Mo.の事件簿 A diary of Mo’s trips

事件簿などという大層なタイトルだが、実は単なる旅行記です。

30.最後の夜。

2009-12-29 | チェコ・9月7日
馬に乗って疲れたので、宿でしばし休息。
17時過ぎ、最後のひと歩き、及び晩ごはんのために出かける。


城の庭園に行ってみようと思っていた。写真を撮るのに良さそうな場所。
――しかし行こうとしてガイドブックの地図を見ながら歩いたら、
想像よりはるかに高い場所にあって、行くのにものすごく苦労した。
普通、庭と言ったら低い場所にあると思うじゃないですか。
だから町の中心部へ降りていったのに、実際はそこから階段で崖のてっぺんまで上るはめになった。

階数で例えていえば、宿がある場所が3階。まずは1階レベルの町の中心まで行った。
そしたら庭は5階にあった。という感じ。
城より高いところにあるんだぜ。おかしいやろ。
庭園へ行く場合は、城を奥までつっきって行くことをお勧めします。


そういう苦労をして辿りついたのがここ。








The castle garden.


わざわざこのために遠くから来て眺めるほどの庭ではないけど、
住んでいるところのそばにこういう場所があったら、すごく得した気分になるだろうな。



高台なだけに町が一望の下に見渡せる。
方向としてはお城からの風景と変わらないので、前日に撮った写真と似たようなもんだけど、
この教会の横に見える丘の上のちっちゃい建物。









Perhaps I went to the far church on the hill by horse.




これが多分、さっき乗馬をした時に折り返した教会だと思うんだよなー。
つまり町を逆サイドから見下ろす位置まで行ったわけ。


お城の敷地内を通って町の中心部へ帰る。
あ、そうそう、お城では熊を飼っています。








Bears in the castle.




別に動物園というわけではなく、いつ頃かの城主が飼い始めて、それかららしい。
数百年来続いている伝統なんだって。




夕暮れの街をうろうろ。





What's this?



ショーウィンドーの変な人形。通るたびに気になっていた。




CDショップからけっこうな音量の音楽が流れている。まあクラシックなだけマシか。
店は細い階段をぐるぐる上った奥にあり、こういうところなら、少々大きめに音でも
鳴らしておかないと、客はまず来ないわなー。

チェコは音楽の国なので、記念に何かCDを買って帰ろうかと思っていた。
今回自分の物として買ったのはミュシャのマウスパッドくらい。CDくらい買ってもバチは当たらん。
店内は狭く、店員のお姉さんはわたしに気づくとそれまで手に持っていたフルートを置いた。
「何かお探し?」
「うーん……チェコの記念になるようなCDが欲しいんだけど。お薦めあります?」
店員さんは心得た感じで、すぐ数枚のCDを出して来る。
予想されたことながらドボルザーク「新世界より」とスメタナ「わが祖国」。
まあでも、通して聴いてみたことなかったし、聴きたいと思っていたし。
店員さんは落ち着いた感じの人で、CDの説明も信頼できる感じ。
何種類かあるうち2枚組のそれを買う。それから目についたドボルザークの「ルサルカ」
――プラハで聴いたオペラ――も。

ちょっと嬉しくなって外に出る。また一つ、チェコとの細い糸を繋いだ感じ。




さて。晩ごはん。

……が、実はわたしは失敗したのだった。
乗馬から帰った時、小腹が空いたので、近くのCOOPでリンゴを買って食べた。
外国のリンゴは大抵日本のよりはずっと小さくて、せいぜいテニスボールくらいの大きさ。
でもその後昼寝をしただけだから、オナカが空いていない。
んー。もしかしたらチェコめし最後なのになあ……。
しかし空いていないところに詰め込んでも美味しくなかろうし。
量は常に多めの可能性があるので、山盛の料理を想像しただけでちょっと無理。
かといってファストフードの店もないし、パン屋はかろうじて開いているけど
パンって気分のオナカじゃないし。


でも、オールドインには行ってみたんです。昨日ピアノ演奏をしていたところ。
が、今日はやっておらず。昨日は日曜だったから生演奏が入っていたのかな。
(そのわりには昨日もあんまり客は入っていなかったけど。)
演奏をしていたら、それを聴きながら食事をしようかと思っていたのだが、
やっていなかったのであまり食指が動かず。
ちょっと高めだし。高いって言っても、多分1500円とかで間に合うんだろうけど、うーん。

