Mo.の事件簿 A diary of Mo’s trips

事件簿などという大層なタイトルだが、実は単なる旅行記です。

7.北海道ホテル。

2010-08-13 | 北海道/Hokkaido:2010
この日の宿は十勝温泉北海道ホテルというところでした。


Front of the hotel.






From the garden side.






わたしが自分の旅行で通常泊まるのは、基本的に安宿である。
そんなわたしがホテルについて語れるかどうかは微妙だが、
今回のこのホテルについては、良くも悪くも語りたいことがある。
例によってタワゴトですが。


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ツアーのチラシで紹介写真を見ると、北欧系リゾート(←根拠はナイ)なイメージのホテル。
そのせいで、山の方にあるんだろうなーと何となく思っていたが、
予想に反してけっこう帯広市の市街地……の外れ?にあります。
バスで到着し、おや、こんなところに。という肩すかし感。

入ったところの、ロビーの雰囲気は良かった。


The lounge.





写真はロビーから続くティーラウンジ。

暗いと言えば多少暗いか。まあ明るいだけが能じゃないとはいえ、もう少し明るくてもいいかな。
しかしその暗さが雰囲気を出している。

部屋のカギを渡される前に、アレコレの説明を聞かされるのはまあしょうがない。
カギの使い方とか大浴場の場所とか、翌日の朝食についてとか。
そういうのはツアーに付きもの。実際的に物事を進めないと何ともしようがないからね。
……しかし場所がエレガントなだけに、その即物的な雰囲気が微妙な違和感。
その場所も玄関の真ん前で……。入ってくる他の客に対しても若干失礼。
ホテル側は丁寧にはやっているんだけど、何かが足りない感じ。
まあ、サヴォイに泊まろうっていうんじゃないけどさ。


部屋はきれいで快適。……だと思う、2人で泊るなら。
今回は3人なのでエクストラベッドが入っており、かなり狭い。
ちょっとテンションが下がる狭さ。2人部屋ならなかなか素敵なのになあ。
結婚式場があるようなホテルなら、エクストラベッドを入れやすい部屋もあった方がいい。
(とは言っても、その部屋は一応スーペリア・ツインルームだったらしい。)

部屋のバスルームは広くて快適……だと思う、多分。
結果的に大浴場に行って、部屋のお風呂は使わなかったからわからないが。
さすがにこの辺は最小面積の限界に挑戦しているビジネスホテルとは違います。


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建物が気に入った。デザインが可愛い。細部をもっと見てくれば良かったと今にして思う。
ホテルのパンフレットを見ると、デザインの基調はアールデコだそうだ。
うーんうーん……言われてみればデコなのか?でもデコ的洗練とはまたちょっと違う。
素朴さが魅力な気がするなあ。

気になったのでフロントで訊いてみたところ、この建物の設計は象設計集団だそうです。
「ああ、象か」というほど馴染みはないが、以前読んだ本に出て来たのは
覚えているくらいの名前。
ちらっと来ただけの宿泊客にさえ気に入ってもらえる建物を設定したのはお手柄だろう。

手すり関係が木で出来ているところが非常にポイントが高かった気がする。
考えてみると、ホテル関係でそういうところに木を使っているのって珍しくない?
ガラス・金属が多いでしょ。でなかったら壁面と連続した素材でがっつり仕上げるとか。
この手すりのデザインはなるほど、デコ。



結婚式をする教会の作りが面白かった。


A small church for wedding.





……面白かったが、実際に利用するとしたら微妙かなあ。
壁や動線などを工夫して特別な空間を演出するよう努力したのは認めるけれど、
何しろロビーからは何の仕切りもなく、素通し。
ホテルの中庭で一般客にじろじろ見られながら結婚式をしたい人もいるから、
むしろこのくらいの距離感は絶妙なのかもしれないが、
厳粛な式の進行中に、ロビーに到着した団体客が大声を上げないという保証はない。
式の最中の参列者の目に大浴場で行く浴衣姿が入らないという保証もない。
うーん。


食事をした宴会場で、わたしは人知れずニンマリ。
壁(窓?)のデザインがコルビュジエ「ロンシャンの教会」へのオマージュになっているから。
写真を撮ってくれば良かったなあ。


