読む日々

テーマばらばらの読書日記

きみ去りしのち

2011-04-08 | 
重松清「きみ去りしのち」


ちょっと落ち込んでたから、「泣けるヤツ」と思って借りましたが、その後気分は浮上
でも本は思った以上に重くって、おかげでまた落ち込むかと思ったけど、ラストは「救い」があったので
なんとかセーフ。

再婚した若い妻との間の1歳になったばかりの息子を亡くしたセキネ。
妻と「2人でいる孤独」に耐えきれず、旅に出ます。

その旅に、ひょんなことから付いてくるようになった、前妻との間の娘、明日香。

セキネと明日香が旅先で出会う、それぞれ「生と死」にまつわる何かを抱えた人々との交流の中で
セキネと妻の洋子が、そして癌で闘病し亡くなる母を見送る明日香が辿る癒しの物語、かな、簡単に言えば。

まず、1歳になったばかりの息子の死、がせつない。
うちの子も1歳の誕生日直後、医者の誤診で死にかけて、その後入院した病院で助けてもらったけど、
あの時の恐怖がよみがえって、つらいというより怖かった。

そして、大した理由もなくセキネの元を子連れで去った元妻・美恵子。延べ4人の夫と破局、ってどんな人?
と思ったけど、直接描かれた部分は少なくて、娘、明日香の話からうかがい知ることが多い。
癌になり、余命宣告を受けた美恵子が「小さいころからひとりぼっちにしてあげてたから、本当のひとりぼっちも耐えられるね。」
って明日香に言うんだけど、あまり好きなタイプの母親じゃないなあ自分が一番大事、なんだろうな、って。

でもそんな母を愛おしく思う娘が、母の死を乗り越えていく姿は感動的でした。


とにかく、泣かせどころのオンパレード。美恵子が亡くなる与那国島の章は、その場に行ってないのに風景が見えるかのようだし、その風景、たたずまいを感じ取った上で読むと、登場人物達の心の動きがよくわかります。

あぁ、あと鳥取の砂時計ミュージアム、漫画「砂時計」(と、それを原作にしたドラマや映画)で有名になったけど、
そこで売っている様々な砂時計、たとえば100個の星が消えるまでの時間とか、子供が100人地球で生まれる時間とか、
想像したら胸が熱くなりました。行ってみたいです。

すごいなぁ、重松清。満足度95


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