読む日々

テーマばらばらの読書日記

タンポポの雪が降ってた

2012-06-21 | 
香納諒一「タンポポの雪が降ってた」

7つの短編集。

帯には「乾いて せつない」と書いてありました。まさにそんな感じ。
最初の「海を撃つ日」は、読み始めは「村上春樹っぽい?」と感じたけど、読み進めていったらもうちょっと人間くさかった。
ああ、ここが「せつない」なんだね、と。

表題作もせつなかった。昔の彼女との事を思い出す話なんだけど、まさに、乾いてて切ないんですよね。
不思議な読後感のある短編集でした。

覚書
「海を撃つ日」新婚旅行で船旅をする夫婦。夫は父が極道。その影響から逃れるべく人生を歩んできた。船で出会ったディックに亡くなった弟の姿を見る。
「タンポポの雪が降ってた」バスで旅をしながら、15年前のアメリカ留学時に突然自分を訪ねてきた元カノとの悔恨の出来ごとを思い出す。
「世界は冬に終わる」郵便配達員の話。一種のストーカーだけど、それが一人の女性の命を救う。
「ジンバラン・カフェ」バリ島で現地人と恋をしていたつもりのOL。詐欺だった。
「歳月」ミステリー風。亡くなったカメラマンだった父の、1冊だけ残った週刊誌の写真。それに何故自分が惹かれるのかを調べて行ったら、驚きの事実が。
「大空と大地」旅好きのOL。突然別れを告げられた同僚へのスッキリしない気持ち。こんなオトコは嫌だなあ。
「不良の樹」出所してきた極道の兄。ラーメン屋を一緒にやって行こうとする弟家族。弟は、よく見る夢から、兄が不良になっていった原因が自分にあったのでは、と思いつく。ちょっと泣けた。

面白かったけど記憶や印象に残るかな?と言えばそのあたりは微妙な感じ。

なので満足度70

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