大助の駆けある記

日本共産党・木佐木大助の山口県議会通信

県議会報告Ⅷ

2012年04月25日 | 記事

2012年度山口県一般会計予算等に対する反対討論
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 三月県議会最終日の3月16日、日本共産党県議団を代表して反対討論を行いました。

 日本共産党は、2012年度山口県一般会計予算など上程された67議案のうち、一般会計予算や同補正予算案など18議案に反対し、残り49議案には賛成しました。

 自民・公明・民主・自民新生・県政と社民を除く一人会派(3)は、すべての議案に賛成しました。  以下、日本共産党の反対討論・要旨を紹介します。

2012年度一般会計予算について
 
 新年度予算に盛り込まれた雇用や防災対策など県民要望に添った施策には賛成するが、一方で、看過できない問題点がある。

 本議会の一般質問でも指摘したが、県民の暮らしと福祉、営業を応援するという地方自治体にとって一番の仕事が「緊急・重点課題」から抜け落ちていることだ。

 スポーツ振興は大切な施策ではある。しかし、リストラで失業した人や年金削減で日々の生活が立ちゆかない高齢者、就職が決まらない大卒、高卒の若者、子どもの医療費負担に悩まされる子育て世代、客足が途絶え、倒産・廃業の危機に立たされている中小零細業者等々、日々の生活に不安を抱えた人が、はたしてスポーツを楽しむ気分になるだろうか。

 民主党政権が、「国民生活が第一」の看板を下ろしたも同然となった今、何より急がれるのは、こうした県民の不安に応える県独自の施策だ。そこに背を向け、スポーツ振興を目下の「緊急・重点課題」に位置づけられる知事の政治姿勢には到底、賛同することはできない。

 また、2010、11年度予算では、知事が「同時廃止は全国初」と自慢される三公社廃止に伴う赤字穴埋めに324億円もの予算がつぎ込まれる。本会議で知事が「結果として、こういう事態に至ったことには深くお詫びする」と言明されたことは評価するが、失敗の大元に国の施策に従った過剰投資があったことは明らかだ。

 国の言い分を鵜呑みにせず、自主的な県政運営を貫くことをあらためて要望する。

●財源はある…県民負担増・庶民増税はやめよ
 
 次に議案第30号のうち、個人県民税の負担増につながる改正には反対する。

 個人県民税の改正は、東日本大震災の教訓を踏まえて、全国的かつ緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する財源の確保が目的とされているが、庶民には増税を押しつけながら、大企業や富裕層への減税や優遇税制を続けていることは容認できない。

 大企業や富裕層に応分の負担を求めれば、税収確保は十二分にできる。したがって反対する。

●民生・教育・衛生費で119億円―なぜ減額補正か…県民要求に応えるべき
 
 2011年度一般会計の最終補正においても、民生費約45億円、教育費約55億円、衛生費約19億円など県民生活にかかる分野で巨額の予算が減額された。

 例えば民生費約45億円の減額は福祉医療制度の完全無償に必要な額の約10年分だ。教育費約55億円も小中学校でのさらなる少人数学級化や美祢・北浦地域への総合支援学校新設、私立高校の保護者負担軽減など多くの仕事ができる額だ。

 県民から強い要望が出されているのに、「持続可能な制度」とか、「財源がない」などと言いつつ、年度末には減額補正を行い、基金に積み立て、次年度の予算に回す、こんなやり方はあらためるべきであり、反対する。

●減らせばいい…という問題ではない
 
 県職員定数条例の一部を改正する条例は、知事の事務部局の職員定数を4100人から3900人に削減するものだ。この間の「行政改革」の名による職員削減によって、県出先機関が次々に姿を消し、住民サービスの低下が進んでいる。一方、長時間過密労働を強いられ、心の病をかかえる県職員が後を絶たない。職員の増員こそ急務であり、定数削減は容認できない。

 学校職員定数条例の一部を改正する条例も、学校職員の定数を高等学校65人、中学校19人、小学校40人、合わせて124人も削減するものだ。山口県が全国に先駆けて、小中学校の全教室で35人以下を実現したことは評価しているが、学級減のなかでも定数を維持し、さらに30人以下学級に向かうべきであり、本改正には反対する。