相当うろうろして。
方針が決まらずにうろうろするのはなんかイヤですね。


と、聞こえて来るフルートの細い旋律。
あれ、これは昨日と同じパターン?またどこかで生演奏をしているの?
二匹目のドジョウを狙って、音を頼りに町を歩く。

ヴルタヴァ川へかかる橋の上に来ると、音の出処がはっきりする。さっきのCD屋さんだ。
そういえばあの店員さんは、わたしが入って行った時、フルートを持っていたっけ。

しばらく橋の手すりにもたれて耳を傾ける。
――店に戻ることもちらっと考えた。
「通りかかったらフルートの音が聞こえたから。聴かせて」と言えば、
むしろ喜んで演奏してくれるかもしれない。が、練習の邪魔になる可能性もなくはない。
音大生か、音楽家の卵か。コンサートか発表会が近いのかもしれないしね。

あ、でも。この辺りの店に入れば、この音を聴きながら食事が出来るのではないか。
そう思って見回すと、CD屋さんの窓からちょうど川をはさんで向かい側に、
テラスで食事が出来るようなレストランがある。おあつらえむきじゃないですか。

念のためメニュー表確認。(ヨーロッパでは店外に値段付きのメニュー表が出ている場合が多い)
まあ安くもないところか。あ、でもパンケーキがある。今度は甘い奴。
これでもいいんじゃないか。チェコで甘いもんあんまり食べてないし。
パンケーキと紅茶でフルート。ふふふ、いい感じだ。

テーマが単なるその日の夕食だろうと、方針が固まるということは気持ちがいいものです。









I was listening to flute from the window of CD shop.



少々寒いが、外のテラス席に陣取る。
向いの建物の開いた窓がフルートの音源。吹いている人は聴衆がここにいるとは考えないだろうけど。
ちょっと幸せ。しばらくじっと耳を澄ませる。







Pancake.....not good.






パンケーキ到着。けっこうどーんという感じですね。
だがこれが、美味しくなかった(^_^;)。アイスクリームは美味しかったんだけどねえ。
少し厚めのクレープで缶詰フルーツを包み、生クリームを飾ったものだが、
何しろ中身の缶詰フルーツがシロップでべちゃべちゃ。それが美味しい人もいるだろうが、
シロップの水気を吸ったクレープは、あんまり美味しいものではないのではないか……。
さらに生クリーム。こないだのブルノのホテルの朝食に引き続いて不味い。
甘くない上に、脂肪分が多いのかな。しつこい味。フクザツな気分で食す。
耳は満足なのだが、舌は不満なひととき。



来たなあ、ここまで。感慨をもって辺りを見回す。
旅の日程はもうわずかしか残っていない。日本から遠く離れて、ほんの数日を過ごし、
また日本へ帰って行く。
帰るんだなあ。名残惜しさとわずかな安堵。帰るところがあるからこその旅。


帰るところがないと、放浪になってしまいます。まあ放浪も嫌いじゃない気がするけど、
とりあえず帰るところがあることはアリガタイと思いマス。






The last night in Cesky Krumlov.




チェスキー・クルムロフ城の塔は、いつでもどこでもついて来る。



19:45、ホテル帰着。明日は6時起き。




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29.ほぉすらいでぃんぐの巻。

2009-12-25 | チェコ・9月7日
そしてね。これからどこへ行くかというとね。


タクシーに乗って……




From a taxy.



山の方を走り……




I was going to the hill.




馬。




A HORSE! Horse riding.




乗馬をしたんです!
さっきツーリスト・インフォメーションで予約したのだ。
1回1時間(たしか)1500円。何をすることになるのかは知らないが、安いじゃないですか!


……で?何をするんです?
と考える暇もないほどあっという間に、わたしは乗馬帽を被せられ、馬上の人になっていた。
日本だともう少し能書きがある気がするのだが、手綱を持たせられ、馬の名前を教えてもらっただけ。
しかも日本では、鞍につかまるところがあったが、この鞍には何もなし。
あれー?と思っている間に……外へ向かって出発。ひええ。

わたしは宝くじにあたったら乗馬を始めようと思っている程度には乗馬に興味があるので、
今まで多少の体験はある。
とは言ってもほんとに多少で、数回の引き馬(馬場1周500円とかのヤツ)と、
乗馬教室の体験教室(2時間くらい?)と、那須の乗馬クラブで外乗り30分くらい。
那須の時には係の人が、手綱を持ってくれたような気がするしなあ。


今回は厩舎の人が別な馬に乗って先導してくれる。20歳くらいの女の子。
精悍で、ちょっと無愛想なタイプ。
舗装道路では「右側に寄ってー」とか、吠えている犬がいるところではちゃんと
こっちにも目を配ってくれたりはするんだけど、あまり至れり尽くせりという感じではない。

まあね。こっちが慣れてなくても、馬が慣れてるからね。
その証拠に特にわたしが何もしなくても、ちゃんと前の馬についていってるし。
特別なことがなければ大丈夫だろう……とは思うが、大丈夫かな?


