今回、強調構文とよばれるものを扱います。以下、見ましょう。
(1)John broke the window yesterday. (ジョンはその窓を昨日壊した。)
(1)を、見ただけでは、その中のどんな要素に焦点が当たっているのかは、わかりません。普通、文のどこかにストレスを置いて発音すれば、そのストレスが置かれた要素は、焦点になっていると言えます。ですので、例えば、(1)の‘John’にストレスを置いて発音すれば、‘John’に焦点が当たっているのがわかります。
(2)Who broke the window yesterday ? (誰が昨日その窓を壊したの?)
そこで、(2)のような質問があると、窓を壊した人物が誰かが問題となっており、その窓を壊した人物には焦点が当たっていると言えますから、(2)のような質問に対して、(1)で答えるときは、必然的に‘John’にはストレスが置かれた発音になります。
(3)It is John that broke the window yesterday. (その窓を昨日壊したのはジョンだ。)
そこで、(3)が、強調構文と呼ばれる構文です。強調構文は、‘it is 〜 that ・・・’のカタチが特徴です。この構文のポイントは、‘it is’と‘that’の間に強調されるもの、つまり、焦点が当たるものを挟み込むことで、ストレスなどの音声にたよることなく、文を見ただけで何に焦点が当たっているのかが判断できるというものです。
ただし、発音される際は、やはり、‘it is’と‘that’の間に挟まれたものに、ストレスが置かれるように発音されるのが通常ですから、音声上の効果とカタチの上での効果は重複しています。ですので、この構文のありがたみは、どちらかと言えば、文で読む際 (音声がともなわないような伝達のやり方) に、感じられると言った方が適切でしょう。
(3)を見て、すぐにわかるのは、(1)の主語‘John’が、‘that’によって隔てられているだけであり、‘that’の後には、(1)の述語である‘broke the window yesterday’がそのまま続いているということです。このように、強調構文では、ある文の強調したい要素を、‘it is’と‘that’の間に挟みこんで、あとは、残った要素をそのまま‘that’の後に続けるだけですので、使い方はとても簡単です。
(4)It is the window that John broke _ yesterday. (ジョンが昨日壊したのは、その窓だ。)
(5)It was yesterday that John broke the window _ . (ジョンがその窓を壊したのは、昨日だ。)
(4)では、‘it is’と‘that’の間に‘the window’が挟まれて、焦点の当たる要素になっていますが、‘that’に後続しているのは、やはり、(1)の中から、‘the window’が欠けている文です。(5)では、‘it was’と‘that’の間に‘yesterday’が挟まれて、焦点の当たる要素になっていますが、この場合も、‘that’に後続しているのは、やはり、(1)の中から、‘yesterday’が欠けている文です。
ここで、思い出して欲しいのは、強調構文の使い方は、関係代名詞の場合と、かなり似ている点がある、ということです。それは、強調構文でも、関係代名詞の文でも、文の中に空所ができるということです。 (関係代名詞の基本については、EG24、EG26、参照。)
(6)This is the window [ that John broke _ yesterday ] .
(これが、[ ジョンが昨日壊した ] 窓です。)
(7)This is the window [ which John broke _ yesterday ] . (訳同上)
(6)では‘that’、そして、(7)では‘which’というように、どちらも関係代名詞を用いて関係節をつくった文ですが、関係節がかかる名詞がモノである場合、関係代名詞は、‘that’でも‘which’でも、どちらでも構わないということになっています。関係代名詞は、一方、ヒトにかかる場合は、もちろん‘who’になりますね。
(8)It is John who _ broke the window yesterday. (訳同(3))
(9)It is the window which John broke _ yesterday. (訳同(4))
そこで、(8)や(9)のように、強調構文の‘that’が関係代名詞の‘who’や‘which’と入れかわることも可能です。ですので、関係代名詞による節と強調構文は、その中に空所ができるという点で共通点があり、また、‘that’、‘who’、‘which’という表現も共有し得るという類似性をもっています。
ただし、基本的に、関係節は、それがかかるものの存在を前提とした構文であるのに対し、一方、強調構文には、そのような前提はありません。(6)や(7)の関係節の場合、関係節 (カギカッコの部分) が‘window’にかかっています。しかし、(8)がOKであるのに対し、以下の文はアウトです。
(10)This is John [ who broke the window yesterday ] . (×)
(こちらが [ 昨日その窓を壊した ] ジョンです。)
(10)は、関係代名詞‘who’による関係節が‘John’にかかっていますが、そのようなやり方で、‘John’という表現が、何らかの意味的な限定をされるような表現の仕方は、英語の場合、不可能です。それは、‘John’という表現が純粋な固有名詞であり、すでに、唯一的なものとして特定されている人物を表現しているからです。 (EG72、参照。)
そこで、もし、(10)をOKにするためには、‘John’が唯一的ではないような解釈にする必要がありますが、それは、例えば、ジョンという名前の人物が2人存在していて、その2人のうちのどちらを指しているのかを述べるような場合になりますので、そのような状況が予め了解されていることが必要となります。