 次に議案第27号のうち、管理職手当受給者以外の職員の給与減額措置を終了することは賛成するが、一般職の課長級以上の管理職手当受給者のうち組合管理職である職員の減額措置を二年間継続することに反対する。

 県内の個人消費のうち公務員の占める割合は高く、地域経済の振興をはかる上でも、特別職等以外の減額措置も終了させるべきだ。

●負担金は廃止して…市町の財政を支援すべき
 
 議案第67号の市町負担金については、わが党は一貫して廃止を主張してきた。

 昨年度から事務費に係わる負担金を市町に求めない改善が始まったが、それでも今年度の負担金総額は約38億円にのぼっている。市町は県が有料化した福祉医療制度を財政的に補完し、実質無料化を継続させるなど、本来、県が負担すべきものを肩代わりしている。

 せめて市町への県事業負担金を廃止し、市町財政を側面支援すべきではないか。

●最後に…退職される県職員のみなさんへ
 
 さて、本会議の参与員の中に、今年度をもって退職される方が少なからずおられます。

 私は県議会に出てきてまだ一年足らずですが、日本共産党は、これまで県民本位の県政をめざす立場から、住民合意を無視した市町村合併の押しつけ、地域商店街を壊す大型小売店舗の進出の野放し、弱肉強食の「構造改革」路線への追従など、県政の問題点を真っ向から批判し、みなさん方にとっては、耳の痛いことも数多く進言させてもらいました。

 お互い立場は違っていましたが、ともに山口県の発展のために長年、ご苦労されたことには、感謝と敬意の意を表するものです。

 今後、ますますのご活躍を祈念して、日本共産党県議団を代表しての反対討論を終わります。



県議会一般質問Ⅵ…税と社会保障の一体改革

2012年04月17日 | 記事

 ●消費増税で地方財政は潤うか
 
 「税と社会保障の一体改革」について伺う。

 知事は、予算案発表の記者会見で「地方財政の立場からは、消費税・地方消費税の税率の引き上げ等の税制の抜本的改正は急がれるべきと考える」と表明されるなど、一貫して消費税増税に賛成の立場を取っている。

 知事が期待するのは、「消費税増税分の一部が地方に配分される」ということらしいが、果たして消費税増税で地方財政が改善されるだろうか。私は、まったく逆でますます大変な事態になると考える。

 昨年末、「国と地方の協議の場」で合意された「案」によると、消費税率の引き上げ分5%のうち、地方分は1・54%とされ、うち地方消費税分1・2%、地方交付税分0・34%とされています。新年度予算案の地方消費税収入は310億円計上されているから、1・2%上乗せされると約370億円の増収となる。

 しかし一方、消費税増税は当然、県財政に負担増をもたらすことになる。新年度予算案の総額6952億円から、人件費や公債費、扶助費など非課税品目を除く約2800億円に5%上乗せすると約140億円の負担増となる。そうすると、実質的な増収は230億円に圧縮されてしまう。

 そもそも消費税増税は、県民に多大な負担増をもたらす。各都道府県に配分されている地方消費税をもとに、5%増税がもたらす山口県内における負担額を推計すると1379億円にのぼる。
 
 県財政への影響と、県民が強いられる負担増について、知事はどう認識されているのか、まずお伺いする。

●日本共産党の提言こそ財政危機打開の道
 
 民主党も、自民党も、公明党も「社会保障財源として消費税増税は避けて通れない」と声高にいっているが、果たしてそうだろうか。

 日本共産党は2月7日、消費税大増税の3つの問題点と、「消費税増税に頼らなくても、社会保障充実と財政危機の打開はできる」という提言を発表した。

 消費税増税の第一の問題点は、ムダ使いを野放しにしての大増税だということだ。八ツ場ダム建設など大型事業を復活させる。また、重大な欠陥が指摘され完成もしていない1機100億円もする次期戦闘機を42機も買うなど防衛省の装備予算は青天井だ。さらに実現性は疑問視され、事故続きのあの「もんじゅ」を含めた原子力推進予算に4200億円も計上する。

