ポーランドからの報告

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ポーランドのコンビニ

2007年02月08日 | 日常生活

社会主義の時代のポーランドでは、外国人が買い物をするのは一苦労でした。なにせ当時のお店、とりわけ食料品店は、カウンターの後ろに商品が並んでいて、買いたい商品を店員に取ってもらう形式だったからです。万引き防止には最適のこの店構えも、それゆえ店員とのポーランド語での会話が必須なため、外国人には難関でした。

体制が変わった現代は、気軽に買い物ができるコンビニ形式のお店が増えています。入り口でかごを取って好きな商品をかごに入れレジで会計するだけ、店員とまったく会話せずに買い物を済ませることができます。

特に目に付くのが、ビエドロンカ(Biedronka)、レヴィアタン(Lewiatan)、ジャブカ(Żabka)、オチコ(Oczko)などのコンビニタイプのチェーン店で、従来の小売店がチェーン店のフランチャイズ経営を始めるケースも多くなってきています。タバコやアルコールも買えるし、公共料金の支払いができるところもあります。土日営業しているところも多いです。それでいて値段は大型スーパーなどとそう変わらないし品揃えも豊富なので、非常に便利です。

   

テントウ虫のマークのビエドロンカは、ニ・三年前に従業員が労働条件の改善を求めて裁判を起こしたことがニュースで知られるようになり、それ以降イメージの悪化を恐れてお茶の間に頻繁にテレビCMを流すようになりました。わりと安くて品揃えもよいのですが、残念ながら家の近所にないので、あまり利用したことはありません。

レヴィアタンは聖書に出てくる怪物の名前を冠したお店です。安くて品数も豊富なので、私の毎日の買い物はもっぱらこのレヴィアタンです。ポイントを貯めるとお皿やタオルなどをくれるキャンペーンをやっていたりと、商売熱心です。一方で蛙マークのジャブカ(Żabka)は、割りと高いみたいで「いつも愛用していたなじみのお店がジャブカの看板をつけたとたんに、何もかも値上がりして品数も減った」とは私の夫のいとこ談です。それにしてもテントウ虫にモンスターに蛙にと動物の名前が多いポーランドのコンビニ業界です。

写真のコンビニは、 ウッヂ(Łodź)のショッピングセンター、マヌファクトゥーラ 前にあるビエドロンカです。マヌファクトゥーラを真似た面白い形をしていますよね!


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電車なしの生活

2007年02月07日 | 日常生活

日本に住んでいた時は、東京・多摩地区の自宅から一時間以上電車に乗って通学・通勤していました。郊外在住者に限らず、一千万都市の東京では、電車なしの生活はまったく考えられないと思います。

ポーランドのクラクフに住んでもうすぐ四年になりますが、こちらでは電車にほとんど乗っていません。といっても私の場合、遠距離通勤から決してオサラバできたわけではなくて、やはりクラクフ郊外の自宅から街の中心部に出るのには一時間かかってしまいます。ただ電車ではなくて、もっぱら路面電車(トラム)とバスを利用しています。

ワルシャワ、クラクフ、ヴロツワフなどポーランドの主要都市の多くには、トラム、路線バス、トロリーバスのいずれかが走っていて、市民の足となっています。特に便利なのがトラムで、安価で街のいたるところから乗車できる上、時刻どおりの運行で遅延もあまりないので、一番信頼できる交通機関です。また郊外の住宅地は、バス路線網がくまなくめぐらされています。加えてワルシャワは地下鉄も通っており大変便利です。

  

そんな訳で、ここポーランドでは、近場の移動には電車をほとんど使いません。都会に住んでいれば、どこへ行くにもトラム、路線バス、トロリーバス、地下鉄で事が足りてしまうし、中程度の距離でも、国営バス(PKS)やミニバスの方が便利な場合が多いからです。電車に乗るのはよっぽど遠くまで出かけるとき、例えばクラクフからワルシャワやポズナニなど100km以上離れた他の都市に行くときくらいです。たまに特急列車には乗るけれど、ふだん各駅停車にはめったに乗らない、そういう人がほとんどです。

