https://news.yahoo.co.jp/articles/2e44e5470f09065758aa51f7132a5b54b50616ee 5/4(水) 16:03 中京テレビNEWSおいてけぼり~9060家族~
2019年、家族が高齢化し80代の親が子を支える「ひきこもり家族の高齢化問題」、いわゆる「8050問題」がクローズアップされました。「ひきこもり」は家からまったく出ない人のことだけではありません。内閣府などによりますと、ひきこもりの定義には、たとえ家から出ても、家族以外との交流がほとんどない状態やコンビニや趣味以外に外出しない状態が半年以上続くことも含まれます。中高年(40~64歳)のひきこもり当事者数は約61万人。若年層(15~39歳)の約54万人を上回ります。
「人と社会が怖い…」自宅に引きこもって35年の女性が言いました。
抜け出したくても抜け出せない、「まだまだ自分はおいてけぼり…」ひきこもる中高年の苦しみの告白でした。
本記事では、あるひきこもり女性と家族の記録を通じ、社会が放っておけば8050問題では済まずにいつか“9060問題”になりかねない現実に警鐘をならし、8050問題をどうやったら解決できうるのかを考えます。
■唯一の生きる支えだった“父の死”
91歳の父と暮らす52歳の娘・敬子さん
愛知県の市営団地で91歳の父、63歳の兄と暮らす敬子さん(52)は、4人兄弟の末っ子です。「人と社会が怖い」…昔から話すことが苦手でした。専門学校を中退し、パートで勤めていた工場も2年で辞めさせられ、18歳からひきこもっています。実はこの家にはもう1人のひきこもりが。63歳の長男も、ケガで仕事を辞めてから10年間、パチンコ店と家を往復するだけの日々が多くなっていました。
そんな敬子さんと長男の面倒を見るのは一緒に暮らす父。77歳のときに妻に先立たれ、掃除洗濯など家事全般を含め1人で家族を支えています。
父は、高齢になっても子供の面倒を見なければいけない生活に時々嫌気がさすこともあります。しかし、18万円ほどの年金で家族の生活費をまかない、自身の年金の一部を敬子さんの将来のために貯金するなど、1人で子供の生活を支え、子供の将来を案じつづけてきました。敬子さんは父なしでは絶対に生きていけない状況でした。
そんなある日、12月の寒い朝のことでした。2年にわたり取材を続けている記者に敬子さんから電話がありました。
敬子さん「病院におる。待合室におる。ひとり。(父が)おかしい。なんかいびきかいとって、全然、何言っても話しかけても、何も…」
前日まで普通に会話もでき、一緒に買い物にも行っていた父。しかし、脳腫瘍で突然亡くなったのです。敬子さんは唯一の生きる支えを失いました。
父の遺影を見つめる敬子さん
葬式の日、父の眠る棺に花を手向け、出棺を見送った敬子さん。心ここにあらずといった表情でした。父の死を悼んで泣いてくれる知人もいましたが、敬子さんは涙が出ません。
帰宅後、敬子さんは、父がいつも座っていた座椅子を見つめていました。「まだあまりピンと来てない。今はまだ、『ただいま』って言ってくれそうな気がして」。
突然見つかった父が残した手紙
葬儀の翌日、保険証を探すため引き出しをあけると、父の手紙が見つかりました。A4用紙あわせて6枚。家族ひとりひとりに宛てた文章もありました。
『色々お世話になりました。ありがとうございました。最後に御迷惑をおかけすることになりました。どうかお許しください。葬儀は一切不要です。誠にありがとうございました』『息子と娘は1人では生きていけないので連れて行きます』
手紙を読み、父の死後はじめて涙した敬子さん
ともに死ぬことさえ考えていたと書かれていた父の手紙に、敬子さんは涙が止まりませんでした。
「もう、なにも言えないよ…」。
震える声で敬子さんはそういうと、手紙を置き、再び保険証を探し始めました。敬子さんの目からは大粒の涙がこぼれます。これまで感情を出せなかった敬子さんが、父の死後、はじめて泣きました。
一方、長男は父の年金をギャンブルやタバコに使うなど、これまで負担をかけてきましたが、葬儀には出ませんでした。
記者は長男に「父にかける言葉はありますか?」と問いました。すると長男からは一言、「働けんでごめんなさい」の言葉が…。記者の問いかけから逃げるように、家を出ていきました。
■ひきこもりから脱することはできるか。初の一人暮らし
父の死からおよそ1か月後。敬子さんはひきこもっていた家を離れ、はじめての一人暮らしを始めていました。「兄の近くでは、敬子さんの生活保護費まで使われてしまう可能性がある」名古屋市内に住む次男・俊光さん(57)はこう考え、長男とは離れて暮らすことを提案しました。親族に度重なる金の無心もあった長男は、ひとり、家に置いていかれました。