 一方で大企業には1兆4000億円も減税だ。そのうえ身を切ると言いながら320億円の政党助成金には一切手を付けようとしていない。

 第二は、「税と社会保障の一体改革」は名ばかりで、資料②に示したように消費税5%増税で社会保障の「充実」に回るのは1%…2兆7000億円だけで、それも年金給付の削減や医療・介護の負担増で霧散してしまう。しかもこれから年金支給開始年齢の引き上げられれば、6兆から10兆円規模の給付減が待ちかまえている。

 第三は、消費税10%への増税は国民生活に計り知れない打撃を与え、経済も共倒れになるということだ。1997年の橋本内閣の時は、消費税増税分と医療費負担など九兆円の国民負担増をきっかけに、個人消費が落ち込んだのに加え、アジア金融危機が重なり景気が急減速して、税収も落ち込んだ。以来、日本は世界でも希な「成長できない国」となった。

 とくに中小零細企業は、資料③のように、今でも消費税を価格に転嫁できず、自腹を切って納税している。10%になれば、廃業が相次ぎ、地域経済は崩壊してしまう。

 ムダ使いを一掃し、富裕層や大企業に応分の負担を求めれば、消費税増税なしで社会保障の充実も、財政危機打開の展望も切り開ける。

 こうした事実を直視すれば、消費税増税を是とすることなど、到底できないと考えるが、知事の見解をお伺いする。

◆知事答弁要旨
 
①消費増税による県財政への影響と県民の負担増については、現段階では具体的な改革の内容が確定しておらず、今後、地方とも協議した上で関連法案の提出等が行われる見通しとなっている。従って県財政の影響等については、現時点では私の認識をお示しできる段階ではないと考えている。

②消費増税に関する私の見解については…本格的な少子・高齢化社会の進展に伴い、今後の社会保障関係経費の増嵩が、国や地方の財政運営を圧迫し、このままでは教育など行政サービスの維持が困難になることが懸念されている。 従って私としては、次の世代に負担を転嫁していくことなく、真に必要な対策を着実に進めていくために、できるだけ安定的な財源を確保・充実をしていくという観点から、消費税そのものについては拡充していくことが必要と考えている。

 今後、社会保障と税の一体改革の議論を進める中で、消費税のあり方については、我が国のあるべき社会保障制度の全体像を明確に示した上で、お示しの行財政改革等と併せ、国民的な議論をしっかりと行っていただきたいと思っている。

●再質問
 
 消費税増税は、「持続可能な社会保障制度の安定財源」という、この認識に変わりはないようで残念だ。

 もともと消費税は、「社会保障充実のため」という名目で1989年4月、導入が強行され、97年には5%に引き上げられた。導入から23年経過したが、この間、社会保障は果たして「充実」しただろうか。

 導入前と比べると、健康保険本人の窓口負担は、一割から三割に。老人医療は外来で月額800円が、治療を受けるたびに毎回一割から三割の負担だ。国保料も一人平均で6万8000円から10万円近くへと値上げされた。国民年金の保険料は7700円から1万5000円と倍増。厚生年金も2013年度から支給開始年齢が順次、引き上げられる。

 一方で、法人税率は37・5%から25%、所得税・住民税の最高税率は65%から50%、相続税の最高税率は70%から50%へと引き下げられ、証券優遇税制によって、株式の配当や譲渡利益への税率は20%から10%に軽減されるなど、大企業・富裕層へは至れり尽くせりの大盤振る舞いが行われた。

 この事実をもってしても、知事は、「消費税は社会保障の安定財源として使われてきた」と言われるのか。お尋ねしたい。

 ムダ使いを一掃し、大企業や一握りの富裕層に応分の負担を求めることで、社会保障を充実させる、この立場に立たれるお考えはないか、あらためてお伺いする。

 中小零細企業への影響についても、先ほどふれたが、消費税増税は、中小零細業者に壊滅的な打撃を与える。

 知事もご承知のように、中小零細企業の約七割は赤字経営であり、そのうえ価格に転嫁できないため、自腹を切って消費税を納付しているのが実態だ。10%に増税され、価格に転嫁できなければ、大変なことになることは火を見るよりも明らかではないか。

