pride and vainglory -澪標のpostmortem(ブリッジ用語です)-

初歩の文書分析と論理学モドキ(メモ)

空の翳り エピソードⅣ 冥界田楽歌 ❶

2020-10-19 16:41:08 | Λαβύρινθος
生暖かい
初夏の夕風に乗って
遠くから笛と太鼓の音が
聞こえ始めると
村人達は大急ぎで
子供達を呼び集めると
窓を閉め扉に鍵をかける。

やがてリュートや
フィドルの音色も
聞こえてくる頃には
しっかりカーテンを下ろした
部屋の真ん中で
皆集まってかたまりあい
無言の祈りを唱える

大ガマを持った髑髏の触れ武者
崩れ落ちた腐肉の従者
骨だけの馬にまたがった
ミイラの騎士
そんな隊列が
奇妙に陽気な
パンタローネやアレルキーノの
楽隊の伴奏の中
大通りを過ぎていくと

決まってどこかの家で
悲鳴が聞こえ
子供達を
探す声が響き渡る。

心配するのはおやめ
嘆くのはおやめ
この次は隊列の一員として
帰ってくるのだから
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