一人暮らしを始めた敬子さんはまだ働くことができず、生活保護などを申請し、1か月13万円ほどで生活することになりました。「ひきこもり」に特化した行政の支援サービスは、日本ではまだ整っていないのが現状です。敬子さんは、うつ症状などで利用できる福祉サービスのヘルパーを利用することで、一人暮らしの生活に慣れていくことにしました。買い物や行政の手続きをサポートしてもらうほか、家事も手伝ってもらっています。
■“普通”が一番の幸せ。でもその“普通”が一番難しい。
一人暮らしになかなか慣れない敬子さん
ある日、1人の女性が敬子さんの部屋を訪ねてきました。敬子さんにとってはじめての“ゲスト”です。なかなか慣れることができず、友人もいない敬子さんを心配して、次男の俊光さんが紹介してくれた女性です。この女性も過去に1年半ほど家から出られなかった経験があり、人と交流するといった「普通の日常」がいかに難しいことか知っています。
まだ積極的に動けない敬子さんにとって、「自分と関わることが少しでも助けになれば」と彼女は考えていました。敬子さんの家を訪れては、何気ない会話をしながら、日用品の買い出しや、敬子さんの飼っているハムスターの世話など身の回りのことを手伝ってくれています。敬子さんにとって35年ぶりの友人になりました。
「けっこう上手にできた」。友人と一緒に焼きそばを作り、晴れやかな笑顔になる敬子さん。“○○をやりなさい”ではなく“一緒にやろう”とそばにいてくれる友人の存在が、「ありがたい」と敬子さんはいいます。
友人と一緒に焼きそばを作る敬子さん
友人「簡単だったでしょ?」
敬子さん「うん、見てたら簡単だった。これに肉が入るともっといいんだけど…」
さりげなくそばにいてくれる友人に、敬子さんは冗談も言えるようになっていました。
「いろんな人とつながってよかったよ。もっと前からしゃべっておけばよかった。小さいときから」
久しぶりに訪ねてきた俊光さんに、敬子さんは言いました。
一人で生活できていることを「奇跡」と感じていると、敬子さんはいいます。「もし父が生きていたら、一人暮らしをしている自分の姿は想像できないだろうね」とほほえみました。
■すぐには抜け出せない中高年のひきこもり
時折、疎外感を感じる敬子さん
「『退屈じゃない?』と世間の目が問うこともある。でも、外の世界が怖い。しんどい。外に出ないといけないのは自分自身が痛いほどわかっているが、社会の大きさに押しつぶされそうになる」。
長年ひきこもっていたという人たちは、こう話します。
一人暮らしを始めて2か月がたつ敬子さんも、人とのかかわりが増える一方で、時に疎外感も感じるようになっていました。
「朝がまた来ると思うとつらくなったり、夜間より昼間の方がさみしく感じる」。人とのつながりが増えたことで、昼間、外に出ないといけないのではないかと感じて自分を責めがちになっていたのです。敬子さんにとって、積極的に友達を誘ったり、一人で外に出て気を紛らわせることはまだ難しく、結局は家が一番良いと考えてしまいます。
まわりは社会でうまく生きているのに、自分は何もできずに変わっていない。敬子さんは、「まだまだ自分はおいてけぼりだ」と感じることもあるといいます。
一般社団法人「ひきこもりUX会議調べ」によると、ひきこもりの平均年数は20代で6.5年、50代で16年。ひきこもる状態が長年継続し、当事者が高齢化すればするほど、社会への復帰が難しくなり、ひきこもり生活が長引く傾向があります。中高年のひきこもりはすぐには抜け出せません。
厚生労働省によると、2021年3月時点で、自治体に設置されているひきこもりの相談窓口は、全国1741市町村のうち1053自治体と、全体の6割程度です。さらに、ひきこもり支援策の対象年齢が自治体ごとに異なるなど、国としての施策は曖昧な点が多く、ひきこもりに特化した支援が全国的に進んでいないのが現状です。
山根俊恵さん(NPO法人ふらっとコミュニティ 理事長)
ひきこもり問題に詳しい「NPO法人ふらっとコミュニティ」理事長の山根俊恵さんは、「ひきこもりの問題は当事者とその家族だけで解決するのではなく、第三者の介入が必要だ」と話します。親の一言によって子どもが心を閉ざし、動けなくなり、ひきこもりを長期化させることになります。また、怒りのコントロールができなくなり、その感情を親にぶつけ、家庭内暴力につながるケースも・・・。ひきこもりの原因は人それぞれのため、型にはまった支援では十分に支援できない場合があり、人それぞれに応じた支援が必要になります。