(11)This is the boy [ who broke the window yesterday ] . (〇)
(こちらが [ 昨日その窓を壊した ] 少年です。)
ですので、関係節がかかり得る表現は、通常、(11)の‘boy’「少年」のような、もともと唯一的ではないような表現になるのが普通です。ここで、(8)に戻って考えてみると、‘John’が限定されているわけではないことは、すぐにわかります。
つまり、「焦点」が当たるということは、「限定」や「特定」の概念とは異質な概念であり、同じ情報伝達の中での概念とはいっても、むしろ、焦点とは、他のものとの対比によって、あるものに「際立ち」を与えるといった概念です。これを、比喩的にわかりやすく言うと、光の明度の関係とも言えるもので、どれも均一的な明度で平坦に見える視界の中から、特別に何か重要と思われるものを拾い出して、それに光を当てて見やすくする、といった概念です。
今回のポイントは、強調構文の基本的な特性です。強調構文は、通常、ストレスという発音上の方法によってコントロールするはずの「焦点」(=「際立ち」) という、情報伝達の1つとなる概念を、構文のカタチそのものによって表現するという、極めて特殊な表現方法です。
今回は入門編ということで、基本的なことばかりを見ましたが、案外、学校などで習うような内容としては、精々、今回見たようなことで終わってしまっているような印象がありますので、もう少し掘り下げて、実用上の問題点などを明らかにして見たいと思います。また次回です。
■注 :(11)をOKにするためのもう1つの方法としては、‘John’の直後にポーズを置いて、それから、‘who’以下を発音するような場合があります。しかし、このやり方で発音した場合、意味が変わってしまい、「こちらがジョンですが、彼は昨日その窓を壊してしまったのです。」、というような意味になります。このようにすると、‘John’を限定しているのではなく、ジョンに対する後付けの追加説明をしているような文になります。
●関連: EG24、EG26、EG72
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(1)John broke the window yesterday. (ジョンはその窓を昨日壊した。)
(1)を、見ただけでは、その中のどんな要素に焦点が当たっているのかは、わかりません。普通、文のどこかにストレスを置いて発音すれば、そのストレスが置かれた要素は、焦点になっていると言えます。ですので、例えば、(1)の‘John’にストレスを置いて発音すれば、‘John’に焦点が当たっているのがわかります。
(2)Who broke the window yesterday ? (誰が昨日その窓を壊したの?)
そこで、(2)のような質問があると、窓を壊した人物が誰かが問題となっており、その窓を壊した人物には焦点が当たっていると言えますから、(2)のような質問に対して、(1)で答えるときは、必然的に‘John’にはストレスが置かれた発音になります。
(3)It is John that broke the window yesterday. (その窓を昨日壊したのはジョンだ。)
そこで、(3)が、強調構文と呼ばれる構文です。強調構文は、‘it is 〜 that ・・・’のカタチが特徴です。この構文のポイントは、‘it is’と‘that’の間に強調されるもの、つまり、焦点が当たるものを挟み込むことで、ストレスなどの音声にたよることなく、文を見ただけで何に焦点が当たっているのかが判断できるというものです。
ただし、発音される際は、やはり、‘it is’と‘that’の間に挟まれたものに、ストレスが置かれるように発音されるのが通常ですから、音声上の効果とカタチの上での効果は重複しています。ですので、この構文のありがたみは、どちらかと言えば、文で読む際 (音声がともなわないような伝達のやり方) に、感じられると言った方が適切でしょう。
(3)を見て、すぐにわかるのは、(1)の主語‘John’が、‘that’によって隔てられているだけであり、‘that’の後には、(1)の述語である‘broke the window yesterday’がそのまま続いているということです。このように、強調構文では、ある文の強調したい要素を、‘it is’と‘that’の間に挟みこんで、あとは、残った要素をそのまま‘that’の後に続けるだけですので、使い方はとても簡単です。
(4)It is the window that John broke _ yesterday. (ジョンが昨日壊したのは、その窓だ。)
(5)It was yesterday that John broke the window _ . (ジョンがその窓を壊したのは、昨日だ。)
(4)では、‘it is’と‘that’の間に‘the window’が挟まれて、焦点の当たる要素になっていますが、‘that’に後続しているのは、やはり、(1)の中から、‘the window’が欠けている文です。(5)では、‘it was’と‘that’の間に‘yesterday’が挟まれて、焦点の当たる要素になっていますが、この場合も、‘that’に後続しているのは、やはり、(1)の中から、‘yesterday’が欠けている文です。
ここで、思い出して欲しいのは、強調構文の使い方は、関係代名詞の場合と、かなり似ている点がある、ということです。それは、強調構文でも、関係代名詞の文でも、文の中に空所ができるということです。 (関係代名詞の基本については、EG24、EG26、参照。)
(6)This is the window [ that John broke _ yesterday ] .