 中小零細企業が倒産・廃業に追い込まれれば、日本と山口県の地域経済が壊される。それでも知事は消費税増税に賛意を示されるのか。知事の見解を伺う。

◆再質問に対する知事答弁要旨
 
 中小企業への配慮が必要

 消費税問題と中小企業への打撃の関係については、まだ細かい制度設計がどうなるか明らかになっていない。

 当然のことながら、いろいろ中小企業に対する影響とかいろんなことがありましょうから、そういうものについては、制度設計の中で配慮する方向での検討が必要ではないかと思っている。

●新たな門出に参加して…身の引き締まる思い
 
 初めて来賓として、下関工業高校、豊田中学校、豊東小、菊川中、下関市立大学などの卒・入学式に参加しました。どこでも、次代を担う宝のような子ども・青年達の門出に際して、学校関係者をはじめ父母や地域の方々の温かい思いと期待がこもった式で、私も新たな感慨と久々に身の引き締まる体験をさせていただきました。

●下関市立大学…「日の丸」掲げるも「君が代」斉唱はなし
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 小中高いずれも県教委の指導により「起立」の後、国歌斉唱が行われましたが、多くの留学生を受け入れている市大では、日の丸は掲げられているものの「君が代」斉唱は、さすがになし。
 
 大学としての見識を示しました。

■県議会報告Ⅶ…TPP問題について
 
 TPP…環太平洋経済連携協定について伺う。

 昨年末の12月定例議会で知事は、「仮に関税が撤廃されれば、中山問地域では、その基幹産業である農業は深刻な打撃を受け、国民の財産や豊かな暮らしを守る多面的機能の喪失など、大きな影響を受けることが懸念される。国においては、参加に伴う影響や対応などについて十分な説明を行い、国民的な議論を重ねていく必要があると考えている」と答弁された。

 しかしその後、野田政権はTPP参加に前のめりの姿勢を強めるばかりだ。交渉参加に向けた協議に入ることを明言した際、野田総理は「情報収集と説明責任を果たし、十分な国民的議論を経たうえで、TPPの結論を得ていく」などと語っていた。

 ところが、その後、この言明を根底から覆す重大な事実が明らかになっている。

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 ニュージーランド政府は、TPP交渉では「交渉開始にあたって各国の提案や交渉文書は極秘扱いにする。これらの文書は協定発効後四年間秘匿される」という合意があることを公式に明らかにした。この事実は、野田総理が約束した、情報収集と説明責任も十分な国民合意も、まったく不可能にするものではないだろうか。

 知事もご承知に通り、TPPに参加すれば「ゼロ関税」とされ関税自主権を奪われるだけでなく、アメリカからみて「非関税障壁」とされればあらゆる国内制度の撤廃が求められる。

 「食と農」への壊滅的打撃をはじめ、被害は県民生活のあらゆる分野に及ぶことになる。県内ではJAはじめ農林水産関係団体などで反対決議が、また一昨年12月の山口県議会、県内10の市町議会からも反対の決議が上がっている。

 こうした新たな状況に対する見解を伺うとともに、知事として「交渉参加反対」の明確な意思を表明すべきだと考えるが、いかがか。見解を伺う。

◆知事答弁要旨「国民的議論が必要…現状の国の対応は大変遺憾」
 
 TPPは、これからの我が国の形を決める大変に重要な課題であることから、私は農業や食の安全など国民生活の様々な分野で生じている不安を払拭するためにも、国の責任で、その影響と具体的な対策を明らかにした上で、国民的議論を進めていくべきであると考えている。

 しかし国は、既に今年1月から、TPP交渉参加に向けた関係国との協議を開始しているものの、議員お示しの「合意」の有無も含めて、現在のところ国からはその協議の状況をはじめ、TPP参加に伴う影響や対策等について、十分な情報提供や説明がなされていないことは、大変遺憾なことであると思っている。

