雑誌『ミセス』(2019年1月号~2021年4月号に掲載された「次世代への手紙」を再編集したものです。
瀬戸内寂聴(小説家)…… 8
養老孟司(解剖学者)…… 18
角野栄子(児童文学作家)…… 32
岸 惠子(俳優)…… 42
中村 稔(弁護士)…… 52
馬場あき子(歌人)…… 62
横尾忠則(美術家)…… 72
谷川俊太郎(詩人)…… 82
吉行和子(俳優)…… 92
大塚初重(考古学者)…… 102
安藤忠雄(建築家)…… 112
ワダエミ(衣装デザイナー)…… 122
小林照子(美容研究家)…… 132
芳村真理(俳優)…… 142
末盛千枝子(すえもりブックス代表)…… 152
鈴木登紀子(料理研究家)…… 162
小泉武夫(発酵学者)…… 172
舘野 泉(ピアニスト)…… 182
武井照子(ラジオアナウンサー)…… 192
川嶋みどり(日本赤十字看護大学名誉教授)…… 202
松岡享子(児童文学作家)…… 214
本橋成一(写真家)…… 226
中村桂子(生命誌研究者)…… 236
サーロー節子(平和運動家)…… 246
永井一正(グラフィックデザイナー)…… 256
柚木沙弥郎(染色家)…… 266
中川李枝子(児童文学作家)…… 276
瀬戸内寂聴(小説家)…… 8
・私は戦争に向かっていく時代を、身をもって経験しています、その時、日本に漂っていた雰囲気も、昨日のように覚えています。だから、今、その時代と同じ空気を日本に感じてとても怖い。2015年の集団自衛権の行使を容認する安全保障関連の法案の時も、体調は最悪だったけれど、いても立ってもいられなかったから、国会前の出もに車椅子で駆けつけました。でも結局法案は強行採決され、その頃からどんどん世の中の流れ場おかしな方向に行きはじめたような気がします。特定秘密保護法も可決されて、いずれ戦争前の頃のように、思ったことを話せない、書けない、そういう時代が来るような気がします。
養老孟司(解剖学者)…… 18
・(相模原市の障害施設で起きた19人殺害事件の)犯人が何と言ったか。「生まれつき障害があって人の手を借りないと生きられない人生にどういう意味があるか」その言葉の裏には、すべてのものには意味がなければならない、しかもその意味が自分にはわかるはずだという思い込みがあります。これは、自分がわからないことを「意味がない」と勝手に決めつけるところに問題があります。なぜそうなったのか。すべてのものに意味がある「都市」と呼ばれる世界を作ってしまい、その中でしか暮らしてこなかったからです。
自然は「意味」がないものに満ちている。生命に人間がわかる「意味」なんてありません。
・小ばなし
医者が患者にこう言う。「あなたの病気にやっと診断がつきましたよ。この病気が100人のうち99人が亡くなります」真っ青になった患者に医者はさらに「でも、あなたは助かります」と言ったので、患者が「なぜですか?」と聞いたら、「私が今までこの病気と診断したのは99人。あなたはちょうど100人目です」(笑)
つまり、統計が個々のケースに意味を持つと思ってしまうのですね。でも、おそらく、社会をコントロールするにはそれがいちばんいい方法なのです。
・相手のことを考えることなく爆弾を落とす人間は、いまだ三歳児かチンパンジー並みの頭しかないということになりますな。
角野栄子(児童文学作家)…… 32
・私は5,6歳の子どもにとって、一人で読める童話、いわゆる幼年童話との出会いがものすごく大事だと思っているんです。
岸 惠子(俳優)…… 42
・キリスト教の新約聖書を読み、イスラム教のコーランも読みました。ユダヤ教徒キリスト教、両方のいいところをとってできた宗教がイスラム教です。・・・
リビアの革命指導者、カダフィが書いた『緑の書』まで読みましたよ。
中村 稔(弁護士)…… 52
・憲法九条を守るといっているのは保守的な人で、憲法を改正しようとする人が進歩的な人と言われているそうですね。そういう話を聞くと暗然とします。
馬場あき子(歌人)…… 62
・国家なんて何にもしてくれないということを、頭に入れておかないとだめですよ。
横尾忠則(美術家)…… 72
・70歳の時に「隠居宣言」をして、翌年に同名のタイトルで本を出しました。好きなことはするけれど嫌いなことはしないという、自分に対する宣言です。
谷川俊太郎(詩人)…… 82
・若い頃、リルケの『マルテの手記』を読んだ時、そこに『詩は経験だ』と書いてあって、当時の僕はその意見には反対でした。詩は経験なんてもんじゃない、経験がなくてもかける、と。ところが、年をとって現実をいろいろと知るようになってからは、その言葉が正しいいと思うようになりました。実際に経験で詩を書いていると感じることが多いんです。
吉行和子(俳優)…… 92
・自分を楽しませるものは自分しかいないと思わなければ、この長い人生を乗り切ることはできません。。
大塚初重(考古学者)…… 102
・戦争体験を語るのはつらいけれど、繰り返し語りつがなければならない。次の世代に伝える義務があるからです。
・考古学は人間学だと思います。・・・しっかりとした人生観と目的意識、教授の意図をくみ取り、専門用語を用いずにわかりやすく説明し、相手を納得させる必要があるのですが、それだけの熱意を持った学生は少なくなったと感じています。