また、山根さんはコロナ禍の今だからこそ、ひきこもりが増加したり、長期化することを懸念しています。コロナ禍、親がリモートワークになり、一緒に過ごす時間が増加。“叱咤激励”だと思っていたことも、一緒にいることで家庭環境が悪化するケースもあれば、家族関係が回復するケースもあるといいます。この3年近く『人に会わない社会』『人とのつながりを途絶える社会』が生まれ、社会との関係性がますます希薄化しました。ひきこもるきっかけは人それぞれ、また要因もさまざまの中、“もうすぐ社会に出よう”と考えていた当事者もコロナによって外に出るきっかけを失ったり…。また、コロナ社会で人間関係が複雑になり、ひきこもりがちになる人も増えているといいます。
数年前から、中高年のひきこもり問題『8050』という言葉がクローズアップされています。しかし、もう8050では済まされず、日本社会はすでに、90歳の親が60歳のひきこもりの子を支える時代に足を踏み入れているという指摘もあります。この問題は他人事ではなく、自分事になり得る可能性があるのです。
コロナ禍のいま、“外出自粛”と“ひきこもり”は、遠いようで近い問題。いま一度、この問題について考えるべき時がきているのではないでしょうか。
「おいてけぼり~9060家族~」
この記事は、中京テレビとYahoo!ニュースの共同連携企画です。あるひきこもり女性とその家族を通じ、社会が放っておけば8050問題では済まずにいつか“9060問題”になりかねない現実に警鐘をならし、どうすれば8050問題を解決できうるのか取材しました。(登場人物の年齢は取材当時のものです)
感想;
一人で生きていけるかどうか。
社会の支援を受けることができるか。
一人家に残された長男のことが気になりました。
敬子さんの暮らしも気になりますが、パチンコなどでお金を浪費するしかやってこなかった長男。
収入が閉ざされてどうしているのか?
社会の支援があるのかどうか。
民生委員の姿も見えてきません。
国が引きこもり対策に積極的とも思えません。
国がおかしくなります。
また引きこもっている人にも自立する手助けをして、少しでも良いようになるとよいのですが。
次男の人はどこかのアドバイスを受けて、敬子さんの支援をされているように感じました。
また敬子さんの扶養する余裕はないようです。
2019年、家族が高齢化し80代の親が子を支える「ひきこもり家族の高齢化問題」、いわゆる「8050問題」がクローズアップされました。「ひきこもり」は家からまったく出ない人のことだけではありません。内閣府などによりますと、ひきこもりの定義には、たとえ家から出ても、家族以外との交流がほとんどない状態やコンビニや趣味以外に外出しない状態が半年以上続くことも含まれます。中高年(40~64歳)のひきこもり当事者数は約61万人。若年層(15~39歳)の約54万人を上回ります。
「人と社会が怖い…」自宅に引きこもって35年の女性が言いました。
抜け出したくても抜け出せない、「まだまだ自分はおいてけぼり…」ひきこもる中高年の苦しみの告白でした。
本記事では、あるひきこもり女性と家族の記録を通じ、社会が放っておけば8050問題では済まずにいつか“9060問題”になりかねない現実に警鐘をならし、8050問題をどうやったら解決できうるのかを考えます。
■唯一の生きる支えだった“父の死”
91歳の父と暮らす52歳の娘・敬子さん
愛知県の市営団地で91歳の父、63歳の兄と暮らす敬子さん(52)は、4人兄弟の末っ子です。「人と社会が怖い」…昔から話すことが苦手でした。専門学校を中退し、パートで勤めていた工場も2年で辞めさせられ、18歳からひきこもっています。実はこの家にはもう1人のひきこもりが。63歳の長男も、ケガで仕事を辞めてから10年間、パチンコ店と家を往復するだけの日々が多くなっていました。
そんな敬子さんと長男の面倒を見るのは一緒に暮らす父。77歳のときに妻に先立たれ、掃除洗濯など家事全般を含め1人で家族を支えています。
父は、高齢になっても子供の面倒を見なければいけない生活に時々嫌気がさすこともあります。しかし、18万円ほどの年金で家族の生活費をまかない、自身の年金の一部を敬子さんの将来のために貯金するなど、1人で子供の生活を支え、子供の将来を案じつづけてきました。敬子さんは父なしでは絶対に生きていけない状況でした。
そんなある日、12月の寒い朝のことでした。2年にわたり取材を続けている記者に敬子さんから電話がありました。
敬子さん「病院におる。待合室におる。ひとり。(父が)おかしい。なんかいびきかいとって、全然、何言っても話しかけても、何も…」