 こうした中、「交渉参加反対の明確な意思表明をすべき」とのお尋ねだが、私は、まずは国において説明責任をしっかり果たしていただくことが必要と考えている。

 私としても、先ほど申し上げたTPP交渉参加に対する私の基本的な考え方について、引き続き、様々な機会を通じて、国に対して申し上げてまいる考えである。

●衆参3候補がそろいぶみ…日本共産党演説会
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 消費増税・原発再稼働・TPP・北朝鮮ロケット問題など緊迫した情勢の真っ只中の4月14日、下関生涯学習プラザの多目的ホールで日本共産党演説会が開かれました。

 仁比そうへい前参院議員、石村衆院比例中国ブロック予定候補、桧垣のりお衆院山口4区予定候補の3人がそろい踏み。日本共産党の政策を示し「日本の世直しを共に」と訴え、会場いっぱいの参加者は「今度こそ日本共産党の大躍進をこの下関・長門から」と共感の拍手で応えました。


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県議会報告Ⅴ:一般質問…山口県の住宅政策の抜本的改善を求める

2012年04月10日 | 記事

 

●今こそ公営住宅…必要な時
 
 山口県の住宅政策について伺いたい。
 
 現行の公営住宅法も第一条で、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、または転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」とうたっている。

 ところが二井知事が就任されて16年間、県営住宅の戸数は1019戸しか増えていない。しかも、知事の最後の任期となったこの4年間は1戸も建設されていない。一方で、入居募集に対しては、概ね10倍以上の希望者が殺到している。

 まさに今、県営住宅の建設・増設こそ求められている時ではないか。県営住宅の建設を抑制し、入居基準を厳格化ばかりして、家賃も民間並に上げていくような住宅政策は見直す必要があると考えるが、見解を伺う。

 
●冷たい県政の象徴…無慈悲な追い出し
 
 次に入居者の追い出し問題について伺う。
 
 国土交通省は、2005五年に公営住宅法施行令の改定と住宅局長通知「公営住宅管理の適正な執行について」などで、公営住宅制度を大きく変える改悪をしたが、これを盾に県内でも、県営住宅の使用承継を原則として「配偶者」と「高齢者・障害者等で特に居住の安定を図る必要がある者」に限定した。

 このため、失業中で病弱者な40代の息子さんまで、県営住宅に住めなくなるという事態も生まれている。

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 山口県の対応は、他の都府県や県内市町が「病弱や一年以上同居している親族に承継を認めている」こと等に比べて、あまりにも冷たすぎる。「住み良さ日本一」を掲げる山口県の本来の精神にも反するものではないか。

 公営住宅法の第三条では、「地方公共団体は、常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するために必要があると認められるときは、公営住宅の供給を行わなければならない」とあるが、この規定を正面に据え、県の使用承継の考え方を抜本的に改善する必要があると考えるが、知事の見解を伺いたい。

◆土木建築部長の答弁要旨
 
 「山口県住生活基本計画」により住政策を進めており、現状では、増設することなく空き家募集や建替えによって対応できると考えている。県としては、引き続き低額所得者等の居住の安定の確保を図るため、県営住宅の適切な提供に努めていく。

 入居承継については、入居名義人が死亡又は退去した場合、配偶者以外の同居親族への入居承継は、原則として認めていない。これは公営住宅法第27条第6項に基づき行っているものであり、同法の趣旨には反しておらず、適切な対応と考えている。

■再質問
 
 「県営住宅は、これ以上増やす考えはない」とのことだが、ならば公営住宅法一条及び三条が定めている「低所得者に対する安くて住みやすい住宅を確保する」という目的は達成されていると考えているか。見解を伺う。

●悪代官は誰か…
 
 次に、使用承継の問題についてだが、山口県が使用承継の権利を狭めることに至ったのは、さきほど紹介した2005年の住宅局長通知に基づいている。

 調べてみると、この時の住宅局長は、今回自民党さんが二井知事の後継として擁立した方であり、時の首相は本県選出のあの人であった。

 山口県の住宅政策が他県や県内市町に比べて「冷たく」「温かみがない」のは、公営住宅行政の分野でも、弱肉強食の構造改革路線の最も忠実な実行者であったからに他ならない。