ここは普段披露宴会場らしく、我々ツアー客の食事場所としてはなかなか微妙。
10人くらいの丸テーブルに座らされて、主賓挨拶でもしなければ納まらない雰囲気。
しかし突然他の人と同じテーブルにつけと言われても、話が弾まないことおびただしい。
1週間以上のツアーなら、同じテーブルにつく機会は多いし、
まあ一応他の人とも仲良くなっておこうかという気にもなるが、
2泊3日だとお互い知らんぷりしていても何とかなるので、あまり社交的にふるまう気になれない。



an hors d'œuvre of the dinner.





サービスの人の多くは始めて間もないアルバイトだろう。
一所懸命やっていて気持ちはいいんだけど、相手の緊張感がこちらに伝染するというか……




こんな彫刻もあった。


“I don't see anything,I don't say anything,I don't listen to anything.
This is the wisest way."











こういう遊び心が楽しい。
この彫刻は「見フクロウ、聞かフクロウ、言わフクロウ」だそうだ。
だが、聞かフクロウ、言わフクロウはそこはかとなく否定形の雰囲気は漂うが、
ネーミング的に見フクロウには無理がないか…
もっとも根本的には、サルがフクロウになった時点で掛け言葉は崩壊してるのだから、
こんな指摘は枝葉末節の問題である。

他にも思わず笑ってしまう遊び心があったらしいんだよね、後でパンフレットを見ると。
建物の外に飾られている木彫りの熊のポーズが、各種名画・彫刻のポーズを真似しているらしい。
「クマの人魚姫」「クマのオランピア」「クマの考える人」「クマの見返り美人」「クマのビーナス誕生」……
見返り美人や人魚姫あたりは微妙だが、考える人あたりはピンと来たかもしれない。
しかし「クマのオランピア」が一番笑える。見たかった。


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微妙なマイナスポイントもあった。
ホテル内にやたらと絵がかけられている。それはいいんだけど、少々数が多すぎて統一感がない。
どっちが主体なのかという問題です。絵をいっぱいかけたいならギャラリーとして特化するべき。
インテリアデザインとして絵をかけたいなら、もう少し数を減らして統一感を出すべき。
かけりゃいいってもんじゃないんだよ、と思うよ。ちょっと品がない。


ああ、あと重大なマイナスポイント。
ここの大浴場はヒドイね。女湯が「馬鹿にしとんのか!」というほど狭い。
脱衣所の棚の配置が悪く、5人くらいしか同時に着替えられない。
洗い場も7つしかなかった。
部屋にお風呂がついているとはいえ、部屋数116室で、温泉を売りにしているならば
それはあり得ない狭さでしょ。
温泉のお湯自体は(温泉に興味がないわたしでも)すごくいい感じなんだから、
ここは絶対に改善すべき点。


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多分このホテルでの最大の課題は、ホテルと温泉の両立なんだなー。
根本的にはホテルとしてやっていきたいんだろうと思うんだよ。
そうするとロビーを浴衣で、なんて有り得べからざることでしょ。
でも何しろ温泉も売りなわけだから、なしくずしに浴衣もアリになっちゃって、
でもホテルだから「浴衣は大浴場との往復のみ着用可」なんてコウルサイ注意書きが
出てくる。客が温泉に泊まりに行くのに、気がねしながら浴衣を着たくないよ。

ホテルとして完成を目指すなら、温泉じゃなくてスパを目指すべきなんだろうなー。
だが、帯広市で「スパ」とか言って客が来るかどうか……


建物が良くて、料理も普通にしっかりしていて、従業員もがんばっていて。
良くなりそうな感じがうっすら伝わるホテルだけに、もうちょっとだよ、と思う。
今後も努力を続けて、再訪したいホテルになって欲しい気がする。
……が、やはり温泉の問題を解決しないとハイクラスを目指すのは難しかろうなー。
余計なお世話だけれども。





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1 コメント

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Unknown (客)
2011-10-18 22:13:33
フクロウの正しい意味は見ざる、言わざる、聞かざるですよ。

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