前日まで普通に会話もでき、一緒に買い物にも行っていた父。しかし、脳腫瘍で突然亡くなったのです。敬子さんは唯一の生きる支えを失いました。
父の遺影を見つめる敬子さん
葬式の日、父の眠る棺に花を手向け、出棺を見送った敬子さん。心ここにあらずといった表情でした。父の死を悼んで泣いてくれる知人もいましたが、敬子さんは涙が出ません。
帰宅後、敬子さんは、父がいつも座っていた座椅子を見つめていました。「まだあまりピンと来てない。今はまだ、『ただいま』って言ってくれそうな気がして」。
突然見つかった父が残した手紙
葬儀の翌日、保険証を探すため引き出しをあけると、父の手紙が見つかりました。A4用紙あわせて6枚。家族ひとりひとりに宛てた文章もありました。
『色々お世話になりました。ありがとうございました。最後に御迷惑をおかけすることになりました。どうかお許しください。葬儀は一切不要です。誠にありがとうございました』『息子と娘は1人では生きていけないので連れて行きます』
手紙を読み、父の死後はじめて涙した敬子さん
ともに死ぬことさえ考えていたと書かれていた父の手紙に、敬子さんは涙が止まりませんでした。
「もう、なにも言えないよ…」。
震える声で敬子さんはそういうと、手紙を置き、再び保険証を探し始めました。敬子さんの目からは大粒の涙がこぼれます。これまで感情を出せなかった敬子さんが、父の死後、はじめて泣きました。
一方、長男は父の年金をギャンブルやタバコに使うなど、これまで負担をかけてきましたが、葬儀には出ませんでした。
記者は長男に「父にかける言葉はありますか?」と問いました。すると長男からは一言、「働けんでごめんなさい」の言葉が…。記者の問いかけから逃げるように、家を出ていきました。
■ひきこもりから脱することはできるか。初の一人暮らし
父の死からおよそ1か月後。敬子さんはひきこもっていた家を離れ、はじめての一人暮らしを始めていました。「兄の近くでは、敬子さんの生活保護費まで使われてしまう可能性がある」名古屋市内に住む次男・俊光さん(57)はこう考え、長男とは離れて暮らすことを提案しました。親族に度重なる金の無心もあった長男は、ひとり、家に置いていかれました。
一人暮らしを始めた敬子さんはまだ働くことができず、生活保護などを申請し、1か月13万円ほどで生活することになりました。「ひきこもり」に特化した行政の支援サービスは、日本ではまだ整っていないのが現状です。敬子さんは、うつ症状などで利用できる福祉サービスのヘルパーを利用することで、一人暮らしの生活に慣れていくことにしました。買い物や行政の手続きをサポートしてもらうほか、家事も手伝ってもらっています。
■“普通”が一番の幸せ。でもその“普通”が一番難しい。
一人暮らしになかなか慣れない敬子さん
ある日、1人の女性が敬子さんの部屋を訪ねてきました。敬子さんにとってはじめての“ゲスト”です。なかなか慣れることができず、友人もいない敬子さんを心配して、次男の俊光さんが紹介してくれた女性です。この女性も過去に1年半ほど家から出られなかった経験があり、人と交流するといった「普通の日常」がいかに難しいことか知っています。
まだ積極的に動けない敬子さんにとって、「自分と関わることが少しでも助けになれば」と彼女は考えていました。敬子さんの家を訪れては、何気ない会話をしながら、日用品の買い出しや、敬子さんの飼っているハムスターの世話など身の回りのことを手伝ってくれています。敬子さんにとって35年ぶりの友人になりました。
「けっこう上手にできた」。友人と一緒に焼きそばを作り、晴れやかな笑顔になる敬子さん。“○○をやりなさい”ではなく“一緒にやろう”とそばにいてくれる友人の存在が、「ありがたい」と敬子さんはいいます。
友人と一緒に焼きそばを作る敬子さん
友人「簡単だったでしょ?」
敬子さん「うん、見てたら簡単だった。これに肉が入るともっといいんだけど…」
さりげなくそばにいてくれる友人に、敬子さんは冗談も言えるようになっていました。
「いろんな人とつながってよかったよ。もっと前からしゃべっておけばよかった。小さいときから」
久しぶりに訪ねてきた俊光さんに、敬子さんは言いました。
一人で生活できていることを「奇跡」と感じていると、敬子さんはいいます。「もし父が生きていたら、一人暮らしをしている自分の姿は想像できないだろうね」とほほえみました。
■すぐには抜け出せない中高年のひきこもり
時折、疎外感を感じる敬子さん
