京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

役行者山

2016-05-06 19:09:08 | 日記
 役行者山
        金澤 ひろあき
 祇園祭の宵山(前日)に冠句の句会があって出席しました。会場は烏丸御池の近くで、祇園祭の行われている北の端にあたります。役行者山というのが一基あって、祭見物の人がいっぱいです。
 役行者という人は、奈良時代の人で修験道をひらいた人です。大峰山や生駒山、葛城山など、奈良や大阪、和歌山の山で修行をつんで、超能力を得たのだそうです。その役行者をテーマにした山です。そのせいか、、役行者山の所には、本物の山伏がいました。山伏さんのうちの一人は自転車に乗ってなにやら用事をしています。役行者は雲に乗って空を飛んだそうですが、今の山伏さんは雲ではなく、自転車に乗っております。
 句会が終わった後、四人ぐらいで「何か冷たいものを」と探したのですが、この人出で、どのお店も人がいっぱいです。あちこちお店を求めて路地めぐりです。
  いい女連れて祭の路地めぐり    ひろあき
 そうやっていると、目立たない所に一軒、昔風の喫茶店があり、空いていました。昔ながらのチョコレートパフェというのがあり、これまた懐かしい。
 ひとしきり雑談して解散。また一人で人混みの中へ。
  風と手をつないで歩く浴衣の子   ひろあき

風、水、火

2016-05-06 09:20:29 | 日記
  風、水、火
        金澤 ひろあき
 「宇宙を構成する最小の単位は何なのか?」 これについて、ギリシア古代より、いろいろな考え方があったようです。物質を構成する最小の単位は何なのか?「粒子」であるという説。「波動」であるという説。東洋でいう「気」のようなものであるという説があったようです。
 仏教では五大といい、「地、水、風、火、空」であると言います。人間も含め、すべての現象はこの五つの要素で成り立ち、死ぬとこの五つの要素に分解するのだそうです。
 静岡県島田市の『主流』創刊65周年記念句会で、次のような句に出会いました。
  風、火、水、人が人でありますように    鈴木 瑞恵
 この句の「風、火、水」は、仏教の五大のそれではなく、現実の風であり、水であり、火であるのかもしれません。あるいは、「自然」を指しているのかもしれません。あるいは3月に日本を襲った震災、津波、火災、原発事故をイメージしているのかもしれません。いずれにしても、「人が人でありますように」という深い祈りに応えられるべき存在を思わせてくれます。
 再び口語俳句に戻ってきた時より、私は「口語俳句とは何を詠んできたのか」「口語俳句は何を詠めるのか」を考え続けています。その問いに答えてくれる作品に出会えたことが嬉しいのです。   
 同じ句会で出会った次の句、
  にんげんは風になりたくて風に吹かれ    加藤 太郎
にも魅かれます。こちらは「祈り」というよりも、深い「諦念」。いのちの根っこにつながるような深い諦念があります。
 私も同じ句会で、
  ちるさくら余震と流転とまらない      ひろあき
を出句しましたが、同じような「諦念」を感じていたのかもしれません。
 『主流』632号より一句、
  孫手術の今日は虫叩くをためらう      田中 はるよ
 人は日常とは違う事態に出会う時、命の不確かさを見せつけられてしまいます。手術などは、その最たるものでしょう。そして命の確かさにある時には気にならなかったこと、平然とやってしまうことが、命の不確かさの中ではやれない。不安の色を伴ってきます。
 日常の中で何気なく行っている「虫を叩く」こと。それは虫の命を奪っているわけですが、あまり気にもしていません。そういう気にもしない行為が、愛する者の命の不確かさに直面すると、ためらってしまうのです。命の不確かさの中で、命を発見しているのです。
 命の不確かさの現実と、その中の心情ということで言えば、田旗光著『庭師闘病記ーそうかもしれないー』が面白かった。脳内出血で倒れ、生還した記録を「おもしろい」などというのは、いけないことかもしれないが、命の不確かさの中で、自分の過去、現在、未来を丁寧に見直していて、一つ一つのささいなことに〝ドラマ〟を感じさせてくれます。
 その『庭師闘病記ーそうかもしれないー』の中の「若い庭師への手紙」という一編。若い庭師に庭造りをアドバイスしているのですが、体験した者だけが言える文章です。その文章の中に「庭に障りを入れよ」ということがあるのです。障りとは、石や灯籠や滝などを見えないようにするために植える木などのことです。庭の全部の良い面を見せてしまうとダメで、良い面をわざと隠すことによって、人間は「見てみたい」という気持ちをかきたてられるのだそうです。そのための仕掛けが障りなのです。
 命の不確かさというのはある意味、人間にとっての最大の障りなのかもしれません。

フリー句 「雨やどり」の巻

2016-05-06 08:18:59 | 日記
【フリー句 自由連句】                        四枚目
「雨やどり」の巻
雨やどりして居る内に友が出来    川村薫
その背後刀を曲げる友が見る     裸時
勝相撲汗もぬぐわずふり向かず    金澤ひろあき
風呂の水とタオルが飛ぶ人になる   裸時
湯あがりの一杯楽し新婚さん     ひろあき
あたたかい風のサンタも喜ぶよ    裸時
春の恋メリゴーランド止まらない   ひろあき
コーヒーの渦の型にはまってる    裸時
春嵐つむじ曲がりは今日も来ず    ひろあき
コロコロ転がるクマちゃん元気    裸時
ぬいぐるみ遊んでくれずさみしそう  ひろあき
隙間にスキーストロベリーサンデー  裸時
行き先はお菓子の国におもちゃの国  ひろあき
人魚姫どっちのお菓子?楽しそう   裸時
恋人のしるしに交わす月日貝     ひろあき
クッキーが出来たよしゃべる猫    裸時
きこえないふりをしているしんきろう ひろあき
初デート世界旅行協議会       裸時
かんじんの好みのタイプはずせない  ひろあき