読む日々

テーマばらばらの読書日記

切羽へ

2012-02-22 | 
井上荒野「切羽へ」


 ある島に暮らす夫婦。夫は画家、妻は養護教諭。
小さい小学校に、ある日、男性教諭が赴任してくる。

夫は妻はとても深く愛しあっているのだけど、何故かその男性教諭が気になってしまう妻。
島の人々との関わりを交えて、出会いから別れまでの1年を描いた小説です。

妻と教諭の間には、結局なにもなかった。ないんだけど、お互いものすごく惹かれ合っているのをお互いが知ってる、というか。
でも愛しているのは夫で。で、夫も気づいているんだよね、たぶん。

なんだろう・・
読後感もものすごくよかったし、夫婦の絆もよかったし、2人の間に何もなかったのが何よりよかったです。


夫婦の近くに住む、おばあちゃんの、ちょっと狂い始めた世界の中で感じる嗅覚がすごいな。
二人が惹かれ合っているのを一発で嗅ぎあてちゃう。


いろいろと考えさせられるお話でした。あ、切羽っていうのは、トンネルを掘っている時の一番奥、のことだそう。
「行き止まり」ってことですね。
2人の関係は行き止まり、ってことかな。ちょっと切ない。

満足度95

最新の画像もっと見る

コメントを投稿