写真はポーランド国営鉄道(PKP)のクラクフ・プワシュフ駅。人がまったくいなく場末感のある風景ですが、これでもクラクフ中央駅から二駅目(約15km)、平日の昼間の撮影です。このくらいの距離だとトラムで十分間に合うので、この距離を電車に乗る人はいないからです。トラムは本数が多い上、郊外では割とスピードを出すので、電車に比べ、かなり「使える」交通機関なのです。

東京を脱出して初めて体験した「電車なしの生活」、案外心地いいものです。ただもちろん悲鳴を上げているのがポーランド国営鉄道(PKP)で、万年予算不足のためダイヤカット、それでさらに鉄道が不便になり、さらに利用者が減り... と悪循環が続いています。


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これすべて違法駐車?

2007年02月06日 | 日常生活

クラクフ旧市街でとりわけ目に付くのが、あちらこちらの路上駐車です。どの通りを見渡しても必ず片側か両側に路上駐車の車列があり、ひどいときは車両の通行もままならない程です。「ポーランドでは違法駐車は取り締まっていないの?」と日本から来る友人によく尋ねられるのですが..

実はこれ、ほとんどが違法路上駐車ではなくて、正規の駐車なのです。というのもヨーロッパの旧市街は中世の時代に建設されたために、そもそも車の駐車など想定に入れられていません。それゆえ車社会の現代、駐車場の不足が深刻な問題となっており、その解決策として、旧市街に住んでいる人は自分のアパート前の路上に駐車してよいことになっているのです。というわけで駐車OKなのは、市の交通局にあらかじめ登録してある車両だけで、それ以外の車両はやはり違法駐車として厳しく罰せられます。レンタカーを借りて市街地をドライブされる旅行者の方、みんな路上駐車しているから大丈夫、などと気軽な気持ちで路上駐車すると、自分だけ捕まってしまうかもしれませんので、ご注意を!

  

ちなみにクラクフで路上駐車が特にひどいのが、カジミエジュ地区です。もともとあまり広くない路地に住宅が密集してるため路上駐車がひときわ多く、また昨年からそれを考慮してかほぼすべての道路が一方通行になったために、もう迷路状態です。さらには練習中の自動車教習車も沢山走っていて、中世からの由緒ある観光名所のはずが、ひどいときはただの屋外自動車教習場と成り果てています。(運転免許の技能試験が、運転免許センターから40分の自由走行なのですが、その範囲にカジミエジュ地区が入るため、練習中の教習車がうようよ。詳しくは 「ポーランドで運転免許をとる」 編をご覧ください。)


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アダム・マウィシュが帰ってきた!

2007年02月05日 | マウィシュ

ノルディックスキー・ジャンプ競技の国民的スター、アダム・マウィシュが帰ってきました!先週末ドイツ・ノイシュタット(Titisee-Neustadt)で開かれた個人第14戦・個人第15戦で連日優勝、さらにその一週間前に同じくドイツ・オーベルストドルフ(Oberstdorf)で開かれた個人第12戦でも優勝して、今シーズン早くも3勝目、通算32勝目をあげています。

   

マウィシュは身長170cmとヨーロッパ人アスリートにしては小柄長ながら、徹底した筋トレによる肉体改造と脅威の踏み切り力で、2001年にノーマルヒルで2003年にノーマルヒル・ラージヒルでシーズン総合優勝、2002年のソルトレイクシティ・オリンピックでも、ラージヒル銀メダル、ノーマルヒル銅メダルに輝きました。その快進撃ぶりは日本勢からも注目されている選手です。(日本のメディアでは、マリシュと表記されています)母国ポーランドでは当然国民的スターの扱いで、テレビCMに登場したほか、写真のように、マウィシュ選手のパソコンゲームまで作られています。ちなみにマウィシュという名前はポーランド語の 小さい・マウィ(mały)に似ていますが、「小さいマウィシュ」とからかう人は誰もいません。彼は偉大なる国民的スターで、皆から愛されています。