しかし、公営住宅は、憲法第25条で明記されている「人間らしく生きる権利」…生存権を保障する制度として、国や自治体の責任で建設・整備すべきものであることには変わりない。

 県住宅課や出先の関係部門など、直接県民と向き合う職員さんの苦労も承知しているが、根本には知事の、国の政策に対する「忠実さ」があると思う。とりわけ「承継問題」は、県の裁量の枠内だから、県民の実態に応じて柔軟に対応できるよう改善する必要があると考える。

 本当に住宅に困窮している弱者を切り捨てるのではなく、住宅弱者によりそう「温かい」県政であって欲しいと思う。この点、いかがか。

◆再質問に対する…土木建築部長の答弁要旨
 
 本県の県営住宅の整備、管理は、公営住宅法の目的、趣旨に合致していると考えている。その供給については、民間では適正な水準の住宅を確保できない低額所得者の世帯数から算出したものであり、適切な戸数を提供していると考えている。
 
…退去の際は、個別に丁寧で十分な配慮をする…

 入居承継については、入居者と非入居者間の公平性を確保するため、現在の考え方を変えることはできない。しかし一方で、入居承継が認められない場合でも、本人の個別の事情を丁寧にお聞きしながら、退去時期等の設定については、個別に引き続き十分な配慮を行ってまいりたい。

■岩手県宮古…震災復興だより
 
宮古魚市場がある鍬ヶ崎の現状…12-3/11
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 あの大震災からちょうど1年目、岩手県宮古から便りが届きました。魚介類の水揚やセリも再開されて宮古の人達の必死の奮闘が続いていますが、津波により失われた漁船や養殖施設、冷凍・冷蔵施設など、宮古市の水産関係被害額は約342億円に上り、被災に伴う失業者は2500人に達しています。 地域再生のカギを握る水産業の完全復興はまだまだ先…「復興はまさに今が正念場」の日々が続いています。

 写真は昨年6月に、県議団が支援で歩いた宮古漁港のある鍬ヶ崎地区の現在の姿です。

 日本共産党は雪解けを受け、震災復興支援を再開しています。
 
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県議会報告Ⅳ

2012年04月03日 | 記事

■一般質問…在沖縄海兵隊の岩国基地移設問題
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 3月議会直前に明らかになった「在沖縄海兵隊の岩国移設問題」からわずか1ヶ月。山口県は、まだ米軍再編見直しの日米交渉が続いているにも関わらず、空母艦載機の米軍住宅用地になる愛宕山を防衛省に売却するという暴挙を行いました。


 山口県岩国に「極東最大の米軍基地建設も辞さない」という県民不在の県政の本音が透けて見える論戦です。3月7日の一般質問を紹介します。

●「火種」はアメリカ…国いいなりでは解決しない
 
 米軍岩国基地への在沖縄海兵隊移駐問題について伺う。

 この問題は、本議会の代表質問や一般質問でも取り上げられているように、山口県政の行く末に係わる今議会最大の課題になった。

 そもそも、今回、日米両政府が見直し協議をはじめた「米軍再編計画」のロードマップ(行程表)は、①普天間基地は、名護市辺野古に建設する新基地に移設、②在沖縄海兵隊(約1万8000人)のうち、約8000人の要員をグアムに移転、③厚木の空母艦載機部隊を岩国基地に移駐すること等から成り立っていたが、1996年の合意から約6年たった現在まで一歩も進んでいない。

 今回の見直しで米側は、グアムに移転させる人員を4700人に縮小し、残る3300人は、太平洋地域に分散配置することで自らの財政負担を軽減させるために、沖縄に展開する第1海兵航空団司令部と約1500人の要員を、岩国基地に移設するよう求めていることが明らかになった。

 これに対し、野田総理も玄葉外相も、あの田中防衛相も「岩国移設は一切考えていない」と火消しに躍起になっているが、二井知事は「火のない所に煙は出ない」と喝破し、「米側からも岩国移転がないことを明確にされる必要がある」と述べられている。政府がいくら否定しても、懸念が消えないのは「火だね」そのものが米側の事情にあるからだ。

