京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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蜻蛉日記 なげきつつ 第三段落

2020-06-01 08:10:46 | 俳句
蜻蛉日記 なげきつつ  現代語訳(3)

【本文】第三段落
返り事、「あくるまでもこころみむとしつれど、とみなる召使の来あひたりつればなむ。いと理なりつるは。
  げにやげに冬の夜ならぬ真木の戸もおそくあくるはわびしかりけり」
 さても、いとあやしかりつるほどに事なしびたり。しばしは忍びたるさまに、「内に。」など言ひつつぞあるべきを、いとどしう心づきなく思ふことぞ限りなきや。

【現代語訳】第三段落
夫の返事、「戸を開けるまで試みようとしたのだけれど、急ぎの太政官の官吏が来たのにあってしまったので(待てなかったのだ)。(あなたのご立腹は)もっともだ。
げにやげに冬の夜ならぬ真木の戸もおそくあくるはわびしかりけり
(本当にー冬の夜はなかなか明けずにつらいものですがー冬の夜でもない真木の戸も、遅く開けるのはつらいなあ)」
それにしても、とても不思議なぐらい素知らぬ顔をしている。しばらくはこっそり隠している様子で、「宮中に(急用で参上する)」などと言っているべきなのに、いっそう不愉快に思うことが限りないことだよ。

【語句説明】
しつれ 
し・・サ変動詞「す」の連用形 つれ・・完了助動詞「つ」已然形
とみなる・・急用の
召使・・太政官の下級官吏 雑役に従事する。
来あひつればなむ。
 つれ・・完了助動詞「つ」已然形 なむ・・係り助詞 下に「待ち得ざりし」(待てなかった)」ぐらいの内容が省略されている。
理なり・・(あなたのお腹立ちは)もっともだ
「げにやげに」の歌
げにやげに・・本当に
冬の夜ならぬ 
冬の夜・・長く明けにくい冬の夜
なら・・断定助動詞「なり」未然形 ぬ・・打消助動詞「ず」連体形
掛詞「あくる」 「なげきつつ」の歌の技巧をそのまま借りている。
わびしかり・・つらい
けり・・詠嘆助動詞
さても・・それにしても
あやしかり・・不思議な
ほど・・ぐらい
事なしび・・素知らぬふりをする
忍び・・こっそり隠す
さま・・様子
いととしう・・いっそう
心づきなく・・不愉快に

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