大助の駆けある記

日本共産党・木佐木大助の山口県議会通信

県議会一般質問Ⅵ…税と社会保障の一体改革

2012年04月17日 | 記事

 ●消費増税で地方財政は潤うか
 
 「税と社会保障の一体改革」について伺う。

 知事は、予算案発表の記者会見で「地方財政の立場からは、消費税・地方消費税の税率の引き上げ等の税制の抜本的改正は急がれるべきと考える」と表明されるなど、一貫して消費税増税に賛成の立場を取っている。

 知事が期待するのは、「消費税増税分の一部が地方に配分される」ということらしいが、果たして消費税増税で地方財政が改善されるだろうか。私は、まったく逆でますます大変な事態になると考える。

 昨年末、「国と地方の協議の場」で合意された「案」によると、消費税率の引き上げ分5%のうち、地方分は1・54%とされ、うち地方消費税分1・2%、地方交付税分0・34%とされています。新年度予算案の地方消費税収入は310億円計上されているから、1・2%上乗せされると約370億円の増収となる。

 しかし一方、消費税増税は当然、県財政に負担増をもたらすことになる。新年度予算案の総額6952億円から、人件費や公債費、扶助費など非課税品目を除く約2800億円に5%上乗せすると約140億円の負担増となる。そうすると、実質的な増収は230億円に圧縮されてしまう。

 そもそも消費税増税は、県民に多大な負担増をもたらす。各都道府県に配分されている地方消費税をもとに、5%増税がもたらす山口県内における負担額を推計すると1379億円にのぼる。
 
 県財政への影響と、県民が強いられる負担増について、知事はどう認識されているのか、まずお伺いする。

●日本共産党の提言こそ財政危機打開の道
 
 民主党も、自民党も、公明党も「社会保障財源として消費税増税は避けて通れない」と声高にいっているが、果たしてそうだろうか。

 日本共産党は2月7日、消費税大増税の3つの問題点と、「消費税増税に頼らなくても、社会保障充実と財政危機の打開はできる」という提言を発表した。

 消費税増税の第一の問題点は、ムダ使いを野放しにしての大増税だということだ。八ツ場ダム建設など大型事業を復活させる。また、重大な欠陥が指摘され完成もしていない1機100億円もする次期戦闘機を42機も買うなど防衛省の装備予算は青天井だ。さらに実現性は疑問視され、事故続きのあの「もんじゅ」を含めた原子力推進予算に4200億円も計上する。

 一方で大企業には1兆4000億円も減税だ。そのうえ身を切ると言いながら320億円の政党助成金には一切手を付けようとしていない。

 第二は、「税と社会保障の一体改革」は名ばかりで、資料②に示したように消費税5%増税で社会保障の「充実」に回るのは1%…2兆7000億円だけで、それも年金給付の削減や医療・介護の負担増で霧散してしまう。しかもこれから年金支給開始年齢の引き上げられれば、6兆から10兆円規模の給付減が待ちかまえている。

 第三は、消費税10%への増税は国民生活に計り知れない打撃を与え、経済も共倒れになるということだ。1997年の橋本内閣の時は、消費税増税分と医療費負担など九兆円の国民負担増をきっかけに、個人消費が落ち込んだのに加え、アジア金融危機が重なり景気が急減速して、税収も落ち込んだ。以来、日本は世界でも希な「成長できない国」となった。

 とくに中小零細企業は、資料③のように、今でも消費税を価格に転嫁できず、自腹を切って納税している。10%になれば、廃業が相次ぎ、地域経済は崩壊してしまう。

 ムダ使いを一掃し、富裕層や大企業に応分の負担を求めれば、消費税増税なしで社会保障の充実も、財政危機打開の展望も切り開ける。

 こうした事実を直視すれば、消費税増税を是とすることなど、到底できないと考えるが、知事の見解をお伺いする。

◆知事答弁要旨
 
①消費増税による県財政への影響と県民の負担増については、現段階では具体的な改革の内容が確定しておらず、今後、地方とも協議した上で関連法案の提出等が行われる見通しとなっている。従って県財政の影響等については、現時点では私の認識をお示しできる段階ではないと考えている。

②消費増税に関する私の見解については…本格的な少子・高齢化社会の進展に伴い、今後の社会保障関係経費の増嵩が、国や地方の財政運営を圧迫し、このままでは教育など行政サービスの維持が困難になることが懸念されている。 従って私としては、次の世代に負担を転嫁していくことなく、真に必要な対策を着実に進めていくために、できるだけ安定的な財源を確保・充実をしていくという観点から、消費税そのものについては拡充していくことが必要と考えている。

 今後、社会保障と税の一体改革の議論を進める中で、消費税のあり方については、我が国のあるべき社会保障制度の全体像を明確に示した上で、お示しの行財政改革等と併せ、国民的な議論をしっかりと行っていただきたいと思っている。

●再質問
 
 消費税増税は、「持続可能な社会保障制度の安定財源」という、この認識に変わりはないようで残念だ。

 もともと消費税は、「社会保障充実のため」という名目で1989年4月、導入が強行され、97年には5%に引き上げられた。導入から23年経過したが、この間、社会保障は果たして「充実」しただろうか。

 導入前と比べると、健康保険本人の窓口負担は、一割から三割に。老人医療は外来で月額800円が、治療を受けるたびに毎回一割から三割の負担だ。国保料も一人平均で6万8000円から10万円近くへと値上げされた。国民年金の保険料は7700円から1万5000円と倍増。厚生年金も2013年度から支給開始年齢が順次、引き上げられる。

