デジタルカメラの価格が下落する中で、オリンパスなど老舗カメラ三社が苦境に陥っている。かつてフィルム式のカメラで世界をリードしたが、デジタル化が急速に進んだ後は家電メーカーとの競争に押されている。老舗各社は、デジカメ事業の立て直しに向けてリストラや新機種投入を急ぎ、黒字回復とブランド復権を目指している。(上野嘉之)
「マーケティングの失敗。売れる条件を満たす機種がなく、在庫の山ができた」。五味俊明オリンパスイメージング取締役映像販売本部長は、デジカメ事業の失敗を率直に認める。オリンパスは平成十七年三月期決算で、デジカメ事業が二百三十八億円の大幅な赤字を計上し、グループ全体でも百十八億円の最終赤字に転落した。
コニカミノルタは昨年末の一眼レフ型デジカメ投入が「遅すぎた」と振り返る。一方でコンパクト型デジカメが売れず、カメラ事業は八十七億円の赤字を余儀なくされた。また、ペンタックスは昨年秋にコンパクト型六機種を同時投入したが過大な投資を回収できず、十六億円の赤字に陥った。
この三社はニコン、キヤノンとともに長年、世界のカメラ市場の大半を分け合ってきた。しかし、六年にカシオ計算機がデジカメ一号機を売り出して以来、ソニーや三洋電機、松下電器産業など家電各社が続々と参入。過当競争と市場の飽和感で、昨年には価格が一-三割も下落した。
こうした中でニコンとキヤノンは、高価な一眼レフ型を伸ばして収益を確保。また、カシオ、松下電器などもデザインや機能性に優れたコンパクト型で黒字を確保しており、明暗が分かれた。
このため、「負け組」に対しては、カメラ事業からの撤退を求める声さえ上がった。しかし、オリンパスの五味本部長は「カメラは他の産業用光学製品と異なり、消費者から見える会社の顔」と強調。ペンタックスの鳥越興イメージングシステム事業本部長も「写真文化を育てる企業コンセプトを今後も広める」とこだわりをみせる。
再建の第一歩は厳しいリストラだ。オリンパスは中国工場を中心に四千人を削減し、国内三工場も一カ所に統合。ペンタックスでは全世界の体制再編で三百人規模、コニカミノルタも数百人以上を合理化する。
一方、利幅の大きい一眼レフ型でも勝負に出る。コニカミノルタは年内に十万円前後の普及価格帯に参入するほか、オリンパスも今秋に普及機を追加発売。ペンタックスは来年に上位機種を相次いで投入する。
販売台数が多いコンパクト型は機種の見直しが課題となる。ペンタックスでは三機種程度に削減し、コニカミノルタは得意の薄型タイプだけに絞り込んで収益性を高めていく。コニカミノルタは手ぶれ防止機能を広げるなど、各社が独自技術を生かしてブランドを再構築する方針だ。
(産経新聞)
オリンパスなど老舗3社 デジカメ事業立て直し リストラ、新機種…復権急ぐ
オリンパス、コニカミノルタ、ペンタックスはデジタル一眼レフで出遅れたのが痛かったようだ。今後三社が積極的にデジタル一眼レフの新製品を投入して競争が激化し、より低価格化するのに期待したい。今のデジタル一眼レフは安くても10万円前後してしまい、従来のフィルム式一眼レフと比べると、まだまだ高嶺の花だ。さらなる低価格化してもらわないと庶民にはとても手が出せない。