将棋を学ぶと、中学受験の「突破力」も身に付くのでは-。この仮説をもとに、日本将棋連盟、進学塾大手SAPIX(サピックス)と東急が検証し、今月結果を発表した。将棋を学んだ児童のほうが進学塾生よりもテストの平均点が高く、担当者は、将棋が思考力を養う役に立っているのではと期待を寄せた。
関東に住む小学3年生(当時)12人が、昨年10~12月、東急の「将棋教室ラボ」でプロ棋士らから将棋を学んだ後、10人がサピックス塾生と同じ算数テストを受けた。 3カ月間の将棋授業では駒の動かし方や作戦などの基本と、詰め将棋の解答や、強い相手に勝つための戦略などを学んだ。狙いは、先を読む力やルールに基づいて試行錯誤する力、正解がない問いを考える力を養うこと。将棋と中学受験に必要な学力は関連するのか-。類似のデータは存在しないだけに、結果が注目されていた。 学力は、サピックスが3月に実施した150点満点の算数テストで測定。その結果、同学年のサピックス塾生約6300人の平均が86・1点だったのに対し、将棋教室ラボ生の平均は96点で、約10点高かった。 将棋教室生の成績は偏差値換算で53・8。これは、6年生まで同等の成績を保てば、中堅の私立中学合格が期待できるレベルだ。
■思考力問題で上回る
顕著な差があらわれたのが、思考力・推理力を問う問題。将棋教室生の平均点のほうが高かった。思考力を問う難問(40点満点)では、塾生の平均は16・0点。将棋教室生は同21・5点で、5点以上も差がついた。 中でも、ルールに従って着眼点を見つけ、試行錯誤して解答を導き出す「虫食い算」では、塾生の正答率54%に対し、将棋教室生は10人中8人が正解した。 将棋では、一手ごとに大局観を持ち、形勢判断し、読みを入れ、決断して指す。こういった〝将棋的な思考〟は、算数の難問を解く際の、設問から思考の道筋を見いだし、公式や過去に解いた問題を当てはめて先の展開を考え、試行錯誤して解答するプロセスと酷似している。思考力が必要な問題を解くことと、将棋を学ぶことで身に付けた「正解がない問いを考える力」は相性がいいのだろう。 検証を主導した東急の本田孝一さん(58)は、「日頃から算数の思考問題に慣れている塾生に比べ、将棋教室生には訓練の機会がない。ハンディを背負った将棋教室生のほうが点数が高かったことに、驚きを感じている」と話した。
■「あくまで参考」とも
もっとも、今回の検証は正確性に課題がある。将棋を学んでテストを受けたのがわずか10人と、極端に少ない。中には塾通いを経験していない子もいて、進学塾生のように「テスト慣れ」していないことによる影響もあるとみられる。
これらを踏まえ、サピックスも「今回の検証結果は仮説を裏付ける内容ではあったが、あくまでも参考データに過ぎず、今後も継続的な検証が必要だ」との見解を示している。
それでも、これまで漠然といわれてきた将棋と学力の相関関係が垣間見られたことで、本田さんは「将棋を学ぶことで子供たちは、大局観や諦めずに考え続ける力を身に付けた。こうした力が、算数の複雑な思考問題に取り組む際に応用されたのではないか」と分析する。
日本将棋連盟の西尾明常務理事は「昔から、将棋を指すと頭が良くなるとされていた。そのことを具体的に検証する取り組みができたことを、うれしく思っている」と総括した。(田中万紀)
感想;
話題としては面白いが、データの正確性では多くの疑問を持っているように思います。
将棋を学ぶ前の学力のことについて説明していません。
通常は前後でどれだけ伸びがあるか、そしてそれは将棋を学ばなかった子と比較してどうだったかを検証します。
小学生の時に将棋をやって来て思うのは、以下の力を高めるのに役立つように思います。
①大局観
②思考力
回答がないので、いろいろ考えます。
このいろいろ考えるのはその後も役立ちました。
試験で分からなくても、諦めずにあれこれ考えている内に回答に近づいた経験がたくさんあります。
ただ言えてることは、将棋が強くても、学校の勉強をしないと学校の試験では点は取れません。
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