 一方で、法人税率は37・5%から25%、所得税・住民税の最高税率は65%から50%、相続税の最高税率は70%から50%へと引き下げられ、証券優遇税制によって、株式の配当や譲渡利益への税率は20%から10%に軽減されるなど、大企業・富裕層へは至れり尽くせりの大盤振る舞いが行われた。

 この事実をもってしても、知事は、「消費税は社会保障の安定財源として使われてきた」と言われるのか。お尋ねしたい。

 ムダ使いを一掃し、大企業や一握りの富裕層に応分の負担を求めることで、社会保障を充実させる、この立場に立たれるお考えはないか、あらためてお伺いする。

 中小零細企業への影響についても、先ほどふれたが、消費税増税は、中小零細業者に壊滅的な打撃を与える。

 知事もご承知のように、中小零細企業の約七割は赤字経営であり、そのうえ価格に転嫁できないため、自腹を切って消費税を納付しているのが実態だ。10%に増税され、価格に転嫁できなければ、大変なことになることは火を見るよりも明らかではないか。

 中小零細企業が倒産・廃業に追い込まれれば、日本と山口県の地域経済が壊される。それでも知事は消費税増税に賛意を示されるのか。知事の見解を伺う。

◆再質問に対する知事答弁要旨
 
 中小企業への配慮が必要

 消費税問題と中小企業への打撃の関係については、まだ細かい制度設計がどうなるか明らかになっていない。

 当然のことながら、いろいろ中小企業に対する影響とかいろんなことがありましょうから、そういうものについては、制度設計の中で配慮する方向での検討が必要ではないかと思っている。

●新たな門出に参加して…身の引き締まる思い
 
 初めて来賓として、下関工業高校、豊田中学校、豊東小、菊川中、下関市立大学などの卒・入学式に参加しました。どこでも、次代を担う宝のような子ども・青年達の門出に際して、学校関係者をはじめ父母や地域の方々の温かい思いと期待がこもった式で、私も新たな感慨と久々に身の引き締まる体験をさせていただきました。

●下関市立大学…「日の丸」掲げるも「君が代」斉唱はなし
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 小中高いずれも県教委の指導により「起立」の後、国歌斉唱が行われましたが、多くの留学生を受け入れている市大では、日の丸は掲げられているものの「君が代」斉唱は、さすがになし。
 
 大学としての見識を示しました。

■県議会報告Ⅶ…TPP問題について
 
 TPP…環太平洋経済連携協定について伺う。

 昨年末の12月定例議会で知事は、「仮に関税が撤廃されれば、中山問地域では、その基幹産業である農業は深刻な打撃を受け、国民の財産や豊かな暮らしを守る多面的機能の喪失など、大きな影響を受けることが懸念される。国においては、参加に伴う影響や対応などについて十分な説明を行い、国民的な議論を重ねていく必要があると考えている」と答弁された。

 しかしその後、野田政権はTPP参加に前のめりの姿勢を強めるばかりだ。交渉参加に向けた協議に入ることを明言した際、野田総理は「情報収集と説明責任を果たし、十分な国民的議論を経たうえで、TPPの結論を得ていく」などと語っていた。

 ところが、その後、この言明を根底から覆す重大な事実が明らかになっている。

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 ニュージーランド政府は、TPP交渉では「交渉開始にあたって各国の提案や交渉文書は極秘扱いにする。これらの文書は協定発効後四年間秘匿される」という合意があることを公式に明らかにした。この事実は、野田総理が約束した、情報収集と説明責任も十分な国民合意も、まったく不可能にするものではないだろうか。

 知事もご承知に通り、TPPに参加すれば「ゼロ関税」とされ関税自主権を奪われるだけでなく、アメリカからみて「非関税障壁」とされればあらゆる国内制度の撤廃が求められる。

 「食と農」への壊滅的打撃をはじめ、被害は県民生活のあらゆる分野に及ぶことになる。県内ではJAはじめ農林水産関係団体などで反対決議が、また一昨年12月の山口県議会、県内10の市町議会からも反対の決議が上がっている。

 こうした新たな状況に対する見解を伺うとともに、知事として「交渉参加反対」の明確な意思を表明すべきだと考えるが、いかがか。見解を伺う。

◆知事答弁要旨「国民的議論が必要…現状の国の対応は大変遺憾」
 
 TPPは、これからの我が国の形を決める大変に重要な課題であることから、私は農業や食の安全など国民生活の様々な分野で生じている不安を払拭するためにも、国の責任で、その影響と具体的な対策を明らかにした上で、国民的議論を進めていくべきであると考えている。

 しかし国は、既に今年1月から、TPP交渉参加に向けた関係国との協議を開始しているものの、議員お示しの「合意」の有無も含めて、現在のところ国からはその協議の状況をはじめ、TPP参加に伴う影響や対策等について、十分な情報提供や説明がなされていないことは、大変遺憾なことであると思っている。

 こうした中、「交渉参加反対の明確な意思表明をすべき」とのお尋ねだが、私は、まずは国において説明責任をしっかり果たしていただくことが必要と考えている。

 私としても、先ほど申し上げたTPP交渉参加に対する私の基本的な考え方について、引き続き、様々な機会を通じて、国に対して申し上げてまいる考えである。

●衆参3候補がそろいぶみ…日本共産党演説会
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 消費増税・原発再稼働・TPP・北朝鮮ロケット問題など緊迫した情勢の真っ只中の4月14日、下関生涯学習プラザの多目的ホールで日本共産党演説会が開かれました。

 仁比そうへい前参院議員、石村衆院比例中国ブロック予定候補、桧垣のりお衆院山口4区予定候補の3人がそろい踏み。日本共産党の政策を示し「日本の世直しを共に」と訴え、会場いっぱいの参加者は「今度こそ日本共産党の大躍進をこの下関・長門から」と共感の拍手で応えました。


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