席題「まなざし」

　席題「まなざし」

眼差しに言葉がしぼむ竹落葉　　　　　　　青島　巡紅
水濁っても餌くれ眼差しにバックする　　
ビールに嘴つけて私のものよとセキセインコ
全てに従う者(かみさま)の眼差しは慈悲か狂気か

Ｉ　ｈａｔｅ　ｙｏｕというまなざしで　　二神　大輔
昨日は春のまなざし今日は寒　　　　　　
老いて尚涼しいまなざし人を見た
はっとする赤子のまなざし遠い日々　　　
画面より涼しいまなざし春近し　

まなざしがまっすぐすぎる子猫かな　　　　金澤　ひろあき
まなざしを上向きにして卒業す　　　　　
まなざしも丹田(たんでん)もゆるむ露天風呂
なごり雪別れのまなざしもういらぬ　　　
まなざしに正解とある　歩き出す
まなざしがすでにかけひきリング上

赤ちゃんのうつろな目ざし春うつす　　　　内薗　日出杜
今日の目ざしうつりにけりな春の色　　　
スカートのひらひらに目ざし行って春の日
姉の目ざし優し気に見えて遠足日　　　　
今日の目ざし明日の目ざし春立つ日

席題「試験」

　席題「試験」「テスト」　　　　　
　　席題とは、同じ題で句をつくることです。京都童心の会でやった席題を紹介します。

この歳で運転免許再試験　　　　　　　　　硯池
受験の子乗せて北山上りけり　　　　　
携帯にひたすら興じ受験の子
大試験階段教育見渡せり

すきま風試験する側される側　　　　　　　金澤ひろあき
答無き試験もあるよ社会人　　　　　　
正解は傍線引いてないところ
春遠き顔を並べる試験中　　　　　　　
東大の入試無き年ジョン・レノン

試験結果体のけむり　　　　　　　　　　　三村　須美子
背伸びして受験す烏うり　　　　　　　
忘れもの声かけをして受験子をおくり出す
受験子のほっぺた熱く冬のたんぽぽ　　
カイロと飴もたせ背を押される受験生

国家試験看護婦さん合格ほくほく顔　　　　内薗　日出杜
大学の入試医学部合格医師手前　　　　
自動車のかりめん合格路上に出でて若葉マーク

合格を祈る歳末絵馬はずす　　　　　　　　二神　大輔
歓迎す試験時期には風邪の神　　　　　
熱上がる試験期迎え神頼み
見物す試験間近の天満宮　　　　　　　
否定する近くの天神試験時期
合格を祈る試験期絵馬はずす

しけんとはぴんとこないよこの年では　　　川村　薫
五十年いや六十年の昔ではしけん　　　
何のしけん勉強じゃなく人柄かも
百までも生きれるかえんまさま（しけん）
しけんする人が居ない私には