 第1に、米議会は年約40兆円にも膨らんでいる軍事費を、今後10年間に36兆円削減することを決め、米軍再編にかかる費用の削減を強く求めていることだ。

 第2には、海兵隊の軍事機能の問題がある。分散配置の対象とされているなかに、岩国基地に駐留している第12海兵航空部隊を指揮する第1海兵航空団の一部が含まれている。この第1海兵航空団の一部を、海兵隊基地のないフィリピンやオーストラリアのダーウィンなどにたらい回しすることは軍事上考えられない。沖繩から移すとしたら、岩国が最も有力な候補地となる。

 今回の見直し協議で、沖縄の負担軽減を先行させるため、嘉手納基地以南の基地返還を、普天間基地の移設問題と切り離して進めることが合意されたが、その一つに第1海兵航空団司令部があるキャンプ瑞慶覧が含まれている。

 「岩国は考えない」とすれば、同地の返還は困難になると考えざるをえない。
 
 知事は、こうした米側の事情について、どう承知されているのか。まずお尋ねする。

◆知事答弁要旨
 
 お示しの通り、米側における財政事情から、今後10年間で国防予算を削減する見込みであることや、沖縄の海兵隊について、グアムだけでなくハワイ、オーストラリヤ、フィリピンなどへ分散配置することは、これまでの報道等により承知しており、さらには、先般の日米共同報道発表で示された通り、現在、海兵隊のグアム移転に関する部隊構成及び人数等の見直しについて、日米両政府間で具体的な協議が進められると聞いている。

 しかし、現時時点で日米協議の内容は明らかにされておらず、その詳細は承知していない。

●再編計画は「見直し」…ならば基地縮小こそ道理
 
 さて米側は、二月末に開催された日米審議官級協議で、①第3海兵師団の地上戦闘部隊の大半をグアムなど国外へ移転する、②第3海兵機動展開部隊の司令部と第31海兵遠征部隊は沖縄に残す、という構想を打診していることが明らかにされた。

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 この中に、オスプレーの本州配備について大筋合意があったことまでが、今朝の新聞(3月7日)でも報道されている。

 もともと知事は、「沖縄に強いられている過度な基地負担を分かちあうべき」という考えから、艦載機部隊の岩国移駐に理解を示されてきたものと考えるが、現在進められているロードマップ見直しが、沖縄に残留する人員が増員され、嘉手納以南の基地返還が進まないことになるなど、沖縄の負担軽減につながらないものに変わったら、艦載機の岩国移駐への対応も見直されるのが当然の道理だが、この点はどう考えているのかお伺いしたい。

 また、第3海兵師団の地上戦闘部隊が沖縄から国外に移転することになれば、普天間代替施設のみならず、現在の普天間飛行場そのものが不要となる。

 米政府内でも「普天間基地不要論」までとりざたされる状況を受け、「米軍再編計画」とロードマップそのものを白紙に戻し、在日米軍基地の縮小をこそ、求めるべきと考えるが、知事の見解を伺いたい。

 いずれにしても、現段階で海兵隊移駐の火種は消えていない。
 
 「在沖縄海兵隊の岩国移転は絶対に認めない」という一点で、党派を越えた「オール山口」の強固な意思・メッセージを日米両政府に示す必要がある。集会やシンポジウムの開催など、知事のイニシアチブが求められている時と考えるが、見解を伺う。

◆知事答弁要旨
 
 今回の米軍再編の目的は、「抑止力の維持」と沖縄を中心とした「地元負担の軽減」であり、個別の再編案は統一的なパッケージであるとの説明を国から受けてきたことから、空母艦載機の移駐に対しても理解を示してきた。

 現在、日米両政府間で米軍再編の見直しが進められているが、普天間基地の名護市辺野古への移設については、「唯一の有効な進め方」とされ、これまでの方針とは変わらないことが確認されているものの現時点で、沖縄に係わる再編が具体的にどうなるか、また、ロードマップがどのように見直されるのか明らかにされていない。

 したがって、県としては、今後の日米協議の動向や政府の対応等をしっかり見極めて対処すべきと考えており、現時点で、ロードマップを白紙に戻し、在日米軍基地の縮小を求めることは考えていない。