安藤忠雄(建築家)…… 112
・学歴もなんの後ろ盾もない私がここまで生き抜くことができたのは、そのハンディキャップの分、「走るのを止めたら、すぐに終わってしまう」緊張感をずっと持っていたからだと思います。安心・安全を求めることなく、“勢い”のまま、ぎりぎりのところを生き続ける、そうして“玉砕”するその日まで、終わらない青春の日々を追いかけていくつもりです。
ワダエミ(衣装デザイナー)…… 122
・一つの作品を手がける際には、最低でも本は50冊以上買って読みます。
小林照子(美容研究家)…… 132
・私はあんな悲惨な時代があったのだということは語り継いでいかなきゃいけないと思っています。海外の難民や、飢えて生きるか死ぬかといった状態の人たちを、今の若い人たちはよそ事として見ているのかもしれませんが、あれはかつての日本だったわけです。戦争は体験しないと怖さがわからない。だからそういう経験者の言葉には耳を傾けるべきだと思います。だって、今の政治家は誰も体験したことがないんですから。
芳村真理(俳優)…… 142
・忘れていくことは、穏やかになることでもあるのです。一生、いやなことを覚えているのも哀しいではないですか。
末盛千枝子(すえもりブックス代表)…… 152
・絵本は、たとえ悲しい結末だったにせよ、基本的には希望を伝えるものです。そして、読むことで、大変なのは自分たちだけじゃないということを感じさせてくれるものだと思います。
・どの人生にもさまざまな困難があり、喜びがあり、深い意味があるのだと、この年になって実感しています。
鈴木登紀子(料理研究家)…… 162
・お茶が冷めてしまったわね。ちょっと助手さん、お茶を入れかえてちょうだい。あら、このお茶はさっきと同じもの? こういうのを無粋というのよ。いらしたかたの立場になって、最初のお茶と違うお茶をお出しするのが日本人の心遣いよ。
小泉武夫(発酵学者)…… 172
・子どもの味覚は五歳までに決まってしまいます。だからこそ、五歳までにみそ汁や納豆、煮魚といった和食を毎日食べさせてほしい。
舘野 泉(ピアニスト)…… 182
・倒れてからの二年半の空白は、僕にとって必要な時間だったということです。
武井照子(ラジオアナウンサー)…… 192
・書かれていないこと、報道されていないことは「ない」わけではないのです。
川嶋みどり(日本赤十字看護大学名誉教授)…… 202
・介護やケアというのは、相手のそばにいて、話を聞き、体に触れるという三つがとても大事なのです。
松岡享子(児童文学作家)…… 214
・自発的な遊びをリードするのは、子どものなかから湧きあがってくるイメージですが、そのイメージは常に刺激と栄養を必要としています。そして、その供給源のひとつが物語=本なのです。
本橋成一(写真家)…… 226
・「子どもは授かりもの」といいますが、ぼくは「授かる」というのは、自分の中に子どもの価値観をプレゼントされることだと思っています。・・・
そう思うようになったのは、ダウン症の次女の楽(らく)が生まれたからでした。
中村桂子(生命誌研究者)…… 236
・「本当はこんな社会をあなたたちに渡すつもりじゃなかったのよ。ごめんなさい」とう気持ちを抱えながら、少しでも自分にできることがあればと、今後はガッコや施設などで子どもたちに、生き物について、命の大切だについて語ることもやっていきたいと思っています。
サーロー節子(平和運動家)…… 246
・核兵器禁止条約は、私が原爆でつぶれた建物からはい出るときに目指したように、核全廃につながる光です。
永井一正(グラフィックデザイナー)…… 256
・人間はそんなに強いわけではありません。だから、想像力で補いあうことがこれからの社会には必要です。
柚木沙弥郎(染色家)…… 266
・日本人はすべて、“なあなあ”ですませちゃう。今だってなあなあでいつの間にか・・・。それが怖いね。
中川李枝子(児童文学作家)…… 276
・20歳から17年間、保育園で仕事をして何がわかったかというと、子どもはお母さんが大好きだということ。
感想;
「次世代への手紙」
次世代に伝えたいこと、残したいこと。
アメリカン・インディアンの言葉に、下記があります。
「環境(自然)は子孫からの預かりもの」
私たちは預かっているものまで汚染させているのです。
人生は大変です。
いろいろなことがあります。
どんなことが待ち受けているかわかりません。
いろいろな知識や経験を積むことでなんとかやっていけます。
一人の経験はごくごく一部です。
本から他の方が生きて来られた中で感じられたこと、大切だと思うことを教えてもらうと、これからの生きるヒントになり、少しでもより良く生きられるかもしれません。
いろいろな人の「次世代への手紙」を読んでいると視野が広がるのを感じます。
それは自分の人生を良くすることであり、また自分も次世代へ伝えたいこと残したいことを見つけてハチドリの一滴ではないですが、やろうとのエネルギーをいただきます。
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