ところで今期のスキージャンプ競技では、先月末にポーランド南部・ザコパネで開催された個人第11戦競技で、チェコのヤン・マゾフ選手が、ジャンプ失敗から転倒して一時意識不明の重体に陥るアクシデントがありました。幸いマゾフ選手は一命をとりとめ現在はチェコでリハビリ生活を送っています。マゾフ選手の一刻も早い回復を祈りたいと思います。


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定年後のセカンドライフ③-海外不動産投資

2007年02月04日 | こぼれ話

長期滞在にはビザが必要になりますが、なんでもポーランド大使館によると、それでも半年以内であれば、実質ビザは必要ないそうです。(ビザなしでの滞在は法令により三ヶ月以内ですが、三ヶ月を超えないように定期的に隣国のスロバキアやチェコなどに出かければOKです、とのこと。なんかいい加減のようにも思いますが、ビザ発行が面倒くさいのでしょうか.. )

  

さて長期滞在が決まったら、まずは住むところ探しですが、ありがたいことにポーランドでは、外国人の長期滞在者も、パスポートひとつで賃貸住宅を借りることができます。こちらの賃貸物件は家具つきの物件も多く、さらには光熱費・電話代・インターネット代込みの所も結構あります。というわけで、日本のウィークリーマンションのようになんでもそろった物件が、1ヶ月単位から借りられます。

あるいは長期滞在を決めたら、早々と不動産を購入してしまうという手もあります。ポーランドでは、田舎の方であれば、庭付き一戸建てが500万円くらいで買えます。北東部の湖水地方(マズーリ地方)に、コテージ・湖つきの土地を1000万円で購入した方もいるそうで、日本では考えられない破格のお値段の不動産が、まだ沢山残っています。海外長期滞在の夢をかなえ、さらには不動産投資で資産運用もできてと、かなりお勧めです。そして日本人はマナーがよいことが知られているので、不動産業界でも日本人の顧客はありがたがられています。ただ最近のズローチ高もあり、ポーランドは以前ほど「格安の国」ではなくなりました。2004年のEU加盟以来、不動産価格はここ二・三年で、三・四倍に跳ね上がっています。それでもユーロ導入(早くても2009年)までが、不動産購入のラストチャンスと言われています。


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定年後のセカンドライフ②-海外長期滞在

2007年02月03日 | こぼれ話

昨日もご紹介した NRI「団塊世代のセカンドライフに関するアンケート調査」 についての記事を引き続き。定年後にしてみたいことの第七位は「海外長期滞在」なのだそうです。実はこんな話があります。先日アメリカのメディアが「定年退職後に住みたいところ」のアンケートを行ったところ、なんとポーランドのクラクフが第一位になったのだそうです。確かに、第二次世界大戦の戦火を奇跡的に逃れた町並みは、ユネスコ世界遺産に指定されているほどに大変美しとあって、海外長期滞在先として、クラクフをはじめとするポーランドの街が注目されているのだそうです。

  

海外長期滞在というと、日本では伝統的にアジア方面、タイやインドネシア、オーストラリアなどが定番となっていますが、実はヨーロッパの中でも、ポーランド・ハンガリーなど中欧の国々は、長期滞在がしやすい国です。

まず第一に食料品が非常に安く、スイカ一玉150円、イチゴ1kg120円など、健康的な生活を送るにはもってこいです。チーズや生クリームなどの乳化製品、そしてハムやソーセージなどの肉類がおいしいことでも知られています。定年後のセカンドライフを送るのに、確かに「中欧」は意外な穴場ともいえます。特にポーランドは、もともと親日感情の強いお国柄に加え、さらには数年まえから付近への日本企業の進出も相次いでいるとあって、日本人が住みやすい国ではないかと思います。(ただもちろんアジア諸国ほどの割安感はありません。車などの工業製品、電化製品などは日本とそうかわりませんし、光熱費は逆に日本より高くつく場合もあります。)


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定年後のセカンドライフ①-「穴場」としての中欧旅行

2007年02月02日 | こぼれ話

先日ご紹介した 野村総合研究所(著) 『2010年の日本』 に、またまた面白いデータが出ていたのでご紹介します。

   

