大助の駆けある記

日本共産党・木佐木大助の山口県議会通信

九月県議会報告…Ⅴ米海兵隊岩国基地問題②

2015年10月27日 | 記事
 基地問題について再質問を行う。
 先程の答弁では、沖縄辺野古問題でも、厚木爆音訴訟で下された司法の認定でも、県民の安全に責任を負う山口県としての立場は極めて不十分と考えざるを得ない。

■沖縄辺野古・空母艦載機…何でもかんでも国いいなりか
 沖縄で生まれた新たな激変、オール沖縄と国との関係・情勢をもっと踏みこんで捉える必要があるのではないか。
 今沖縄では、安倍政権の民意無視の強権姿勢を、沖縄での米軍占領下の土地強奪になぞらえ、「海上での銃剣とブルドーザーによる基地建設だ」と怒りが日々広がっている。
 「今後の情勢」も法廷闘争に至ることは必至であり、とても、再来年までには見通しが立たないことは常識ではないか。あらためて見解を求める。…①
 七月に出された厚木爆音訴訟判決は、もちろん六月議会での理事答弁後に出された司法判断だ。
 それだけに、「住民に対する健康被害を及ぼす重大な問題」があることが指摘されたことに対し、山口県はもっと真剣・真摯に受け止めることが必要ではないか。
 防衛省が示した数値を鵜呑みにする山口県の姿勢・基地対策は、根本的に問題があると考えるがどうか。…②
 爆音問題について再々質問をする。
 これまで県は、「国の騒音予測に基づき、騒音など基地周辺住民の生活環境が、現状より悪化するとは言えない」との認識を示してきたが、司法の判断はこれを根本から覆すものだ。
 東京高裁判決では、過去にない最大の賠償額を含めて「住民の健康被害に重大な影響がある」とした。
 ここまでの司法の判断がでている訳だから、防衛省も過去のデーターの再調査すべきであり、県としても再検討することは当然ではないか。…③

□大谷理事・基地対室長の答弁要旨
①… 県としては、埋立承認の取消をめぐる今後の情勢について、予断をもってお答えすることはできないことを、ぜひご理解いただきたい。
②…今回の移駐に伴う地域住民への影響については、あくまでもH18 年、厚木基地における飛行実態を踏まえて算定した航空機騒音、この予測値を分析・検討した上で、県としては「生活環境が悪化する状態は生じない」と判断したもので、再検討する考えは、今は持っていない。
③…再編実施後の航空機騒音、国が予測した結果は、うるささ指数75・W値75 以上の区域だが、これが沖合移設後は3 分の1 になる。しかも再編が行われても従前の3 分の1 に縮小するという予測だ。
 この数字を見ての判断であり、お示しの判決があったからと言って、この見直しが必用になるとは考えていない。

■厚木に続き今度は岩国爆音訴訟…山口地裁が示したもの
 十月十五日、岩国基地の米軍機と自衛隊機の飛行差止めと、耐え難い爆音被害への損害賠償を求める岩国爆音訴訟の一審判決が、山口地裁岩国支部で行われました。飛行差止めは却下もしくは棄却されましたが、損害賠償は約六億円の支払いを命じました。

▼沖合移設後も爆音はひどく、艦載機来ればさらに深刻に
 今回の地裁判決の画期的意義は、爆音被害の損害賠償問題で、国の不当な「危険への接近論」(基地・騒音を知りながら近辺に居住したのは自己責任)や、防音工事で被害は激減したなどの弁明をしりぞけたことです。
 しかも重大なことは、爆音被害の「現状と今後」について…
①旧滑走路を一㌔沖合に移設しても、効果 は限られ、「なお相当数の原告らが相当に強い騒音にさらされ」ており、「原告らが人間らしい生活を営む上で重要な利 益の侵害」がある。
②艦載機部隊が移駐すれば、「周辺の航空機騒音の程度が現時点と比べて高まる」と、明確に認定したことです。
 厚木爆音訴訟東京高裁判決に続く、この岩国爆音訴訟山口地裁判決は、「何のための沖合移設だったのか」を含め、国・防衛省と山口県当局のこれまでの姿勢を、根本から問い直すことになりました。
 今後の、「基地強化反対と静かな空を取り戻す」闘いにとって、大きな拠り所となるものです。

