京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2024年5月 京都童心の会 通信句会結果 【選評】前半

2024-06-14 11:13:19 | 俳句
2024年5月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】前半
○金澤ひろあき選
特選 天 61 玉ねぎよ伸びよ丸まれ球児たち 三村須美子
 「玉ねぎ」の様子から「球児たち」への連想、とても楽しいです。何かに打ち込む人を見ると、応援したくなりますね。「伸びよ丸まれ」の声による応援も、句の雰囲気を生き生きとさせています。
地 3 桜の帯です 同世代の話題です 塩見すず子
 花を見に行って始まった会話。同世代に通じる話題は盛り上がりますね。時代や苦楽を共にしたからでしょうか。
人 44 野球帽とペットボトルの忘れ物 佐久間照三
 休日の翌日なのでしょうか。野球で遊んだ後の忘れ物から、前日の楽しさが余韻のように伝わって来ます。
 他、心に届く句です。
8 あと何回61段登り下り朝の出発足たたく 遠藤修司
 マンションの階段なのか、駅の階段なのか。毎日通勤で通っている道。「あと何回」に心がこもっています。年をとってくると、私も同じ想いを持ちます。
18 くしゃみ一つ人肌の古書 野谷真治
 多いの人の目を通ってきたであろう古書。読んだ人、所有した人の想い、体温が残っていそうな。その感じが伝わります。
29 黄砂イヤ花粉イヤイヤ風邪でした 蔭山辰子
 春には黄砂がくる。花粉がくる。風邪も流行る。不調の原因、どれなのか悩みますね。
47 手の平らにアリンコ歩き愛おしく 野原加代子
 春から夏にかけ、今年初めての虫もお目見え。まだ数も少なく、動きも鈍く初々しく、いとおしく感じることもありますね。
○野原加代子特選
41 もつれずに絡み合えるね紋白蝶  佐久間照三
 蝶々の舞う姿を自然に寄り添い幼いころに追いかけた記憶があります。絡み合う姿を大人になり見ても童心に戻れた気持ちになります。「もつれずに絡み合える」が何とも言えない言葉の優しさが表れているような気がしました。
○野谷真治特選
68 赤字路線 春の空気をたっぷり乗せる 金澤ひろあき
 春の空気を乗せてゆく。それも、たっぷりと。気に入りました。
 赤字路線でも、廃線にならないように、祈ります。
○三村須美子特選
76 雨の5月1日削減された社員の行方   金澤ひろあき
 50年前のことになりますが若い頃、二条城前の広場に集まって円山公園までデモ行進をしていました。その後、組合や会社もいろんなことがありました。私も会社の移転にともない削減、退職しました。メーデーになると当時を思い出します。
残る社員も削減された社員もそれぞれ大変な思いをされておられると思います。どうかピンチをチャンスにかえ、挫けず心強く生きていきましょう。人生は山あり谷あり、雨の日、晴れ日もあります。現役を終え久しいのですがこの句に共感しました。