2010年の日本―雇用社会から起業社会へ


NRI「団塊世代のセカンドライフに関するアンケート調査」 によると、定年後にしたいことの第一位が「国内外への旅行」なのだそうです。「鉄道やフェリーで諸国漫遊の旅をしてみたい」など、セカンドライフをはじめるにあたってしてみたいことに「国内外への旅行」をあげた人が、実に68%と他を引き離してダントツの一位という結果になりました。

特に今年2007年から2010年にかけては、戦後のベビーブーマー時代、いわゆる団塊の世代が一斉に定年を迎える時期です。その数およそ700万人、その退職金だけでも、50兆円といわれています。最近は円安・ユーロ高や石油高からの航空運賃の高騰などで以前に比べ海外旅行がし難くくなりましたが、それでもいまだ日本は経済大国であることがわかります。したがってこのアンケート調査の通り、今年あたりから定年退職者の旅行が格段に増えてくるものと予想されます。現役のころ仕事に追われてしたくてもできなかったことを、時間がたっぷりある今、思う存分にしてみたいという人は、大変多いのです。

しかしこれら団塊世代のシニアトラベラーが、これから限られたところに押し寄せると、旅行先の国でいたるところ日本人だらけということにもなるかも知れません。例えば気軽に行ける旅行先、例えばヨーロッパならスペインやフランス、またはスイスや北欧の保養地などには、日本人旅行客が殺到することが予想されます。別に各地で日本人だらけでも、悪くはないとは思うのですが、ここはせっかくだから、旅行の「穴場」にでかけてみるのもよいのではないでしょうか?

というわけで今日は、この場を借りまして、改めて「旅行の穴場」としてのポーランド旅行を、皆様にお勧めしたいと思います。

かつて「鉄のカーテンの向こうの未知の東欧の国」であったポーランドも、90年代に体制が変わり、いまや新しく「中欧」として生まれ変わりました。そこでぜひ、日本人の旅行客の方に、ポーランドを訪れていただきたいと思います。国内に13のユネスコ世界遺産を抱え、ヨーロッパでは有名な観光大国であるポーランドも、残念ながら隣国のチェコやハンガリー、ドイツと比べ、まだまだ日本人観光客の間では知名度が低いようです。ヨーロッパ旅行の「穴場」としての、ポーランドの魅力について、沢山の皆さんに知ってもらえたら、と思います。


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修復工事 IV

2007年02月01日 | こぼれ話

写真は、スピルバーグ監督の大ヒット映画「シンドラーのリスト」の舞台となった、クラクフ・ポドグジェ地区の古工場です。ここも昨年秋から修復工事が行われており、見学できる場所が制限されていました。

この修復工事、当初は昨年12月末で終了の予定でしたが、今日久しぶりに訪れてみたら、まだ工事中でした。なんでも2月20日くらいまでは長引きそうとのことです。それでもなんとか一部は工事が終わったようで、今日は中に入れてもらえることができました。(昨年中は、警備員さんのいる入り口付近しかみられませんでした。)

   
   

中に入って、あまりの変わりようにびっくり。というか正直、ややがっかり。。修復工事とは聞いていたけど、変わりすぎです!!皆さんも、写真を見比べてみてください。上がビフォア、下がアフターです。映画のシーンでも使われた、有名な入り口の階段は、一面アイスブルーに塗られていて、ペンキのにおいがまだぷんぷん漂っていました。なんというか、戦時中の建物という感じがしなくなってしまったように思うのですが..

   
   

こちらは2階にあるシンドラーの執務室です。ここも壁のペンキが塗りなおされ、新たに大きな窓がつけられた他、床のフローリングも新装されました。もっともこの執務室は、元々シンドラーが使っていた時代には窓があったのを、戦後に塞いでしまったので、今回の修復工事でオリジナルの状態に戻ったことになります。

それにしても.. 多分、好き嫌いの問題なのでしょうが、私個人的には、「修復工事前の方が、雰囲気があってよかったのに」と、とても残念に思います。一言でいうと「古工場」のイメージがすっかりどこかへいってしまった、という感じです。


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