子がわかる写真が見られる。
いま一つどういうサイトかわからないけど、サルヴァスタイル美術館さんのミュシャのページ。
一番下に、スラヴ叙事詩の20枚のうち7枚の画像あり。
この7枚、このサイト上くらいの縮尺で見ると、別に悪くはないんです。
でも実際見るととても間延びしている。時々あります、テレビとか画集で見た方が
ずっときれいに見える絵が。ミュシャの「スラヴ叙事詩」もその類。
ミュシャはなぁ、ポスターの構図はあざといほどカッチリ決めてくる画家なのに。
あんまり決めすぎてマンネリになるほど。
やっぱり身の丈にあった大きさってある。だいたい、この大きさを扱える人ってそうはいないと思う。
しかも連作ですからね。作品として、1枚目から順番に描いたのかどうかは知らないけれど、
1~7枚目が巨大で、その後小さくなっていくことを考えると、多分彼自身も、
何枚か描いた後で「しまった……」と思ったのではないですか。
30畳にふさわしい主題と構図を20枚。それは不可能だったのだろう。
ミュシャの勇み足だなー。「祖国のために!」という情熱の熱さで大きさを決めたはいいが、
それに内容が追い付かなかったという意味で。
あと……色自体が汚れていました。
これはそろそろクリーニングを行った方がいい。
ミュシャの色彩が損なわれていては、魅力は半減なんだから。
だがお城の状態から察するに、……多分この町にはオカネがない。
モラフスキー・クルムロフの町の人には失礼ながら、
やはり国が手元に引き取って何とかするべきではないですかねえ。
まあ国立美術館の状態を考えると、国もオカネがなさそうだけども。
というわけで、わざわざ行ったわりにはどうも感心できずに帰って来た。
でもまあ、実際に見なければそういう感想も抱けなかったので、
行ったこと自体は後悔はしないですけどね。
絵として良かった部分と言えば、1枚目「原故郷のスラヴ民族」の人物の表情と星でしょうか。
星は美しかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
帰りのバスを雨の中1時間弱待ち、18時頃ブルノのバスターミナルに到着。
夕食はそばのショッピングモールで仕込む。中華のファストフードをテイクアウトで。

Shopping centre in Brno.

Supper.
ホテルまで傾いたまま持って来たので、ひっくり返って美味しくなさそうですが、
3種類の肉の炒め物?で、味は普通に美味しいです。
中華のファストフードは「ホントにこれ、全種類作れるの?」と訊きたいような、
30種類か40種類くらいのメニューがあった気がする。
これで93コルナ≒500円。日本にもこういう店があるといいのになー。
19時ホテル帰着。明日は早起きをしようと思う。
雨降りだったし、メインのミュシャ美術館が撮影禁止だったこともあって、
この日撮った写真は13枚でした。
旅行中の1日の撮影枚数としては、記録的な少なさ。
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チケット売り場のおばさんが、乗り場の番号をメモしてくれた。
うんうん。34番乗り場で待てばいいのね。
昼食用に売店でクロワッサンと水を買い、乗り場へ行ってのんびり食べながらバスを待つ。
……が、なんだか様子がおかしい。誰もいないし。
メモをじーっと見直すと、「……もしかしてこれは4じゃなくて7なのか?」
慌てて37番に移動。ここには人が大勢いて、ちゃんとモラフスキー・クルムロフと書いてある。
アブナイ。こんなところに落とし穴があるとは思わなかった。
モラフスキー・クルムロフまでのバス代は39コルナ≒210円。
雨が降っている。雨の風景を眺めながらバスに揺られているのもなかなか乙なもんだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しかし、無事にモラフスキー・クルムロフのバスプールで降りたはいいが。
そこからミュシャ美術館の場所がわからない。
人に訊こうとしても、英語がネックなのか、みんなに逃げられてしまう。
しょーがないので、両替がてら銀行に入って訊きました。
銀行の人も英語は話せないようだったんだけど、筆記用具があればこっちのもの(?)。
ZAMEK、MUCHAと書けば、わたしがどこへ行きたいかは相手に伝わる。
ちなみにZAMEKはチェコ語で「城」。昔のお城を美術館として使っているんです。
ちなみに行き方は、
バスプールで降りたらその広場のはじっこにあるホテル「EPOPEJ」へ向かって行き、
そこを通りこして200メートルくらい歩くとZAMEKであるミュシャ美術館。
ちなみにEPOPEJはチェコ語で「叙事詩」の意(多分)。
そう言えば、バスの運転手さんも銀行の人もミュシャを「ムカ」と発音していた気がしたな。
ガイドブックには「ムハ」だと書いてあるのだが。この辺りの方言だろうか。