■いのちの海を守れ!さようなら上関原発!10・24反原発デー県民集会

 中国電力による、上関原発建設計画・公有水面埋立免許延長申請をめぐる、山口県の対応を不服とした住民訴訟で、山口地裁の原本開示請求(回答期限は10 月23 日) に対して、山口県は、これまでの情報公開と同様に、「黒塗りベッタリ・伏字だらけ」の回答を出してきました。
 これこそまさに、「黒塗り」ならぬ「恥の上塗り」です。住民訴訟は、山口地裁から強制力をもった「知事に対する命令」を下させる闘いに移りました。
 その翌日10月24日上関町で開かれた「いのちの海を守れ!さようなら上関原発!10・24反原発デー山口県民集会」に、河合県議と一緒に参加。日本共産党を代表して、連帯の挨拶をさせていただきました。
 住民訴訟原告弁護団長の田川弁護士も駆けつけ、これからの闘いの方向・展望について訴えました。
 会場では、「立憲議連」の頼もしい仲間である、社民党県議団の佐々木県議・中嶋県議ともエールの交換を行いました。
 中電・上関、九電・川内、四電・伊方など、なりふり構わず「原発安全神話」と「原発利益共同体」の復活を目論む、安倍政権打倒に向けて全力を尽くす決意です。


九月県議会報告…Ⅲ最終日の討論要旨

2015年10月13日 | 記事
 10月9日県議会最終日、日本共産党県議団を代表して討論を行いました。
 日本共産党は、提案された7議案のうち6議案に賛成し1議案に反対しました。
 反対した議案第2号は、今年度の「建設事業に要する経費に関し市町が負担するべき金額を定める」もので、県が市町に負担を求める金額は、31億8429万円にのぼっています。
 全国では、国直轄事業の都道府県負担金の見直しの動きを受けて、都道府県事業に要する市町負担金を見直す自治体が広がっており、新潟・和歌山・福岡の3県は、すでに負担金を原則廃止しました。 国に県負担金の見直しを求める以上、まず「隗より始める」べきです。

■請願「不採択」に対する木佐木の反対討論の一部を紹介します
▼立憲主義の普及充実…なぜ反対!
 請願第1号及び4号は、戦後七〇年に当たり、「立憲主義」の堅持を求め、主権者教育においても「立憲主義」の大切さを普及するよう求めるものであります。
 この請願に賛同されない議員がおられること、そのものが信じられません。
 「立憲主義」とは、いやしくも議会人であるなら、最も尊重すべき規範とは思われないのでしょうか。
 戦後七〇年の大きな節目の年に当たって、政府及び関係機関に「立憲主義」の堅持を求めることに反対される議員のみなさんは、「国家権力の行使は憲法により制限される」という大原則が、踏みにじられることを「よし」とされるのでしょうか。
 ことの重大性を考えられ、再考されるよう声を大にして指摘するものであります。

▼治安維持法犠牲者を放置して… 請願第2号は、「治安維持法犠牲者国家賠償(仮称)の制定を求める意見書」の採択を求めるものです。
 そもそも治安維持法なるものは、一九二五年、山口県出身の「オラが大将」田中義一首相の元で、国体や私有財産制を否定する運動を取り締まることを目的として制定された法律であります。
 その後逐次改悪され、日本共産党だけでなく社会民主主義者や自由主義者、反戦主義者に留まらず、戦後の廃止までに宗教者やジャーナリスト、先ほど中嶋議員が指摘した「横浜事件」など、政府批判はすべて弾圧の対象となっていった希代の悪法であります。
 一九四五年の敗戦により、この悪法は反人道的悪法として断罪されましたが、廃止までの二〇年間に、判明しているだけでも、194人が取調中の拷問により死亡。さらに1503人が獄死しています。
 この中には、作家の小林多喜二や哲学者の三木清もそうですが、創価学会の牧口初代会長も含まれています。
 また、戦後、戦争協力に心から反省した仏教界、例えば浄土真宗大谷派の「不戦決議」は、次のように述べています。