(これが、[ ジョンが昨日壊した ] 窓です。)
(7)This is the window [ which John broke _ yesterday ] . (訳同上)
(6)では‘that’、そして、(7)では‘which’というように、どちらも関係代名詞を用いて関係節をつくった文ですが、関係節がかかる名詞がモノである場合、関係代名詞は、‘that’でも‘which’でも、どちらでも構わないということになっています。関係代名詞は、一方、ヒトにかかる場合は、もちろん‘who’になりますね。
(8)It is John who _ broke the window yesterday. (訳同(3))
(9)It is the window which John broke _ yesterday. (訳同(4))
そこで、(8)や(9)のように、強調構文の‘that’が関係代名詞の‘who’や‘which’と入れかわることも可能です。ですので、関係代名詞による節と強調構文は、その中に空所ができるという点で共通点があり、また、‘that’、‘who’、‘which’という表現も共有し得るという類似性をもっています。
ただし、基本的に、関係節は、それがかかるものの存在を前提とした構文であるのに対し、一方、強調構文には、そのような前提はありません。(6)や(7)の関係節の場合、関係節 (カギカッコの部分) が‘window’にかかっています。しかし、(8)がOKであるのに対し、以下の文はアウトです。
(10)This is John [ who broke the window yesterday ] . (×)
(こちらが [ 昨日その窓を壊した ] ジョンです。)
(10)は、関係代名詞‘who’による関係節が‘John’にかかっていますが、そのようなやり方で、‘John’という表現が、何らかの意味的な限定をされるような表現の仕方は、英語の場合、不可能です。それは、‘John’という表現が純粋な固有名詞であり、すでに、唯一的なものとして特定されている人物を表現しているからです。 (EG72、参照。)
そこで、もし、(10)をOKにするためには、‘John’が唯一的ではないような解釈にする必要がありますが、それは、例えば、ジョンという名前の人物が2人存在していて、その2人のうちのどちらを指しているのかを述べるような場合になりますので、そのような状況が予め了解されていることが必要となります。
(11)This is the boy [ who broke the window yesterday ] . (〇)
(こちらが [ 昨日その窓を壊した ] 少年です。)
ですので、関係節がかかり得る表現は、通常、(11)の‘boy’「少年」のような、もともと唯一的ではないような表現になるのが普通です。ここで、(8)に戻って考えてみると、‘John’が限定されているわけではないことは、すぐにわかります。
つまり、「焦点」が当たるということは、「限定」や「特定」の概念とは異質な概念であり、同じ情報伝達の中での概念とはいっても、むしろ、焦点とは、他のものとの対比によって、あるものに「際立ち」を与えるといった概念です。これを、比喩的にわかりやすく言うと、光の明度の関係とも言えるもので、どれも均一的な明度で平坦に見える視界の中から、特別に何か重要と思われるものを拾い出して、それに光を当てて見やすくする、といった概念です。
今回のポイントは、強調構文の基本的な特性です。強調構文は、通常、ストレスという発音上の方法によってコントロールするはずの「焦点」(=「際立ち」) という、情報伝達の1つとなる概念を、構文のカタチそのものによって表現するという、極めて特殊な表現方法です。
今回は入門編ということで、基本的なことばかりを見ましたが、案外、学校などで習うような内容としては、精々、今回見たようなことで終わってしまっているような印象がありますので、もう少し掘り下げて、実用上の問題点などを明らかにして見たいと思います。また次回です。
■注 :(11)をOKにするためのもう1つの方法としては、‘John’の直後にポーズを置いて、それから、‘who’以下を発音するような場合があります。しかし、このやり方で発音した場合、意味が変わってしまい、「こちらがジョンですが、彼は昨日その窓を壊してしまったのです。」、というような意味になります。このようにすると、‘John’を限定しているのではなく、ジョンに対する後付けの追加説明をしているような文になります。
●関連: EG24、EG26、EG72
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