Mucha museum in Moravsky Krumlov.
ミュシャ美術館。
うーん、建物が古い。
いや、古いのは昔のお城なんだから当然。
古びている。つまり、なんか荒れた感じ。
手入れが――修復が行き届いていないな。うっすらと廃墟の侘しさのにおいがする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「スラヴ叙事詩」は。
城の中の大広間に置いてありました。
置いてある。と言いたくなるのは、「展示してある」というには、少々無理な配置だったので。
最大限に努力はしているんだろう、多分。しかしそれでも、これは絵として見るのは辛いよ。
何しろ「スラブ叙事詩」は20枚の連作なのだ。
そしてサイズは810×610が7枚、最小でも440×405という常識外れの巨大さ。
畳で言えば大きい方は30畳、最小でも10畳程度ある。
30畳の大きさの絵をちゃんと見ようとしたら、どのくらいの空間が必要か。
それが7枚。生半可な空間では飾れない。一部屋としてはここの大広間だって
もちろん通常よりはずっと広いけれども、それでも絵は足元から見上げるしかない。
しかし見上げることを想定した構図ではないので、非常に偏った見方を強いられることになる。
見るべき場所ではない位置で見ている苦痛。
これはなかなかに苛々しました。
ミュシャさんよ、そもそもなぜこの大きさで描いた?
この絵は注文によって描かれたものではないという。
画家本人が「祖国の誇りのために」、ライフワークとして取り組んだもの。
つまり何をどう描くかはミュシャの自由だった。
それでなんで、こんな傍迷惑な大きさにしなければならなかったのか!
だいたいこの大きさを必要とした構図とは思えませんよ!
……絵が全く描けないわたしが言っても信憑性はありませんが。
ちょうどいい位置から見ることが出来ない、というハンデを差し引いても、
ここまで大きく描くべき絵ではなかったと思う。
せいぜい半分、あるいは4分の1。その程度でも十分だったと思うのだが、どうか。
全部の画像は見つけられなかった。
テレビ東京「美の巨人たち」ミュシャの回
英語だが、「スラヴ叙事詩」の画像あり。
右側にある「next fotos」の部分を開くとわりあいに様子がわかる写真が見られる。
いま一つどういうサイトかわからないけど、サルヴァスタイル美術館さんのミュシャのページ。
一番下に、スラヴ叙事詩の20枚のうち7枚の画像あり。
この7枚、このサイト上くらいの縮尺で見ると、別に悪くはないんです。
でも実際見るととても間延びしている。時々あります、テレビとか画集で見た方が
ずっときれいに見える絵が。ミュシャの「スラヴ叙事詩」もその類。
ミュシャはなぁ、ポスターの構図はあざといほどカッチリ決めてくる画家なのに。
あんまり決めすぎてマンネリになるほど。
やっぱり身の丈にあった大きさってある。だいたい、この大きさを扱える人ってそうはいないと思う。
しかも連作ですからね。作品として、1枚目から順番に描いたのかどうかは知らないけれど、
1~7枚目が巨大で、その後小さくなっていくことを考えると、多分彼自身も、
何枚か描いた後で「しまった……」と思ったのではないですか。
30畳にふさわしい主題と構図を20枚。それは不可能だったのだろう。
ミュシャの勇み足だなー。「祖国のために!」という情熱の熱さで大きさを決めたはいいが、
それに内容が追い付かなかったという意味で。
あと……色自体が汚れていました。
これはそろそろクリーニングを行った方がいい。
ミュシャの色彩が損なわれていては、魅力は半減なんだから。
だがお城の状態から察するに、……多分この町にはオカネがない。
モラフスキー・クルムロフの町の人には失礼ながら、
やはり国が手元に引き取って何とかするべきではないですかねえ。
まあ国立美術館の状態を考えると、国もオカネがなさそうだけども。
というわけで、わざわざ行ったわりにはどうも感心できずに帰って来た。
でもまあ、実際に見なければそういう感想も抱けなかったので、
行ったこと自体は後悔はしないですけどね。
絵として良かった部分と言えば、1枚目「原故郷のスラヴ民族」の人物の表情と星でしょうか。
星は美しかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
帰りのバスを雨の中1時間弱待ち、18時頃ブルノのバスターミナルに到着。
夕食はそばのショッピングモールで仕込む。中華のファストフードをテイクアウトで。

Shopping centre in Brno.

Supper.
ホテルまで傾いたまま持って来たので、ひっくり返って美味しくなさそうですが、
3種類の肉の炒め物?で、味は普通に美味しいです。
中華のファストフードは「ホントにこれ、全種類作れるの?」と訊きたいような、
30種類か40種類くらいのメニューがあった気がする。
これで93コルナ≒500円。日本にもこういう店があるといいのになー。
19時ホテル帰着。明日は早起きをしようと思う。
雨降りだったし、メインのミュシャ美術館が撮影禁止だったこともあって、
この日撮った写真は13枚でした。
旅行中の1日の撮影枚数としては、記録的な少なさ。
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