「身体の運動機能は相応に発達しているが、言葉数が極端に少ない。表情が乏しく、視線を合わせない子もいる。そんな幼児をここ数年診ることが多くなった」と、倉敷市の川崎医科大小児科教授・片岡直樹さんは指摘している。片岡さんは「ビデオなど一方通行のメディアにさらされ、他人とのコミュニケーション不足が大きな原因」と判断した。或る症例では、幼児にビデオを見ることをやめさせ、母親と一緒に体を使って遊ぶように指導した。動くことで、子供の体を活性化させ、母親への愛着を深めるのが狙いだった。この結果、この子は次第に言葉が増えていった。
日本体育大学名誉教授(教育生理学)の正木健雄さんは「接触型の遊びは、脳の前頭葉の発達にいい。多くの保育園や幼稚園で取り入れて欲しい」と話す。
鳥取大教授(保育学)の村山祐一さんは「子供の育ちの中で、遊びの役割は軽視されている。親や地域、行政は子供の遊びを、それぞれの立場で保障する事が大切。それにはまず大人の意識を高めることが必要だ」と言う。
(参考:読売新聞 2002.6.22)