大助の駆けある記

日本共産党・木佐木大助の山口県議会通信

県議会報告Ⅳ

2012年04月03日 | 記事

■一般質問…在沖縄海兵隊の岩国基地移設問題
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 3月議会直前に明らかになった「在沖縄海兵隊の岩国移設問題」からわずか1ヶ月。山口県は、まだ米軍再編見直しの日米交渉が続いているにも関わらず、空母艦載機の米軍住宅用地になる愛宕山を防衛省に売却するという暴挙を行いました。


 山口県岩国に「極東最大の米軍基地建設も辞さない」という県民不在の県政の本音が透けて見える論戦です。3月7日の一般質問を紹介します。

●「火種」はアメリカ…国いいなりでは解決しない
 
 米軍岩国基地への在沖縄海兵隊移駐問題について伺う。

 この問題は、本議会の代表質問や一般質問でも取り上げられているように、山口県政の行く末に係わる今議会最大の課題になった。

 そもそも、今回、日米両政府が見直し協議をはじめた「米軍再編計画」のロードマップ(行程表)は、①普天間基地は、名護市辺野古に建設する新基地に移設、②在沖縄海兵隊(約1万8000人)のうち、約8000人の要員をグアムに移転、③厚木の空母艦載機部隊を岩国基地に移駐すること等から成り立っていたが、1996年の合意から約6年たった現在まで一歩も進んでいない。

 今回の見直しで米側は、グアムに移転させる人員を4700人に縮小し、残る3300人は、太平洋地域に分散配置することで自らの財政負担を軽減させるために、沖縄に展開する第1海兵航空団司令部と約1500人の要員を、岩国基地に移設するよう求めていることが明らかになった。

 これに対し、野田総理も玄葉外相も、あの田中防衛相も「岩国移設は一切考えていない」と火消しに躍起になっているが、二井知事は「火のない所に煙は出ない」と喝破し、「米側からも岩国移転がないことを明確にされる必要がある」と述べられている。政府がいくら否定しても、懸念が消えないのは「火だね」そのものが米側の事情にあるからだ。

 第1に、米議会は年約40兆円にも膨らんでいる軍事費を、今後10年間に36兆円削減することを決め、米軍再編にかかる費用の削減を強く求めていることだ。

 第2には、海兵隊の軍事機能の問題がある。分散配置の対象とされているなかに、岩国基地に駐留している第12海兵航空部隊を指揮する第1海兵航空団の一部が含まれている。この第1海兵航空団の一部を、海兵隊基地のないフィリピンやオーストラリアのダーウィンなどにたらい回しすることは軍事上考えられない。沖繩から移すとしたら、岩国が最も有力な候補地となる。

 今回の見直し協議で、沖縄の負担軽減を先行させるため、嘉手納基地以南の基地返還を、普天間基地の移設問題と切り離して進めることが合意されたが、その一つに第1海兵航空団司令部があるキャンプ瑞慶覧が含まれている。

 「岩国は考えない」とすれば、同地の返還は困難になると考えざるをえない。
 
 知事は、こうした米側の事情について、どう承知されているのか。まずお尋ねする。

◆知事答弁要旨
 
 お示しの通り、米側における財政事情から、今後10年間で国防予算を削減する見込みであることや、沖縄の海兵隊について、グアムだけでなくハワイ、オーストラリヤ、フィリピンなどへ分散配置することは、これまでの報道等により承知しており、さらには、先般の日米共同報道発表で示された通り、現在、海兵隊のグアム移転に関する部隊構成及び人数等の見直しについて、日米両政府間で具体的な協議が進められると聞いている。

 しかし、現時時点で日米協議の内容は明らかにされておらず、その詳細は承知していない。

●再編計画は「見直し」…ならば基地縮小こそ道理
 
 さて米側は、二月末に開催された日米審議官級協議で、①第3海兵師団の地上戦闘部隊の大半をグアムなど国外へ移転する、②第3海兵機動展開部隊の司令部と第31海兵遠征部隊は沖縄に残す、という構想を打診していることが明らかにされた。

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 この中に、オスプレーの本州配備について大筋合意があったことまでが、今朝の新聞(3月7日)でも報道されている。

 もともと知事は、「沖縄に強いられている過度な基地負担を分かちあうべき」という考えから、艦載機部隊の岩国移駐に理解を示されてきたものと考えるが、現在進められているロードマップ見直しが、沖縄に残留する人員が増員され、嘉手納以南の基地返還が進まないことになるなど、沖縄の負担軽減につながらないものに変わったら、艦載機の岩国移駐への対応も見直されるのが当然の道理だが、この点はどう考えているのかお伺いしたい。

 また、第3海兵師団の地上戦闘部隊が沖縄から国外に移転することになれば、普天間代替施設のみならず、現在の普天間飛行場そのものが不要となる。

 米政府内でも「普天間基地不要論」までとりざたされる状況を受け、「米軍再編計画」とロードマップそのものを白紙に戻し、在日米軍基地の縮小をこそ、求めるべきと考えるが、知事の見解を伺いたい。

 いずれにしても、現段階で海兵隊移駐の火種は消えていない。
 
 「在沖縄海兵隊の岩国移転は絶対に認めない」という一点で、党派を越えた「オール山口」の強固な意思・メッセージを日米両政府に示す必要がある。集会やシンポジウムの開催など、知事のイニシアチブが求められている時と考えるが、見解を伺う。

◆知事答弁要旨
 
 今回の米軍再編の目的は、「抑止力の維持」と沖縄を中心とした「地元負担の軽減」であり、個別の再編案は統一的なパッケージであるとの説明を国から受けてきたことから、空母艦載機の移駐に対しても理解を示してきた。

 現在、日米両政府間で米軍再編の見直しが進められているが、普天間基地の名護市辺野古への移設については、「唯一の有効な進め方」とされ、これまでの方針とは変わらないことが確認されているものの現時点で、沖縄に係わる再編が具体的にどうなるか、また、ロードマップがどのように見直されるのか明らかにされていない。

 したがって、県としては、今後の日米協議の動向や政府の対応等をしっかり見極めて対処すべきと考えており、現時点で、ロードマップを白紙に戻し、在日米軍基地の縮小を求めることは考えていない。