プラハからソウルへの飛行機は、わりとゆっくり眠れた。4時間くらい。
ソウル―ヨーロッパ間は短く感じる。
やっぱり2席独占。……が、5席を独占して横になって眠れた人もちょこちょこいたので、
特別わたしがラッキーだったわけではない。
しかしなー。こんなにガラガラ(国際便で5席独占はやはりガラガラでしょう)で、
大韓航空、大丈夫か?
赤字にならんか心配だなー。プラハ-ソウル線はそう長くはないと見た。
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12:25、ソウル・仁川(インチョン)空港着。ターンテーブルからスーツケースを取る。
……え?こんなところでスーツケースを取ってどうするのかって?
乗り換えの時は、黙っていても日本まで荷物を通してくれるんだよ、って?
いやいや、それは知っています。でも今回はここでスーツケースを回収しなければならないのだ。
なぜかといえば、この後わたしは自力で金浦空港まで移動する予定なのです。
金浦空港で改めてチェックインし、そこから羽田空港へ飛ぶ。
これは日本で例えると、外国から成田空港についた外国人が、羽田に移動して
羽田から出国するということと同じ。
なぜこんな日程になっているのか。
もちろん仁川空港から普通に成田空港に戻る便もあるのだが、そうすると成田空港着が19:40。
新幹線の最終に間に合わなくて、その日のうちに家まで帰れない。
その日のうちに帰れないことが致命的というわけではないけど、
ただでさえ忙しい日程なんだから、せめて多少は安全策をとっておきたい。
――しかしその安全策を取るために、帰りの飛行機で外国での国内移動付きという
また別な無理をするようになる。でも実は、こういう無理はちょっと好きなんだよねー。
でももちろん、アブナイ橋は渡らない。
プラハ―ソウルの空港間移動―羽田というプランを見た時に、
ソウルの仁川空港と金浦空港間の移動については、ネット上でもじっくり吟味したし、
韓国に詳しい人の話を聞いた。それによると、成田空港→羽田空港間の移動よりは
はるかにアクセスが良いらしく、バスも頻繁に出ているし、
わりと最近出来たらしい地下鉄でも40分くらいで連絡しているようだ。
これで乗り換え時間が4時間あるらしいから、多分大丈夫だろう。
ただ、マイナス要素が一点あって、わたしが10年ほど前に大韓航空を利用した時には、
帰りの飛行機がけっこうな時間、パリからの離陸が遅れたんだよね。
たしか3、4時間だったと思う。その時、ちょっとお喋りをした新米キャビンアテンダントに、
「日本語で“○時間遅れます”って文章を教えて」と訊かれ、ローマ字で書いてあげた記憶が
あるので印象が強い。
いつもいつもそういうことをやっているんじゃないだろうけど、少々心配ではある。
ま、でもね。やってみないとわからないしね。
空港間移動という体験も今後のためにいいかと思うし。
――しかし最後の最後にチャレンジが来てしまうのは少々微妙だった。
旅行の最後まで、なんとなく落ち着かないというか。
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結果としては特に問題はなかった。
仁川空港に着いたのは、予定時間より若干早いくらいだったし、ここさえクリアしてしまえば
あとはそれほど心配することはない。もちろん一番大事なのは空港間の移動だが、
これは地下鉄の表示がとてもわかりやすかったので、ほとんど迷わず。
行きの飛行機で乗り換えをする時、韓国ウォンに替えておいたのも良かった。
実際は両替する時間はあったわけだけど、時間が押せ押せになることだって考えられたから。
韓国の地下鉄。
Underground between Inchon Airport and Gimpo Airport in Korea.
ものすごくきれいで感動的だった。新しいのでピカピカ。
駅名の表示及びアナウンスは、韓国語・英語・中国語・日本語で流れるんだよ。
金浦空港着。
Gimpo Airport.
10年前にもここには来ている。……が、そんなん遠すぎて覚えてませんわ。
ここでもとても感嘆したことが。
すごくすごく洋服屋さんが多い!!なぜ空港にこんなに?と思うほど。
フロアの端が見えないくらい広いスペースをぎっしり洋服屋さんがうめつくしている。
韓国に買物に来る人がいかに多いかということの一証左ではある。
これだけのスペース、旅客だけ相手の商売とも思えないから、ソウル中心部からも
買物に来る人がいるんだろうか。それにしても。
うーむ。すごい。わたしの想像を絶している。
買物嫌いの人間から言われてもらえば、こんなに店があったら、どこで買えばいいかわからん。
洋服屋さんに用はないが、フードコートには用がある。
韓国ゴハンを食べてみたい。
Foodcourt in Gimpo Airport.
フードコート。雰囲気は空港内というより、普通のショッピングモール。
長町モールとかエアリとかのノリで、でもちょっと照明が暗め。
お店は10軒前後あったのかなー。お寿司屋さんもあるんだよ。
そっちも気になったけど、やはり韓国料理にチャレンジしたい。
フードコートの店を2周くらいかけて物色した後、スープ系の店にしようと決める。
が、レジで注文しようとして、はた、と気づく。
ロウで出来た食品サンプルがちゃんと並んでいるんだけど、
……ハングル、読めません。
英語での表示もなし。ナンバーもないし、値段もほぼ同じ。どうやって注文すればいいのだ!
しょーがないので、ケースに入った食品サンプルを「これ!」と強く指さす。
これ!と日本語でも英語でも言えないので、無言で。目で訴えつつ。
「○○××?」と店員さんが聞いて来る。わたしが希望したのは海鮮スープらしきもので、
店員さんが言ったのが果たしてそれかどうかわからないが、
種類が多少違ってもいいのだ、とにかく食べられれば。うんうん、と頷く。
そして出てきたのが……これ。
Seafood soup.It was very hot.
まあ、よくわからないけど。多分メニュー的には当たらずと言えども遠からずなんだと思う。
しかしわたしは内心で「しまった……」と呟く。
カライの、相当に苦手なんです。出てきたのを見れば、スープなんか真っ赤じゃないですか!
……そうだよな。韓国料理は基本的にカライんだよな。
食品サンプルは具でスープが見えなかったから、スープが赤いことに気付かなかった。
うう。ご丁寧にキムチもついているし。
ご飯で舌をだましながらどこまでいけるかなー、とおそるおそる。
スプーン1杯目。……あ、こりゃ駄目だ。やっぱりカライ。
まあ、舌が耐えられるまで、どこまでいけるか。
半分、くらいかな。3分の1か。水を飲みながらがんばったが、そんなもんでダウン。
だいぶ残った食べ物を店の人に返すのに罪悪感。
ついつい「美味しいけど辛い」と言い訳をしたくなり、しかし韓国語が話せないので、
親指を立ててから舌を出して指さすという、後で考えてみれば少々笑えるボディランゲージに走る。
でも意味は通じたらしく、お店の人に笑われつつも「カムサムニダ」と言ってもらえた。
石焼ビビンバくらいにしておけば良かったかもしれない……
カライもの嫌いに韓国のスープは危険だ。
その後は出発まで空港内をうろうろ。
化粧品コーナーのあちこちにIKKOさんのどでかい写真ががんがん置いてあったのには驚いた。
韓国でそんなに人気なのか?IKKOさん。
16:40、金浦空港離陸。