と思っていると、舗装道路から細い坂道に入り、森に突入。
うわー、「ロードオブザリング」のファンゴルンの森ー。
……心の半分ではこんなことを思ってワクワクはしているんだけど、もう半分では
「え、ここを登るの?」とか思ってびびっている。

いや、上るのはいいんです。上り坂は馬でも怖くない。
が、上るということはいずれ下りてくるということで……
馬で坂道を下るのはコワイよ。それは以前の乗馬で経験済み。
馬って、下る時は頭を下げる。そうすると乗り手の体は前のめりになりがちだし、
目の前には馬の首もないわけだから、ちょっとでもつまづいたらつかまるものも何もなく、
すぐ前方に投げだされてしまいそう。

さらに、上るのは怖くないと言ったが、森の中では木の根が多い。
木の根は馬の蹄がすべりやすい。つまづきやすい。
そこを馬が「よっこいしょ、よっこいしょ」という感じで上って行くと、けっこうあぶなっかしい。
思わず「重くてすまんねえ……」と話しかける。

とはいえ。森の中を馬で行くのは、やはり心の半分ではワクワク。
そのワクワクとビビリが内心を50パーセントずつ分け合って、実に微妙。
砂糖と塩を一緒に食べている気分。そこに“せっかくお金を払っているんだから楽しまなきゃ”
という功利性もプラスされ、もう気分的には何がなんだかわかりません。

ここで万が一落馬して脚でも折ったら、どうするんだろうなあ。
大使館?大使館がそういうちっちゃな面倒を見てくれるんだろうか。
でも他にどこに頼りようもないよなー。
とりあえずリザ(←馬の名前)、大使館のお世話にならなくても済むよう安全運転でお願いします。





森を抜けると、そこは草原だ。
「うわあ……」と思わず呟く。
丘陵地帯の起伏のある場所なので、大草原というわけではないんだけれど、
イメージは「大草原の小さな家」。「赤毛のアン」か。いや、アンはあまり馬に乗らない。

写真を撮りたい!……だがカメラを持ってきてない。荷物を預ける時に、
カメラを持って行っていいか訊いたら、係の女の子が、
「うーん……。上手い人なら大丈夫だけど……」と言っていたのでソッコー諦めました。
馬の上は相当揺れるので、わたしのカメラだとドカンドカン体に当たって痛いだろう。
ポケットに収まるような、小さめのデジカメなら大丈夫かも。
う。今から思えば携帯の写メという手もあったか?(遅い。遅すぎる。)


山の斜面を利用した牧草地。濃い緑の森がところどころに残る。
牧草地と森の境界に沿って馬は歩く。いつも同じコースなのだろう、
数十センチほども伸びた草の中に、ほんのわずかな幅で草の生えていない獣道がある。
丘と草原。森。風。一歩一歩進んで行く馬。


コースは、丘の頂上に近い小さな教会の建物を1周して折り返す。
ここから見たチェスキー・クルムロフの町は絶景。……だったのだが、何しろ馬が歩く幅が、
気分的には2メートルもないようなところ。
「落ちないだろうけど、本当に落ちないか?」とハラハラしていた部分もあるので、
景色を見るの半分、馬の歩みを心配するの半分で、見晴らしを堪能出来たとは言い難い。


そして、やはり下り坂はナンでした。
最初に心配したような、怖いほどの角度で下って行くわけではなかったけど、
微妙な下り坂だと馬の歩幅がむしろ大きくなり、揺れが激しくなる。
オシリが鞍にぶつかってイタイ。この後ずっと下り坂だろうから……多分明日は筋肉痛だろうなー。

前を行く馬は、乗り手の女の子が何も指示をしていないように見えるのに、
後に続くわたしの馬が多少遅れると、しばらく止まって待っていてくれる。
近づくと歩きだす。頭がいい。やっぱりやるぞ、乗馬。宝くじが当たったら。


やがて、舗装道路に帰ってくる。
行きの時もいた犬がまた吠えて、前の馬はちょっと暴れている。
リザは泰然としている。良かった、リザがおっとりお嬢さんで。


ほぼ40分強のコースを終えて帰着。
終わったことでほっとして、ようやく馬に乗った実感が出てくる。
やー、乗った!って感じだねえ。あんな場所を馬で通れるなんて思わなかったよー。
軽くハイテンションになってリザの顔を撫でまくる。
撫でまくられても彼女は嫌な顔ひとつせずおっとりしたまま。
「リザはお母さんになるんだよ」と、女の子が教えてくれる。
あれ、大丈夫だったかな?お腹けっこう蹴っ飛ばしたけど。