 かつて安寧なる世を願い、四海同朋への慈しみを説いたため、『非国民』とされ、宗門からさえ見捨てられた人々に対し、心からなる許しを乞うとともに、今日世界各地で反戦平和への願いに促されて、その実現のため身をささげておられる心ある人々に、深甚からの敬意を表する

 というものであります。
 戦後七〇年たった今日でも、いまだにこの治安維持法犠牲者に対する謝罪・賠償すら行われていません。
 二度とこうした戦争への道、ファシズムの主柱となった弾圧立法の再現を許すわけにいきません。それだけに、この請願は、採択されてしかるべきものであります。

■山口県議会で「立憲議運」が立ち上がりました
 安倍首相の地元…足下の県の山口県議会で、日本共産党と民主党・連合の会、社民党・市民連合、地域政党草の根の4会派8人による「立憲主義を考える山口県議会議員連盟」(略称・立憲議連) が結成されました。
 戦争法(安保関連法) 交付の翌日の10月1 日、設立総会が開かれ発足していましたが、県議会最終日の10月9日を期して「共同記者会見」で、発表しました。
 議連会長は、西嶋県議(民主党県連代表・山口)。 副会長は、佐々木県議(社民党県本委員長・宇部) と井原県議(地域政党草の根・岩国)、日本共産党の木佐木の3人です。
 幹事長は、戸倉県議(民主党県連副幹事長・周南)。幹事は、中嶋県議(社民党県本幹事長・山陽小野田) と日本共産党の河合喜代県議(山口)、記者会見は所用で欠席になりましたが連合の井上県議(防
府) の8名が名を連ねました。
 記者会見では、「政府により法秩序が侵されつつある中、まず立憲主義とは何かをしっかり勉強しようと、超党派で設立した。他会派議員にも広げていきたい」(西嶋議連会長)。
 「少なくともこの議連は、次期改選までの3年半は続いていく。安倍強権暴走政権の元で、山口県議会の与党の中にもいるはずの保守リベラルらしき議員は、全面屈服・窒息状態に陥っている。それだけに、この「立憲議連」ができた意義は大きい」(木佐木副会長)。
 「憲法を逸脱した国政に県議会・県政も右にならえの状況で、危機感を感じる。力を合わせて県民に発信していきたい」(佐々木副会長) などと決意を表明しました。
 「山口県議会・立憲議連」は今後、県民にも参加を呼び掛けて学習会や講演会、共同行動を行っていきます。

(手前から、中嶋・木佐木・佐々木・西嶋・井原・河合・戸倉の各県議…みんなこれからの闘いに気合い十分です)

九月県議会報告…一般質問②知事の政治姿勢・憲法認識について

2015年10月06日 | 記事

 知事の政治姿勢・憲法認識について伺う。
 日本国憲法前文は、民主主義、人権尊重主義とともに、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し」という、強い平和への意思を込めて「この憲法を確定する」と宣言した。
 安倍自公政権による戦争法制の強行可決は、立憲主義という近代民主政治の基本的土俵の破壊そのものだ。

■戦争法は廃止…立憲主義を守ろう

 この暴挙に対して、圧倒的多数の憲法学者をはじめ、歴代内閣法制局長官、最高裁元長官など保守的な立場の方々はもとより、宗教者、文化人、そして学生やベビーカーを押したママたち、戦争を体験した高齢者など、思想信条も党派も、世代も超えた多数の国民が思い思いに、自分の言葉で反対の声を、今も上げ続けている。
 知事は、一つに「安保法制は憲法違反」とする憲法学者や法曹界OBの方々の見識、二つに「安保法制に反対」とする多数の国民の声、この両者をどう認識されているのか。…①
 また、三つに改憲手続きをとっぱらって、いわば「裏口入学」のように集団的自衛権行使を容認した閣議決定は、立憲主義を揺るがす行為だとはお考えにならないのか。見解をお尋ねする。…②

