京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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「さんしょ」186号を読んで

2024-06-11 08:38:43 | 俳句
「さんしょ」186号を読んで
          金澤ひろあき
拝復 御句集『離農』拝受。ありがとうございます。
 前回の『蛙の主張』に続き、人生の節目ごとに句集を出される。句と人生がリンクしています。だから、句を振り返ると人生を振り返るようになっています。あの頃こんな出来事があり、こんな心情で暮らしたなと思い出せるよすがにもなり、句が生活のインデックスにもなりますね。(鑑賞は後日になりますが)
 また、「さんしょ」186号にも、生活に即した心情があらわれ、口語俳句は「生活詩」ということを実感します。
〇筍やそこまで厚着しなくても     石神君子
〇聖護院大根やっぱりお日さま独り占め 鈴木和枝
「筍」や「聖護院大根」は食べ物ですが、これらの句では、私が   
同じ目線で呼び掛けています。食べる者と食べられるものというよりも、同じ世界に生きている仲間という感じです。同じように生きているものとして対話し、心の通い合いを生む。世界が私とつながっているという感じがし、自分も含めたあらゆる生を肯定するのです。
〇ウイルスは直ぐそばで遊んでいる   松本克行
 コロナにしてもインフルエンザにしても、同じ地上に存在しているのですね。人間の方は敵視したり、克服したようないい気になったりしているのですが、さてどうでしょうね。
 ウイルスが笑っているかのようです。
〇流行がたぶんくるから取っておく   杉山朝子
〇蓋開かず昔の筋力どこへやら     山口美代
 両句とも生活の中で感じ取ったもの。暮らしの中から生まれた句ですね。
「流行が」の句、確かに過去同じようなものが流行ったなと感じることが多いです。でも、取っておいても、どこに置いたか忘れてしまい、新しく買うことが多く、苦笑いすることも。「蓋開かず」の句、こんなことで体の衰え、老いを実感させられます。
〇フランスのデモに高々「年金」の旗   山川遊狐
 あるフランスの人に、「日本人は不満があっても大人しくしていますね。フランスだったら抗議行動や暴動が起こります。」と言われたことがあります。礼儀正しいのは大切ですが、不条理・道理に合わないことに対しては、「ラ・マルセイエーズ」の精神が必要だと思います。
 Contre nous de la tyrannie,L'étendard sanglant est levéという状況にある今の日本。