読む日々

テーマばらばらの読書日記

一朝の夢

2010-06-22 | 
梶よう子「一朝の夢」

おもしろかった。
うだつの上がらない八丁堀の両組御姓名掛りという地味~な役職の 中根興三郎。
朝顔を育てることが唯一の生きがいのこの同心が、朝顔を縁に大商人や謎の浪人、そして宗観という茶人と知り合い、事件に巻き込まれていきますが、その事件が「桜田門外の変」。

偶然近所の飯屋でおかみをしていた幼馴染の里恵とその息子の小太郎との話がサイドストーリーのように描かれていきます。この関係と本筋の関係も複雑に絡んでいて、先が知りたくて知りたくて一気読みしちゃいました。

井伊直弼(実は宗観)の評価って書く人によって随分分かれますが、この本はとにかく大義に生きる清廉潔白な素晴らしい人でしたでもちっともいやじゃなかったし、慶喜が大政奉還の主人公だったから何となく後世での評価が井伊直弼に厳しい気がしますが、もしかしていい人だったのかも・・。

里恵が無慚な死を遂げたところだけが残念と言えば残念ですが、その伏線がないと後がおかしくなるから仕方ないのかな。

満足度95