▼再質問
 知事は「引き続き国民の理解を深める必要がある」との認識を示された。
 ここで、自民党の重鎮・古賀誠元幹事長の言葉を紹介したい。
 「過去の戦争への反省もなく、深みのある議論もなく、先人や先達が積み重ねてきた選択への敬意もなく、またそれによってもたらされることへの責任と覚悟もないままに、この解釈改憲を実行するならば、将来に重大な禍根を残すであろう」 
 というものだ。
 実際、戦争法成立によって、集団的自衛権の行使、米国の戦争への兵站支援の全面的拡大、紛争地域での治安維持活動、平時からの米軍部隊の防護など、世界中で米軍の戦争にいつでもどのような形態でも協力することが可能になった。文字通り憲法九条と平和主義、立憲主義を全面破壊する実質的な改憲である。
 歴代政権の憲法見解の根幹を180度転換し、数の力で押し通すことは、立憲主義の破壊、法の支配の否定であり、断じて許されるものではない。
 戦争法の成立を受け全国紙・通信社が実施した世論調査でも、「国民に十分に説明していない」「説明が不十分だ」との回答がいずれも7~8割にのぼり、「国会で審議を尽くされたとは思わない」も、7割を越えている。国民の疑問・批判に何ら答えることなく、議論を一方的に打ち切って成立を強行した政府・与党の暴挙が浮き出た形だ。
 現行憲法下で、こうした戦争法は併存できないのではないか。あらためて尋ねる。…③

□村岡知事の答弁要旨
① … 安保法制に関し、様々な立場からの意見があることは承知している。その中で、国民の命と平和を守る観点から国会において審議され成立したものと受け止めている。国は引き続き、国民の理解を深めるための努力をしていただきたい。
② … 閣議決定は、国の専管事項であり意見を述べる立場にない。
③ … 世論調査等について承知している。安倍総理も「これからも国民に丁寧に説明する努力を続ける」と述べている。私も、国民の理解がさらに得られるよう、その努力を続けてもらいたいと思っている。

■異常な育鵬社の歴史・公民教科書
 開催中の9月県議会の論戦を通して、来年度から4年間、県立中学校(岩国市)と中等教育学校(下関市)で使用する歴史と公民教科書に育鵬社版が採択された経緯が明らかになってきました。
 県立中学校の教科書は、各学校で行われた研究調査の報告書を踏まえて、県教育委員会が決めることになっています。
 今回、2校から提出された報告書の内容は4年前とほとんど同じでした。いま使われている教科書は2校とも東京書籍版です。
 当然、「県教委は2校が希望した教科書と違う教科書を採択したのではないのか」という疑問が生じます。
 県教委は「歴史・公民の2科目については、両校の想定したものとは異なった教科書を採択した」ことをアッサリ認めました。
 その理由について質した共産党・社民党などの追及に対して、県教委は「本県の教育目標に資するという視点から、最も相応しいと判断した教科書を採択したものだ」と平然と居直りました。
 前々々週の通信で指摘した通り、育鵬社版の教科書は大日本帝国憲法を天まで持ち上げる一方、日本国憲法はGHQの圧力でつくられた「押しつけ憲法」と断じています。
 となると、子どもたちに「事実誤認、偏向した憲法観、歴史観」を教え込むのが、すなわち「山口県の教育目標」と、いうことになります。
 県教委の許されざる所業の背景には、「戦後レジームからの脱却」「美しい国・日本」を、掲げる安倍首相の姿が透けて見えます。

■原発訴訟新たな段階…県に原本開示を求める
 山口地裁は三十日、山口県に対して「上関原発・公有水面埋立免許延長申請」の審査の過程で、県と中電がやり取りした文書を提出するよう求めました。
 この日の弁論で、桑原直子裁判長が「(故山本知事と村岡知事の)判断に誤りがあるかどうかは文書を調べる必要がある」と述べ、原告が申し立てた県に対する文書送付嘱託を採用しました。
 これまで県が全て黒塗りにして「公開」してきたものが、原本そのもので審理が行われることになります。
 原告弁護団(田川団長・米倉事務局長)は、「知事の判断の違法性を追及する上で、意義ある判断」と、大いに評価しています。