質問に入る前に一言、述べさせていただきます。
一昨日、藤本議員が知事に、「原発被災地に一度は足を運ぶべき」と求めたのに対し、知事は「福島の現場を訪問する予定はない」と切って捨てるような答弁をされました。この答弁を聞いた方々から「被災地の苦しみに心を寄せる姿勢がない」と抗議の声が寄せられています。
我が党は、原発被災地を視察した経験を生かし、今後とも被災地の1 日も早い復興と原発ゼロの実現をめざして、より一層、奮闘する決意を表明して、質問に入ります。最初に、原発の安全性と経済性について知事の基本認識を伺います。
■この期に及んで…原発は、安全で経済的と本気で考えているのか
川内原発の再稼働申請に対し、国の原子力規制委員会は、「安全とはいわない」といいながら規制基準に「適合」との判断を下した。
一方、安倍首相はこれをもって、「安全性が確認された」かのように振る舞って、再稼働に踏み込もうとしている。
◆安全神話…復活許すな
しかし、規制基準は、既存の原発を手直し修正できる範囲でしか安全強化策をやらず、根本的な構造的欠陥には踏み込まないという問題があることは、これまでさんざん指摘されてきたことだ。
しかも原発の再稼働は、単なる「技術的工学的な安全性の判断」だけでなく、総合的政策判断として考えるべきであり、万が一事故が起きた時の原子力防災計画・住民避難の問題や、使用済み核燃料・高レベル放射性廃棄物の処理の問題はまったく対象外となっている。
つまり規制委員会は、「技術的工学的問題の一部」を検討したにすぎない。
これをもって川内など、現在13原発・20基の原発の再稼働に道を開くことは、福島第1原発の悲痛な経験をも、ないがしろにする「安全神話」の復活に他ならないと考えるが、見解を伺う。…①
◆国民にツケ回す…勝手な言い分
福島第1原発の大惨事によって東京電力の経営は事実上、破産状態だが、破綻処理はされず、国をあげての救済措置がとられ、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」を通じて税金が投入され、電力使用料と合わせてほとんどが国民負担となった。
その結果、福島原発事故の損害賠償や原状回復費用、事故収束・廃止費用、行政の事故対応費用など社会的出費は、少なくとも十一兆円になるといわれている。
これには廃炉プロセスに向かう膨大な費用は含まれていない。
加えて、停止中の原発を維持するためにも年間約一兆円の費用が必要であり、これらの費用は電気代に転嫁されている。
今日に至るまで「原発は安い」などと、政府も電力会社もしきりに言っているが、とんでもない。現時点においても、「原発は低コスト」と考えているのか。…②
いずれにしても、安全性・経済性とも根本的欠陥をもつ原発の再稼働はあり得ず、ましてや上関原発の新規建設や島根原発の増設などあり得ないと考えるが、見解を求める。…③
◆中電筆頭株主の責任は…
次に中国電力筆頭株主の責任について伺う。
六月議会答弁で県は、株主総会で「棄権」の選択肢を取らない理由として、「中電の信用や経営に大きな影響を及ぼす恐れがあり、県民の貴重な財産を保全する観点から適切ではない」と、弁解した。
しかし、これこそ「株の保有と経営は分離して考える」という県の見識からも逸脱するものではないか。
原発問題について、中立の立場を装いながら、実際は原発再稼働を容認し、上関原発の公有水面埋立免許延長申請に対して、際限なく補足説明を求め続けることで「上関原発建設は悲願」と暴論を吐く中国電力の無謀な経営方針に手を貸す、極めて県民を愚弄する欺瞞的対応と言わざるを得ないが、見解を伺う。…④
大飯原発再稼働を差し止めた福井地裁判決は、「250㌔圏内の人々の人格権の侵害」と断じた。
大阪市は、原発依存度が最も高く無配が連続する関西電力に対して「原発撤退」を求めている。
島根原発を抱える中電の筆頭株主たる山口県は、少なくとも中四国・九州16県にその責任を負っているのではないか。
山口県が本気で「中立の立場」というなら「棄権」すべきであり、県民の貴重な財産である年間17億円の配当を維持したいというなら、原発推進の経営方針に「反対」の意志を表明するのが筋だと考えるが、県の答弁を求める。…⑤
□木村商労・渡辺総務部長の答弁要旨
①…川内原発等の再稼働については、「エネルギー基本計画」において、原発の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進めるとされている。この方針に沿ったものと考える。
②…原発を含む発電コストについては、国の課題であり、見解を申し上げる立場にない。
③…上関原発建設計画については、国のエネルギー政策に基づき、電気事業者たる中国電力が進めてきたものであり、計画をどうするかは事業者自らが判断すべきと考えている。島根原発については、見解を申し上げる立場にない。
① ② ③ …木村商労部長
④…県としては、これまで一貫してして「株の保有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢で対応してきた。
こうした考え方から、株主総会の対応については、県民の貴重な財産を保全する観点から、棄権は行わず、株主として中立的な態度を明示するため、議決権行使書を白紙で提出してきたものであり、これまでの県の基本姿勢を変更したものではない。
⑤…県としては、経営の関与・参画は行わないとの基本姿勢であり、中国電力の経営方針に関して意見を述べることは考えていない。
④ ⑤ …渡辺総務部長
■10月2 5日、上関町で「いのちの海を守れ。さようなら上関原発!…県民集会」が開かれ、1 2 0 0 人を超える人達が参加。 私も、日本共産党を代表して連帯の挨拶をさせていただきました。
川内原発再稼働反対の取り組みや、伊方原発反対の闘いなども報告され、党派・思想信条を超えた熱い連帯の集会・デモとなりました。
闘いは、これからも続きます。