京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

フリー句「雪の朝」

2021-01-25 08:17:16 | 俳句
フリー句「雪の朝」の巻
雪の朝外に出るのに一呼吸         ひろあき
白い肌灯を消して水になる         巡紅
絵筆が和紙に命織り上げ          ひろあき
秋の暮れ二十七の煙立つ          巡紅
*元和五年京都大殉教
竈見て税取らぬ帝いて           ひろあき
仁徳陵心の広さそのままに         巡紅
与謝野晶子と利休が住んでいた堺      ひろあき
This land is mineと祖国を失くした人達が歌う 巡紅
鷗が溶けて白くなる空           ひろあき
雪解け後に残る白骨死体          巡紅
旧人類のDNAが入っていた         ひろあき
カモノハシと共通祖先を持つ僕達      巡紅
繋がりを信じて仰ぐ星座          ひろあき
重力が水素を押し戻し出来た僕達の宇宙   巡紅
分裂と融合見事に繰り返して        ひろあき
小中高大で高校だけが残る母校       巡紅
おもかげを残した教育実習生来たる     ひろあき
我が手植主を知っておるかと陸舟の松    巡紅
知らぬ間にでかい巣作りスズメ蜂      ひろあき
街一周雪玉が胸の高さになっている     巡紅
起き抜けの一杯足元危ないか        ひろあき
帰宅後よりも休日の朝の一杯        巡紅
※今年は去年に比べ、今年は雪が多いです。積もった日に、近くのお寺の写真を撮りに走りました。暗いニュースが多い中、癒やされるような光景です。

フリー句「自発的変化」の巻

2021-01-22 08:03:45 | 俳句
フリー句「自発的変化」の巻
自発的変化イコール不可逆的変化     巡紅
コロナのせいで成人式は分割に      ひろあき
年々晴着姿が似合わなくなる娘さん     巡紅
祇園石段下のお店で順番待ち        ひろあき
三密注意したらこちらがお叱り受けそうな行列 巡紅
「鬼滅の刃」ずっと一位にランクイン    ひろあき
余裕残す留学生箱根駅伝          巡紅
丑年にあわせ今年はマイペース       ひろあき
雌牛を追いかける雄牛の群の土煙      巡紅
白壁の土蔵の日向みかん山         ひろあき
寺の鐘間延びしている夏の午後       巡紅
待望の跡取りさんにお嫁さん        ひろあき
朝日浴び庭の代松生き生きと        巡紅
蓬莱山に鶴と仙人             ひろあき
自家製酒を炭酸で割って飲みながら一人カラオケ 巡紅
不戦勝の大盤振る舞い大相撲        ひろあき
成人式桜の枝枝は芽吹く準備をしている   巡紅
先が見えない都の人出山眠る        ひろあき
時の流砂に飲まれた都市や国は数知れず   巡紅
深い沈黙月光が包むミイラ         ひろあき
歴史の積み重ねの一つにコロナ禍もなりますように 巡紅
若葉の中に記念碑建てる          ひろあき
※大相撲初場所コロナで大量の力士が休場。横綱も出ない。大関も不調で休場。一ファンとしては淋しいですが、命が大切ですので、しかたないですね。これが、幕内下位力士のチャンスになってくれればと思います。

「ほこほこの」

2021-01-21 08:16:21 | 俳句
「ほこほこの」
           金澤ひろあき
新型のウイルス世界にすきま風
赤信号三つの波を描くグラフ
退職したが双六の上がりはまだ向こう
コロナが流行る前の花が夢に出る
花の時はたいそうええ夢見たもんや
ほこほこのコロッケのある冬ごもり
家庭謹慎ってこんなんだろうね自宅待機
喜びと悲しみと一つ一つの年輪
しんきろうかオリンピック・リニア新幹線
どうみても負ける姿の枯れ尾花
賀状買う数残りの髪の数
こわばりをほぐしてくれる焚き火の匂い
雪静か コロナ災禍の街を癒やす


キャッチボール

2021-01-20 08:01:31 | 俳句
キャッチボール
              金澤ひろあき
 コロナが日本で感染しだしてから一年。普通の生活ができなくなりました。今まで「普通」だと思っていたこと。毎日の生活。一年の折々の行事が中止になったり、制限がかかけられたり、不可能になったり。
 人間の長い歴史の中で、今回のような疫病、天災、あるいは戦争のような人災で「普通」の暮らしが出来なくなったことがあったのでしょう。そしてその度に、「普通」を取り戻す努力を重ねたのだと思います。
 話が飛びますが、『異人たちとの夏』という映画を思ったのです。主人公が中年の男ですが、彼が東京の下町で、早くに亡くなった父と母に再会します。
 父は息子に一緒にやりたかったことをやろうというと、息子は父とキャッチボールをしたいと言い、二人は嬉しそうにキャッチボールをします。
 少年時代のキャッチボール。これも「普通のこと」なのでしょうが、息子にとっては、かけがいのない日々の復活だったのです。キャッチボールを通して、かけがいのない日々を取り戻したのかもしれません。
 今回のコロナで、私たちの普通の生活が、いつ取り戻せるのか、わかりません。しかし、普通を取り戻す努力を重ねたい。私たちの先祖が、そうやってきたように。
  キャッチボール普通の生活取り戻す  ひろあき

フリー句「時の過ぎ行くままに」の巻

2021-01-19 07:59:00 | 俳句
フリー句「時の過ぎ行くままに」の巻
時の過ぎ行くままに緊急事態の街に雪   ひろあき
本がどんどん読めてしまう駅のタクシースタンド 巡紅
大通り不断桜は咲いていて        ひろあき
あっしには関わりのないこって、空行く淡雲 巡紅
屋根の上我が物顔の鴉鳴く        ひろあき
よくこれだけ枝分かれしたね多細胞生物  巡紅
ジャングルに色とりどりの蝶の舞う    ひろあき 
彫った人の個性が色添える千体の観音様  巡紅
仏にも怒りんぼいる帰り花        ひろあき
二十八部衆の阿修羅は強面マッチョ    巡紅
月光のスポットライトに浮き上がる    ひろあき
寿宝寺の千手観音昼とは違う瞑想顔    巡紅
太陽の塔がハッスルメッセージ      ひろあき
京都タワー早くワクチン作れよと夜空に浮かぶ 巡紅
人も車もない嵐山を歩いた初夏      ひろあき
真夜中一人野外展示物見張る生欠伸    巡紅
増えすぎた鹿の無数の目が光る      ひろあき
幾つもの風船膨らませ針刺して笑う子   巡紅
お仕置きをされても禁じられた遊び    ひろあき
梯子を縄で上げ下げ大樹の上の秘密基地  巡紅
花吹雪悪友達と散り散りに        ひろあき
同じ時同じ場所のない人生の一本道    巡紅
※成人の日、晴れ着姿の女性を見かけました。分散型で成人式を行うようです。コロナの影響で、この人達の子供の時代と成人以後の世界が、全く変わってしまうかもしれません。幸せになってほしいと願いつつ、そんな予感もするのです。