「『退屈じゃない?』と世間の目が問うこともある。でも、外の世界が怖い。しんどい。外に出ないといけないのは自分自身が痛いほどわかっているが、社会の大きさに押しつぶされそうになる」。
長年ひきこもっていたという人たちは、こう話します。
一人暮らしを始めて2か月がたつ敬子さんも、人とのかかわりが増える一方で、時に疎外感も感じるようになっていました。
「朝がまた来ると思うとつらくなったり、夜間より昼間の方がさみしく感じる」。人とのつながりが増えたことで、昼間、外に出ないといけないのではないかと感じて自分を責めがちになっていたのです。敬子さんにとって、積極的に友達を誘ったり、一人で外に出て気を紛らわせることはまだ難しく、結局は家が一番良いと考えてしまいます。
まわりは社会でうまく生きているのに、自分は何もできずに変わっていない。敬子さんは、「まだまだ自分はおいてけぼりだ」と感じることもあるといいます。
一般社団法人「ひきこもりUX会議調べ」によると、ひきこもりの平均年数は20代で6.5年、50代で16年。ひきこもる状態が長年継続し、当事者が高齢化すればするほど、社会への復帰が難しくなり、ひきこもり生活が長引く傾向があります。中高年のひきこもりはすぐには抜け出せません。
厚生労働省によると、2021年3月時点で、自治体に設置されているひきこもりの相談窓口は、全国1741市町村のうち1053自治体と、全体の6割程度です。さらに、ひきこもり支援策の対象年齢が自治体ごとに異なるなど、国としての施策は曖昧な点が多く、ひきこもりに特化した支援が全国的に進んでいないのが現状です。
山根俊恵さん(NPO法人ふらっとコミュニティ 理事長)
ひきこもり問題に詳しい「NPO法人ふらっとコミュニティ」理事長の山根俊恵さんは、「ひきこもりの問題は当事者とその家族だけで解決するのではなく、第三者の介入が必要だ」と話します。親の一言によって子どもが心を閉ざし、動けなくなり、ひきこもりを長期化させることになります。また、怒りのコントロールができなくなり、その感情を親にぶつけ、家庭内暴力につながるケースも・・・。ひきこもりの原因は人それぞれのため、型にはまった支援では十分に支援できない場合があり、人それぞれに応じた支援が必要になります。
また、山根さんはコロナ禍の今だからこそ、ひきこもりが増加したり、長期化することを懸念しています。コロナ禍、親がリモートワークになり、一緒に過ごす時間が増加。“叱咤激励”だと思っていたことも、一緒にいることで家庭環境が悪化するケースもあれば、家族関係が回復するケースもあるといいます。この3年近く『人に会わない社会』『人とのつながりを途絶える社会』が生まれ、社会との関係性がますます希薄化しました。ひきこもるきっかけは人それぞれ、また要因もさまざまの中、“もうすぐ社会に出よう”と考えていた当事者もコロナによって外に出るきっかけを失ったり…。また、コロナ社会で人間関係が複雑になり、ひきこもりがちになる人も増えているといいます。
数年前から、中高年のひきこもり問題『8050』という言葉がクローズアップされています。しかし、もう8050では済まされず、日本社会はすでに、90歳の親が60歳のひきこもりの子を支える時代に足を踏み入れているという指摘もあります。この問題は他人事ではなく、自分事になり得る可能性があるのです。
コロナ禍のいま、“外出自粛”と“ひきこもり”は、遠いようで近い問題。いま一度、この問題について考えるべき時がきているのではないでしょうか。
「おいてけぼり~9060家族~」
この記事は、中京テレビとYahoo!ニュースの共同連携企画です。あるひきこもり女性とその家族を通じ、社会が放っておけば8050問題では済まずにいつか“9060問題”になりかねない現実に警鐘をならし、どうすれば8050問題を解決できうるのか取材しました。(登場人物の年齢は取材当時のものです)
感想;
一人で生きていけるかどうか。
社会の支援を受けることができるか。
一人家に残された長男のことが気になりました。
敬子さんの暮らしも気になりますが、パチンコなどでお金を浪費するしかやってこなかった長男。
収入が閉ざされてどうしているのか?
社会の支援があるのかどうか。
民生委員の姿も見えてきません。
国が引きこもり対策に積極的とも思えません。
国がおかしくなります。
また引きこもっている人にも自立する手助けをして、少しでも良いようになるとよいのですが。
次男の人はどこかのアドバイスを受けて、敬子さんの支援をされているように感じました。
また敬子さんの扶養する余裕はないようです。
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