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荒川がくれた明日への夢…三浦雄一郎

2006年02月27日 | 子供とスポーツ

 冒険家の三浦氏のコメントが目に止まりました。

 私たち日本人にとって今回のトリノ五輪は暗雲が垂れ込み低迷していた。だが、荒川静香の金メダルの輝きがその暗雲を吹き飛ばしてくれた。日本だけではなく、世界の人々が感動した。掛け値なしのスタンディング・オべーションと「優雅に気品ただよう東洋の女神」と最上級の賛辞を送った。私も飽きることなく、テレビの再放映で荒川の世界最高の演技を繰り返し見て、感動を深く味わい、とても清々しい嬉しい気分になった。

 勝ったとき、祝福を与えられ、勇気や希望が湧き起こり、負けたときには努力や能力の至らなさを知らされる。その点、スポーツの本質のひとつに「辛いことをやり通す人間づくり」が有る。荒川もかつて天才と呼ばれながら何度も挫折を繰り返した。栄光をつかんだはずなのに、失意のどん底に落ち、諦めかけたこともある、これは無名の頃の無心の努力よりもはるかに辛いものだ。その挫折から這い上がり、世界に挑戦を続け大きな壁を乗り越えなければならなかった。

 さらにそれを続けさせてくれた両親や周囲の人たちがいる。現代のスポーツは個人競技であっても、コーチやスポンサーのサポートも必要だ。自分の限界に挑む情熱と、こうした人たちへの感謝や恩を返したいという気持ちから生まれる努力と忍耐、この古風な美徳が現代のハイテクと共に育ったトップアスリートが生まれてくる。

 しかしこの黄金の輝きを私たちにもたらしてくれたヒロインは、日本でのスケートリンクの閉鎖も含めたスポーツの窮状を訴えている。いまや日本のほとんどのスポーツが同じような困難をかかえている。かたや「心は金で買える」と公言した若者。金儲けのためならと、手抜き工事の建築業者。いつのまにか日本は民族の品格も誇りも失ってしまっている。

 こんな現状の中で、私たちに爽やかな誇りと心のときめきを与えてくれたのが荒川の金メダルだ。彼女が私たちに与えてくれた輝きと明日への夢を失わないために、スポーツの在り方をもう一度見直すべきであろう。

(参考:読売新聞 2006.2.27)

 


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