その後、呼んでもらったタクシーが来るまで厩舎付近の写真を撮る。















乗り手の女の子と厩舎のおじさんに、写真を撮っていい?と訊いたら、
おじさんの方は「俺はいいよ」とぼそぼそ呟きながら横を向いたのに対して、
女の子の方が、「まあまあ、いいからいいから」というように声をかけ、
腕を組んでにこやかに写真に写ってくれた。



ずっと、外国で乗馬してみたいと思ってたんだよねー。
味をしめてしまったかもしれない。すごく楽しかった。



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28.今日はのんびりうろうろの日。

2009-12-21 | チェコ・9月7日
丸々一日使える、という意味では本日最終日。明日は離陸。
でもまあ明日19時の飛行機なので、明日もそれなりに歩きまわれるんだよね。


朝ごはんを食べた後、バスターミナルまで念のため歩いてみる。
徒歩10分くらいなので遠くはないんだけど、
翌日は朝7時半のバスに乗るつもりだったので迷う暇はない。

バスターミナルまでの道がけっこうな坂道であることを発見したり。
小学生の群れとすれ違ったり。
高台の眺めのいい場所で、通行人にシャッターを押してもらったり。
COOPを見つけて、そこでついつい美味そうなパイを買ってしまったり。
(しかし結果としてはそんなに美味しくなかった)
単にバスターミナルまでの往復でも、色々な出来事がありますなあ。





The best shot in Cesky Krumlov.


バス停へ向かう途中で撮った景色。クルムロフのベストショットかなー。



バスターミナルには予想より多くのバス停があり(20弱くらい?)、
待合所兼案内所らしき建物もあったのだが、そこで翌日のプラハまでのチケットを買おうとしたら、
「ここでは売らない」とのこと。
は?ではどこで、と思ったら、町なかのツーリスト・インフォメーションで扱っているんだってさ。
ほほう。ではアナタは一体ここで何をしているのか?
という疑問を抱きながら町へ戻る。なぜバスターミナルでチケットを売らないのだろう……。



まあでも結果として、ここでツーリスト・インフォメーションに行って良かった。
それはなぜかというとね……。後で話す。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



この日は旅行中、一番のんびりした一日。
特になにも予定はなく、クルムロフの町を単にうろうろするつもりだったので。

宿代を払ったり、お土産を買ったり、色々細かい用事を済ませました。
ここの宿代はねー、クレジットカードが機械を通らなかったんですよ。
なので、わざわざ現金をおろして(正確にはカードキャッシングをして)
払わなければならなかった。
合計2万円弱の支払だったから、1回の現金払いとしては最高額だったというのに。
そういう時に使えないのでは、何のためのクレジットカードなのだ。
もっとも、今から考えると、もう1枚予備のカードがあったのになぜ使わなかったのかと……。
アホですな。

買い物をしたので荷物を置きに一旦宿へ戻る。30分ほど休んで11:30に再度外出。



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昼ごはん♪









The beerhouse Eggenberg brewery.



ここも事前に目をつけていたレストラン。
地ビールが多いチェコ、クルムロフの町にもやはりエッゲンベルグという醸造所があり、
このレストランはその直営店。
値段の安いビアホール(Formanka?)とそれよりはちょっと高めのレストランがあるらしい。
わたしが入ったのは多分値段が安い方。メニューはあんまり変わらないような気がする。





Pork cutlet.




食べたのはポークシュニッツェル。いわゆるカツレツ。
カツなんてどこでも食べられるもんなんだから、もう少し別なものにすれば良かった。
でも、これもカラッと揚がってて美味しいの。付け合わせのフライドポテトと共に、
ほぼ完食。油なのかなあ、炒め物にしてもこんな揚げ物にしても軽い感じ。
日本の外食産業も見習って欲しい気がする。

これにエッゲンベルグブランドのトニックウォーターを頼んで、
チップ込125コルナ≒660円。……もうチェコに移住したい。


チェコの名物(?)でクネドリーキという食べ物がある。
これが蒸しパンのごときものらしく、肉料理の付け合わせというか、主食になる食べ物らしい。
ものすごく美味しい!というものでもないようだが、せっかく行ったのでこれは食べたかった。
……が、結論から言えば食べそびれてしまいました。
この食事の時に頼んでおけば良かったと後悔。
フライドポテトなんか、いつでも食べられるのに。
(でもこのフライドポテトもカラッと揚がっていて……以下略。)


このエッゲンベルグ醸造所の見学コースに参加しようと思っていたんだけど、
午後に行ったところ、見学はやってないと言われました。
その日の分が終わったという話だったか、シーズン的にやっていないだったかは忘れた。
英語を話さないおじさん(受付?守衛さん?)が、
なにやら一所懸命説明しようとしてくれていたんだけど、よくわからなかった。





昼ごはんを食べ終わったわたしは、これから、とある場所へ向かいます。



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